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"愛依ちゃん"と"愛依サマ"の境界で——和泉愛依「あたし流・かっこいい」感想・考察【シャニマス】

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 こんにちは。灰猫です。和泉愛依単推しピュア女子高生の人格をアップデートしました。さっそく推しうちわを作ってみました! これで愛依サマをお迎えします! レスもらうぞ〜!!


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きゃー!! 愛依サマー!!(パタパタ)


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……あれ? 愛依サマ……?🤔


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きっとあたしの徳が足りないんだ……!
写経しよう!!
(雑念しかないので誤字脱字が多い) 


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………………


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そうだよね……あたしは所詮、有象無象のファンのひとり……
振り向いてもらえるわけないよね……
こんなことをされても、愛依サマにとっては迷惑——


ウインク集中線

!?!?!?!!!?!?!!!?!?


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愛依サマ……ありがとう……
I stan you forever(一生推します)!!!!
😭🙏


「うち」と「あたし」——「愛依ちゃん」と「愛依サマ」の境界

 そんなわけで2022/6/30、和泉愛依pSSR「あたし流・かっこいい」が実装されました。ネタのつもりでうちわ作ったら、本当にウインクしてくれた……!! 嬉しかったなあ……!!

 あっここからは真面目な話です。ご安心ください。

あたし

 さて、このコミュで真っ先に語りたいのは、愛依ちゃんが「あたし」という一人称を使ってプロデューサーに話しかけてくることです。

 愛依ちゃんは普段「うち」という一人称を使っています。そして、ステージに立ち、クールでミステリアスな愛依サマになると「あたし」という一人称に変化します。

 環境によって使う一人称や言葉を使い分ける——これは経験のある方が多いのではないしょうか。男性なら私生活では俺、面接では僕、履歴書では私。女性なら友達と話す時は○○(自分の名前)、職場では私。話し方もフランクな言い回しから、丁寧な言葉遣いへ。
 こうした、社会との関係性から言葉が多様に使い分けられる様は普遍的にあるもので、社会言語学という領域で研究されています。愛依ちゃんから愛依サマへの切り替えによって、言葉や一人称にも変化が現れる様は、まさに普遍性の象徴であると言えるでしょう。

 しかし、今回のコミュでは、プロデューサーと二人きりになった時も「あたし」という一人称を使い、落ち着いた雰囲気で話しかけてきます。話し方は愛依サマですが、会話の内容は愛依ちゃんそのもの。愛依のコミュを読んでいる人ほど、不思議な感覚に襲われたのではないでしょうか。

ファンのみんなを笑顔にする

Landing Point編より。「ファンのみんなを笑顔にする」は、愛依ちゃんと愛依サマの声が同時に流れます。コミュ名は「これが、うちと、あたしの」

 こうした愛依ちゃん(うち)と愛依サマ(あたし)の境界が曖昧になる、という現象はこれまでのコミュでも何度かありました。たとえばLanding Point編。愛依は最終的に、「ファンのみんなを笑顔にする」というアイドルとしての信念を打ち立てました。画像の通り、ここにも一人称の揺らぎがあります。

愛依ちゃんと愛依サマの境界が曖昧になる——この描写には彼女の多大な成長を感じられるのですが、長くなるので本記事では割愛します。よければこの記事読んでね。

 さて、プロデューサーに愛依サマ(あたし)で話しかけるのは、境界が曖昧になる描写の地続きとして読むことができます。 しかし、これまでとは決定的な違いがあります。それは無意識に口調が変わったのではなく能動的に口調を変えていること。これまでのコミュでは、デビュー時よりステージに慣れてきて、内面も成長した証として、愛依ちゃんと愛依サマが不意に交わる瞬間がありました。愛依本人も無意識にそうなっている様子。それが今回のコミュでは、愛依ちゃんは能動的かつ長期的に、愛依サマとしての口調を維持しているのです。

不意打ちには弱いみたいです。かわいいね!
……またhykがmiサマに色目使ってる😡

 ……いやあ、めちゃくちゃドキドキしましたね。たとえるなら、普段は「わたくし」「僕」という一人称を使っているVTuberが、不意に「俺」という一人称をポロッとこぼした瞬間。そして、それを聞いた時、悶えすぎて心臓がキュッってなる感覚。コミュを読んでる間その感覚がずーーーっと続くようなもんです。もう……もうね……(左胸を手で押さえる)

 さらに言えば私には、愛依ちゃんを見守る後方腕組みプロデューサー(私)の人格と、愛依サマ単推しピュア女子高生(あたし)の人格があるので、その二つが混濁してしまい——

「ん? いつもの愛依と違うな。何か心境の変化があったのか?(愛依サマがあたしに話しかけてる!? やばっ髪のセット乱れてないかなっ!?)」

 ってなってました。頭おかしなるで。


「愛依サマ」として話したい——これまでの「愛依ちゃん」から動機を考える

あたしのままで

 では、なぜ愛依ちゃんは愛依サマ(あたし)として話しかけるのか。その理由は、愛依サマとしてもっとたくさん話したいから。関係者が色々話しかけてくれるのに、会話がすぐ終わってしまうことにもどかしさを感じたから。そのきっかけとなったのは、コミュ冒頭の雑誌社社員との会話です。

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 私が印象に残ったのはこの台詞。書道についてかっこいいご趣味だと褒められた時、「はい」と肯定した後、「……あ、いえ」と否定する、曖昧な返答をしています。ぱっと見ただけではどんな意図が込められているのかわかりません。
 個人的な解釈ですが、この台詞、愛依サマと愛依ちゃんが解離していたのではないでしょうか。愛依サマとして褒め言葉をクールに受け取った。でも愛依ちゃんとしては「カッコいい……? そうかな? あんまり意識したことなかったなあ」と思った。謙遜したかった。しかし、瞬時に言葉にできず、そのまま会話が流れてしまった。そんな心境を垣間見ることができます。こういうわざと微妙なニュアンスの言い回しにしてる感じ、"シャニマス"って感じでいいですね。
 もしかしたら、これまでにも、関係者との会話でもどかしさを感じたことがあるのかもしれませんね。それで、愛依サマの口調で話す練習を始めたのです。

 そして——これまでの愛依のコミュを踏まえると、別の動機が見えてきます。それは、愛依ちゃんとして思考を言語化する力がついてきたから、愛依サマでも話せるようになりたい。愛依は無意識にそんな思いに駆られていたのではないでしょうか。

オーディション

 毎度おなじみ、W.I.N.G.編でオーディションに合格した時の台詞。愛依ちゃんは自分のことや自分の思いを言葉にすることが苦手でした。G.R.A.D.編では冬優子とあさひの褒め言葉をすらすらと口にする一方で、自分のことはからっきし。プロデューサーは「愛依はさ 他人のいいところを見つけるのは上手なのに 自分のことになると、それが急に難しくなるんだな」と評しました。

 しかし、直近のコミュではちょっとだけ克服しつつあります。Landing Point編ではアイドルとしての信念を自分なりに言語化。そして前回のイベントコミュ「Run 4 ???」では、「自分は冬優子ちゃんのことをどう思っているのか、どうしてあげたいのか」をうまく言語化できず、行動に移せない場面がありました。しかし、終盤——

冬優子ちゃんはちゃんと仕事してるじゃん!
っていうか、うちらの分までしてくれてるじゃん!
少なくともうちの分は代わってもらっちゃってる
だって、うちがもっと自己プロデュース? みたいなのができてたら、冬優子ちゃんも自分のこと考えられるし
本当は、うちの見せ場なんて
うちがちゃんと考えない作んなきゃいけないことじゃん!
いっつも任せちゃってごめん
だから今日はさ、突然だけど逆にしよ?
うちが冬優子ちゃんにバトン渡すから!
冬優子ちゃんがあさひちゃんに勝ってきて
うちの見せ場は、
他のところでうちがちゃんと作るから
冬優子ちゃんのやりたいこと、やってきて!

 自分の思いをこんなにも明瞭に言葉にしたのです(余談ですが、この台詞でボロ泣きました。あたしのシャニマス流行語大賞2021は間違いなくこれだよ……😭)

 そんな成長があったからこそ、今回のコミュでは、愛依サマとしても自分の思いをしっかり話せるようになりたいと思ったのではないでしょうか。愛依ちゃんの成長をひしひしと感じられてすごくいい……


笑顔、愛依サマ語の言語学習

 そんなわけで、愛依サマとして話せるようになるための練習が始まりました。その様子を見ていきましょう。まずはコミュ3話目「だけじゃない、あたし」から。

かっこいいだけじゃない

 和服衣装での写真撮影。監督から。「かっこいいだけじゃない。何かが欲しい」と言われます。あれ? このやり取り、なんか見覚えがあるような……

あの女

冬優子W.I.N.G.編より。カメラマンから笑顔が作り物だと言われる。

 似たようなことでつまずくの、さすが同じユニットのメンバーだ……しかも冬優子がそうしたように、愛依ちゃんも「内に秘めていた笑顔」で監督からの課題を解決します。いや尊すぎるだろ。やっぱストレイライトが大好きなんだよなあ……!!(デカい声)

理解ってんじゃん

 キメ顔だといつもと変わらない。だから笑顔。プロデューサーは愛依ちゃんのアイディアに賛成。具体的なアドバイスとしてこの一言。は? マジ? 愛依サマのことめちゃくちゃ"理解"ってんじゃん……

この表情

 その結果が、本記事の冒頭に載せたウインクと、この表情。えっ何このいたずらっぽい笑顔!? 愛依サマこんな顔するの知らなかった嘘でしょ最高すぎる……😭

フェス比較

左:今のうちは走らない(前回pSSR)
右:あたし流・かっこいい(今回pSSR)

 フェスでアピールした時もいつもと雰囲気が違いますね。前回も今回もかわいい寄りの髪型ですが、表情とポーズの差はご覧の通り。素の愛依ちゃんがよくやるピースサインをしています。
 こんな感じで、シナリオだけではなく演出面でも、今回の愛依サマは愛依ちゃん成分が多めですそれが愛依サマとしての新たな魅力を引き出していてるのです。シャニマス、お前さ、そんな魅せ方すんの、反則……(ありがとうございます)

 こうして、愛依ちゃんはいつもと違う愛依サマとして輝くことができました。続くコミュ4話目では、本題である愛依サマとして話すための練習が繰り広げられます。

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これがコミュ名かあ……あっ!💡


コミュ名のコピー

キュッ(マーカーを引く音)

 ……な、なーんてね! こんな落書きしたところで、あたしなんかが愛依サマとデートできるわけ——ん?


デート

えええええええちょっと待って!?!?
本当にデートコースの選択肢出たんだけど!?!?!?

あーん

あ、あ、あ、あーん!?!?!?!?
いいんですか……あたしなんかと……
し、し、したいです!!!!!

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いやここでコミュ終わるんかーい!!👆💦💦

 ……って感じで、このコミュでは愛依サマとのデートを擬似体験できます!! もちろん他の選択肢でもね!! この先はきみの目で確かめてくれ!!

 一応、真面目な話をしておくと——プロデューサーとの普段の会話を、愛依サマの口調で行なう。これは言語学習としてかなり有効な方法だと考えられます。
 TOEICでは高得点を取れるけど英会話ができない、という人は結構いるのだそう。文法や英単語の知識はあるのに、瞬時に言葉が出てこないのです。

例えば、そこそこ日本語を話すアメリカ人に紹介された時のこと。ちょっと、相手を持ち上げようと、「日本語がお上手ですね。どのくらい、勉強されたのですか?」というようなことを言おうとします。You Speak Japanese very well.くらいは何とか切り抜けますが、後半の文になるともういけません。「え〜と、どのくらいってのは、なんだっけ、あっ、そうだ、How logだ。で、次はyou studyだ。でも、おっと疑問文だからdo you studyに直さなきゃ。おっと過去形だから、doじゃなくてdidにしなきゃ。いや、それとも現在完了形かな?…」というように、頭の中で何度もパズルのピースを当てはめ直しながら英作文をする始末でした。
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」p.196 森沢洋介

 そんな人はどうすれば英会話が上達するのか。上で引用したテキストで紹介されているのが瞬間英作文。「Is that his house?」「These boys are junior  high school students.」など中学生レベルの英語を瞬時に組み立てて、口になじむまで音読するのです。これがやってみると案外難しい。「Is that is his house」「this boys is...」といった感じでbe動詞や指示形容詞の使い方がめちゃくちゃになってしまうのだそう。

 愛依ちゃんもこれと似たようなことをしているのではないでしょうか。愛依ちゃんとしての思いを、愛依サマの口調で話そうとしても、瞬時に言葉が出てこない。それを克服するために、まずはプロデューサーと簡単な会話をしてみる。これはまさに、愛依サマ語の言語学習をしていると言えます。

 英会話が上達すれば、英語で多様な表現ができるようになる。それと同様に、愛依ちゃんは愛依サマとしての言葉遣いを上達させることで、多様な表現ができるようになり、ファンもまた愛依サマの色んな一面を見ることができるようになる——そんな未来を想像させてくれますね。

さなぴー

「メイ・ビー」より。シャニマス流行語大賞にもノミネートされた伝説の一言。ネタにされがちだけど、友人を守るためにビシッと言えるさなぴー、本当にいい友人だよなあ。まだ高校生ですよ……?

 さなぴーはかつてこんなことを言っていました。愛依サマとして愛依ちゃんの思いをもっと伝えられるようになれば、この不安も払拭されることでしょう。


いつか、あたしは——成長の裏に、あのライバル

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 True End「いつか、あたしは」。撮影を終えた直後、愛依ちゃんは自分の写真をチェックします。"""自分がどう映っているかチェックする"""。それは、愛依サマとしてもっと話せるようになること、新しい自分に生まれ変わろうとしているからこそ、現状の自分を把握しようとするがゆえの行為でしょうか。

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 プロデュースが隣に立たずともスタッフと会話を交わす。この写真いいですねと。これはさしずめ、愛依サマを""セルフプロデュース""しているといったところでしょうか。

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 もっと自分でクールを""コントロール""する……うーん、なんだろう。さっきから誰かの面影を感じるような気が——


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あっ!!!!!!!!


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ふ、冬優子……!!
またお前か!!!!

 True Endにおける愛依ちゃんの行動、私は真っ先に「なんか冬優子っぽいなあ」と思ったんですよね。冬優子が撮影現場でやっていることを無意識トレースしたんだろうか。愛依ちゃんの成長の裏には、やっぱり冬優子の影があるんだな……尊すぎるだろ……😭👍💯

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 最後はこの一言。三人で競い合い、支え合い、高め合うからこそのストレイライト。その意気込みが感じられる最高にクールな宣言。くそっ、個人コミュだからって油断してたぜ……!! あの言葉をつぶやかずにはいられねえよ!! やっぱ——

やっぱストレイライトが大好きなんだよな

やっぱストレイライトが大好きなんだよな……!!


まとめ、感想

・「あたし流・かっこいい」は、愛依ちゃんが愛依サマとして話せるようになるための特訓回。

・そこにたどり着くまでの過程には、自分の思いを言語化することが苦手だった頃(G.R.A.D.編)から、ちょっと克服することができた現在(Landing Point編、Run 4 ???)に至るまでの成長を感じられる。そして、愛依ちゃんがもっと自己表現できるようになり、色んな可能性を掴み取る未来が広がっていることを感じさせてくれる。

・愛依サマとのデートを擬似体験できる(超重要)

・冬優子と重なる描写がある。愛依の成長に影響を与えている証拠か。やっぱストレイライトが大好きなんだよな。

 以上、「あたし流・かっこいい」の考察・感想でした。

 最後に自分語りですが、私は一人称を「私」に矯正した過去があります。「俺」「僕」という一人称にある男性的ジェンダーが重荷だと感じるようになったことがきっかけです。なんてことはない変化ですが、これのおかげで、自分なりのペースで生きることを意識できるようになり、ちょっとだけ生きやすくなりました。

 そんな過去があったので、今回のコミュにおける「うち」から「あたし」への変化はとても印象に残ったし、何となく共感できるものがありました。もしかしたら愛依ちゃんも、素の一人称が「あたし」になる未来が訪れるのかなーなんて想像が膨らみました。愛依ちゃんの成長、そしてストレイライトの今後が楽しみになる良いコミュでした。今後のコミュにも期待しております。


おまけ

和泉愛依単推しピュア女子高生 設定:
高校2年生。美術部。TLで偶然流れてきた和泉愛依の画像に一目惚れして推すようになった。当初は冬優子のことを「男受け狙いすぎ」と毛嫌いしていたが、最近は彼女の実力と努力を内心認めており(表向きは愚痴をつぶやいているが)、箱推しになりつつある。直近のつぶやきは「前世でどんな徳積んだらashの母親になれるの……?」
ギャル疑惑は否定派。友達に愛依の話題を出したところ、「あーなんかギャルって噂になった人?」と言われた。以来、人前で愛依サマの話をしなくなった。

 別人格の設定です。解像度の高い別人格を設定すると「素の自分」「別人格の自分」で二倍楽しめるので大変おトク。ただ、この別人格を強めると、なぜか冬優子に対するヘイトが高くなってしまい、元の自分と解離しかけました。いい感じの落とし所を模索した結果がこれです。最近は「愛依の弟の友達」の人格を形成するべく修行中です。

 ふぅ……WING周回でジュエルをかき集めてようやく今回のpSSRを拝めました。疲れたなあ……同日実装されたイベコミュ「if(!Straylight)」は後日読みます。書きたくなったらそちらも感想書きますね。それでは!


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