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無謬を穿つ、光と砲声——時計じかけの花のパヴァーヌ編2章・感想【ブルーアーカイブ】

「……そうだ。アリス、最近レールガンの……」
「いや、光の剣の調子はどうかな?不調とかはない?」

ウタハ部長、アリスのために言い換えてくれるのめっっっちゃいいな。アリスの前でしゃがんで、目線を合わせて話しかけたのかな。ウタハの立ち絵がアップになるカメラ演出にはそんな意図があるように思える。

・そんなウタハに、アリスは元気よく答える——

「バッチリです! アリスにとって、光の剣は宝物です!」
「そう、勇者の象徴ですから!大切に扱ってます!」

・相変わらず笑顔がかわいいなあ。菓子盆にルマンドとかカントリーマアムとか乗っけてさ、食べさせてあげたいね。ふふっ、あんまり食べすぎるとお夕飯食べられなくなるからね、ほどほどにしなさいよ?😊

・ゲーム開発のインスピレーションを得るために、アリスは先生と共にミレニアムサイエンススクールを散策中。トレーニング部、C&C、エンジニア部、その他諸々——アリスは生徒達とエンカウントする度に、無邪気に笑みを浮かべて、新たな知見を習得し、独自の世界観を膨らませる。彼女にとって、先生と一緒に学園を散策することは「冒険」で、誰かから頼み事をされるのは「クエスト」で、武器は「勇者の象徴」。いつも目を輝かせながら行動している。

・そんなアリスの無垢さに惹かれるのだろう、誰もが彼女に親しく接している。アリスの世界観に話を合わせたり、お菓子をあげようとしたり。一連のシーンを見てるだけで心が暖かくなりました。ああ、この子、みんなから愛されてるんだなって。みんな、アリスから元気をもらってるんだなって。

・お正月の時に、1万円札を握り締めながら、レジにお菓子を持っていく小学生を見かけたことがあるんですよ。お年玉をもらってウッキウキなんだろうなってのが伝わってきました。こういう子を守ってあげるのが大人の仕事なんだなって。あの時の感覚がよみがえりました。アリスに接する生徒達も似たような気持ちだったんだろうな。

・C&C部長のチビ……やべっ、ネル先輩も当初はゲーム開発部の偵察が目的だったが、今では一緒にゲームで対戦する日々を送っている——

後ろの八頭身猫が気になって話に集中できねえ

・……ん?🤔 (カタカタ)……えっ146cmと152㎝!?!?!? アリスの方が身長高いの!?!?!?!? うわっ尊すぎる!!! 良〜!!!!

・エデン条約編を読み終えた直後だと、グッとくるものがありますね。かつて銃口を向けていた二人が、今では格ゲーで殴り合い、絆を深めている。愛おしくてしょうがない。まさかネルとアリスがこんな関係になるとは。無限に口角上がっちゃうなあ。

・っと前置きが長くなりました。実装順で読むために、エデン条約編、カルバノグの兎編を経て、久しぶりに時計じかけの花のパヴァーヌ編。「またアリスに会えるんだなあ😊」と楽しみにしていました。だからこそ、想像すらしていなかった——

ヒマリ:
アリスの正体……
それは——
無名の司祭が崇拝する「オーパーツ」であり——

リオ:
遥か昔の記録に存在する、
「名もなき神々の王女」。

名もなき神々——私にとってエデン条約編4章最大の謎だった「"忘れられた神々"のためのキリエ」が、まさかアリスに繋がることになるとは。アリスもまた、得体の知れない呪縛の中にいる一人だと突きつけられるとは。

そうして今日が終わり——
ミレニアムの平凡な日常は続いていく
——そう、続くと思っていた

行かないでアリス……
まだ話したいことが、教えたいことが、
たくさんあるんだよ……


<前回の記事はこちら>


魔王の誕生

・先生とゲーム開発部は、ミレニアムのホワイトハッカー集団・ヴェリタスに呼び出される。何やら見慣れない機械を発見した。その正体を調べたいとのこと。先生には正体がわからない。しかし、アリスが接触してみると——

「……コードネーム「AL-1S」起動完了。」

!?!?!?

「プロトコルATRAHASISを実行します。」

アリス……??

待て待て待て待て!!!!✋💦
たった3タップで唐突に編成画面に遷移するな!!!!

・アリスが突然暴走。騒ぎを聞きつけたC&Cが援護してくれたので、何とか止めることができた。しかし、戦闘の過程でモモイが負傷。意識不明の状態が二日続く。

・いったい何が起きたのか。廃墟でモモイのゲーム機にダウンロードされた「Divi:Sion System」が、アリスが暴走した時に起動した。それが唯一の手がかりだが、今ではそのゲーム機は起動すらしない。他に手がかかりはないのか。と、そこへ——

「「真実」を教えにきたの。」

・ミレニアムサイエンススクール生徒会(セミナー)・生徒会長の調月(つかつき)リオが訪問。曰く、あなた達がアリスと呼ぶソレは、あの奇妙なロボット群「不可解な軍隊(Divi:Sion)」の指揮官であり、古の民が残した遺産「名もなき神々の王女AL-1S」。つまりアリスは——

「この世界を滅ぼすために生まれた「魔王」なのよ。」

・廃墟に封じ込められていたあのロボット達が解き放たれてしまえば、キヴォトスは終焉を迎える。その危機を防ぐために、アリスのヘイローを破壊する(殺害する)こと、それがリオの目的だ。そ、そんな。アリスが魔王だって……?

・リオはアリスを確保するために、ネルを差し向ける。C&Cは生徒会長直属のエージェントなのだから、ネルはリオの指示に従うべきだが——

「くっそ、やってられっかよ!」

今までだって依頼内容を気に入ったことはあんまなかったけどよぉ。
同じ学園の生徒を——それも、なんもわかってねぇヤツを誘拐しろってか?
——んな依頼やってられっかよ。
もう、てめぇに付き合う義理はねぇよ——リオ!

・ひゅー!! かっけえ!! 義理を通す、ってのがネル先輩らしくていいですね。1章では、リオとヒマリ(ヴェリタス元団長)の目的がアリスだと気づく→その真価を確かめるためにアリスとサシで戦う、という流れがあったけど、それはネルなりに通すべき義理を探していたからなのか。私は黙って従うだけの道具じゃねえぞ、と。頼もしいなあネル先輩。

「そうやって暴れたら、曲がってはいけない方向に腕が曲がりますよ、先輩。」

・しかし、リオはネルの裏切りを想定していた。C&Cの極秘エージェント、飛鳥馬(あずま)トキを差し向ける。特殊武装を行使し、超人的な機動力でネルをたちまち制圧。

・うん、強いよなあトキは。私も戦術対抗戦でボコボコにされたことがあるから……後にゲーム開発部長ユズは「まるでチートプレイヤーみたいだった」と評する。チートのトキって聞くと、別のトキが思い浮かんじゃうな。

・アリスは愕然とする。モモイを傷つけ、今はこうしてゲーム開発部やC&Cの仲間も襲われることになり、勇者の象徴である光の剣もリオによって封じられた。自分は勇者ではなく、みんなを傷つける魔王だった——そう悟ったアリスは、リオの元に行くことを自ら選ぶ。先生とゲーム開発部はリオに敵わず、アリスを黙って見送ることしかできない。そんな……ま、待ってよアリス……まだ何もわかってないのに……

アリスがこのままずっといたら……
いつか……皆が怪我をしてしまう。
(中略)
大丈夫です。アリスは生命体ではないのですから。
アリスは、ミレニアムの生徒ではないから。
いなくなっても、大丈夫です。
アリスは……だい……じょうぶです。

先生、今までありがとうございました。
アリスは…………
今まで本当に幸せ……でした。

・ほんっとこの子は……まっすぐ育ってくれたわね……みんなを傷つけないために犠牲になることを選んで、心配にさせないために強がって「大丈夫」と言って、最後は「ありがとう」だなんて……なんて優しい子なのよ……幸せなのはアリスと一緒にいられる私の方だよ……!!😭

・リオは生徒会長として、合理的な判断をした結果の行動なのだろう。決して悪意があるわけではない。彼女なりの正義を遂行している。だから全てを責められるものではない。

・……でもね、それでもね、先生にはひとつ納得できないことがあるよ。アリスは兵器で、だから生徒じゃないって……「先生と生徒」ってのは、人間・非人間だとか、ヘイローの有無だとか、規律で厳密に定義されるものじゃないよ!! お互いの信頼関係やマインドに基づいた関係なんだよ!! 私達の関係を薄っぺらいものにするんじゃあないよ!! そこだけは本っっっ当に許さないからね❗❗😡


仲間達

・圧倒的な戦力差を見せつけられて、アリスを連れ去られてしまった。ヴェリタス、C&C、ゲーム開発部の一同は塞ぎ込む。

・ゲーム開発部はまだしも、ヴェリタスもC&Cも同じように悲しんでくれるのか。本当にみんなから愛されてたんだな。「メイドとは何ですか? 戦うことがお仕事なのですか?」「アリスにはよくわかりませんが……ヴェリタスのみなさんはすごいです!」屈託のない笑みを浮かべながらはしゃぐ姿が目に浮かぶ……アリス……

・落ち込む一同に喝を入れたのは——

「このおバカさんが!!」

「正直、アリスが「魔王」だろうがなんだろうが、そんな事どうでもいいの!私はアリスとこのままお別れなんて嫌だよ!」

「だから私はアリスを連れ戻したい!連れ戻しに行くよ!
みんな、そうじゃないの!?」

・モモイ、ちゃんとお姉ちゃんしてますね。クソゲーと叩かれながらもゲーム開発部が活動を続けられたのは、モモイが精神的支柱になっていたからなんだろうな。

・ありがとうモモイ。そうだよね。私が落ち込んでちゃダメだよね。Divi:Sion、名もなき神々、まだ謎は多いけど……アリスを取り戻すことが先決だ。アリスからはいっぱい元気をもらえたからね。今度は私達が返す番だ。

・それに、リオはアリスを抹消することが唯一の解決策みたいに語っていたけれど、あらゆる可能性を検討して共生の道を探るのも「大人」の立派な仕事だ。先生としての務めを果たさないと。

・リオの行動は独断だったようで、セミナー(生徒会)の生徒達は困惑。協力してくれることになりました。

劇場版名探偵コナンなら終盤で中央タワーが爆破される

・彼女達が不透明な予算の流れについて調査を進めたところ、リオは秘密裏に要塞都市「エリドゥ」を建設していた。そこにアリスが匿われている……いやいや都市建設って!! 数兆円規模の使途不明金が発覚したってのは現実でもあった話だからそこは百歩譲るとして、でも都市が建設されてたらさすがに誰か気づかないか!?

・……実際に存在するんなら認めるしかないか。「キヴォトスでは日常茶飯事だぜ!👍」なのかもしないしな。うん。

・正面から殴り込めば、都市の防御システムに蜂の巣にされる。なので輸送用の無人列車に紛れて潜入することに。エンジニア部がその辺をサポート。ヴェリタスは遠隔サポート。C&Cがトキを引きつけて、その間にゲーム開発部がアリスを救出する作戦になった。

・C&C、ヴェリタス、セミナー。ミレニアム屈指の実力者達が、たった一人、アリスを救出するために動いてくれる。なんかもう感無量だな……アリスはやっぱり勇者だよ。これだけたくさんの仲間達に、大きな敵に立ち向かう勇気を与え続けているんだから

・そして、勇者がピンチに陥った時に助けるのが仲間ってもんだ。待っててねアリス、今助けに行くからね——!


要塞都市エリドゥ攻防戦

・C&Cの4人は最大の脅威であるトキに対峙。ネルにとってはリベンジマッチだ。その間、先生とゲーム開発部は、ヴェリタスとエンジニア部のサポートを受けながら、エリドゥの防御システムを掻い潜ろうとする。

・しかし、リオはその動きを読んでいた。先生とC&Cが分断されているこの状況こそが、先生を制圧する最大の好機。攻勢に転じる。ヴェリタスの通信を妨害し——

・超大型自律式兵器アバンギャド君を投入する。…………ああもう、むず痒いなあ!! デザインは置いといてだ!! もっと合理的なネーミングあったろ!! 頭文字(イニシャル)を繋げるとそれっぽい響きになるやつとかさあ!!

・先生とゲーム開発部は絶体絶命の状況に。しかし、そこに思わぬ救援が。ヴェリタス元団長にして、特異現象捜査部の部長を務める明星(あけぼし)ヒマリ、同じく部員である和泉元(いずみもと)エイミ、そして——

各務(かがみ)チヒロ

めちゃくちゃ顔が良い生徒。…………いやマジで顔が良いなあこの子。しかもピンチに駆けつけるヒーローみたいに、カッコいい登場してくれちゃって。こんなの好きになっちゃうでしょっ///

・先生やゲーム開発部とは面識があるらしい。えっそうなの?🤔 (カタカタ)……へー! イベントシナリオなのか! そういうのもメインシナリオにがっつり絡んでくるんだ!

・メインシナリオと絆トークくらいしか読んでなかった。いずれ他のシナリオも読まなきゃな。あっでも、私には心に決めたカヨコがいるんで✋ ごめんねチヒロ、私達はこのままの関係でいようねっ🙏💦

・ヴェリタス元団長であるヒマリは、元よりリオの動きを警戒していた。その布石と敷いていたのが「鏡(Optimus Mirror System)」。1章から引き続き生徒会の差押保管所に差し押さえられていたが、それによって今回、エリドゥのネットワークをハッキングすることに成功する。わーお……まさか1章のあの事件がまた絡んでくるとは。熱い展開の連続だ。

・ハッキングによりアバンギャルド君は弱体化。ヴェリタス、トレーニング部、ゲーム開発部、エンジニア部総出で撃破。疲弊したエンジニア部はここで撤退。みんなありがとう、ゆっくり休んでね……!


「友情と勇気と光のロマン」

・先生とゲーム開発部は中央タワーに到着。時を同じくして、C&Cもトキを退かせて、先生達に合流。しかし、トキが再び立ち塞がる。彼女はまだ秘密兵器を隠し持っていた——

・…………100点だよ100点!!!!💯👍 拘束具解除、支援要請、上空から猛スピードで飛来……秘密兵器を登場させる演出の勘所を全部押さえてやがる!! クソかっけえ!!!!

・って見惚れてる場合じゃねえっ。バワードスーツシステム「アビ・エシュフ」——要塞都市エリドゥのあらゆる電力とシステムが、この機体に集約されている。その尋常ならざる演算機能により、未来予知が可能。こっちがコマンドを入力したら、わずか1Fで回避してくるようなものだ。まさにチート兵器。

・しかし、所詮は陸上専用兵器。だったら——

「クッ、建物の外にはじき出された……?」
「おいおい、まさか空まで飛べるとか言わねえよなぁ?」
「おら、来いよ! 落下中でもあたしの攻撃、避けられるかどうか見てやるよ!」

……いやもうカッコよすぎるってえ!!!!

・時計じかけの〜編、他のシナリオに比べると、ガジェットの魅せ方が群を抜いて良い戦闘描写がすげえ凝ってる。1章「レトロチックロマン」、2章「友情と勇気と光のロマン」という題が示す通り、「ロマン」というテーマを、シナリオとビジュアルの両方でこれでもかってくらい表現してくれる。

・対策委員会編はどこか庶民的で、エデン条約編は哲学的で、カルバノグの兎編はポリティカル・フィクションで、各シナリオごとに毛色が違う。しかも、バラバラの物語じゃなくて、別シナリオで既存キャラや残された謎が再登場したりと、太い縦軸がある。すごい。マジですごすぎる。最終編はどうなっちまうんだ。大量の情報を浴びせられて死んでしまうかもしれん。助けてくれ。

・閑話休題。アビ・エシュフは重力加速に対して演算補正を行うことで、空中でもネルの攻撃に対処してみせた。なんつーチート能力だ……しかし、演算中はネルの銃弾が通った。そこで仮説が浮かび上がる。演算と攻撃を同時に行うことができない。演算中は隙が生じるのでは?

「与えられたルールの中で、私たちが使える……「ハメ技」が。」

・あー少年漫画でよくありますよね。「攻撃と再生は同時にできない。だから再生の隙を与えず連撃する」って感じの突破法。つまり、ただのゴリ押しだ。作戦と呼べるものではない。

・そう、これはもはや理性による合理的な選択ではない。アリスを救おうとする行為を、圧倒的な戦力に立ち向かうことを、リオは非合理的だと非難する。確かにその通りだ、無謀な挑戦だ。

「私たちは別に、勝率やデータを信じて戦ったわけではありません。」

・しかし、はたして、人類の歩みは合理主義だけで成されたものだろうか。いかなる創造物も、科学技術も、その根底にあるのは人間の狂気じみた精神ではないだろうか。だったら見せつけてやろうぜ。そうだ。これが。これこそが。利害関係を度外視した「友情」と、

何度ぶっ倒れても立ち上がる狂気に満ちた「勇気」と、

地に足をつけているだけでは拝めない「光」を、
宿す者だけが辿り着ける領域だ——

混沌状態を認めぬ者は創造者ではないし、病的状態を軽蔑する者に精神について語る資格はない。価値あるものは、インスピレーションから、私たちの存在の非合理的内奥からあらわれでるものだけであり、私たちの主体性の中心点から湧きでるものだけだ。知性のみの産物がいずれも例外なく不毛で、興味をそそらぬものであるように、もっぱら熱心さと勤勉の産物にはいずれも価値はない。これに反し、私の心を奪うのは、インスピレーションの自然の発露である野蛮な衝動の光景であり、魂の状態の、本質的情熱の、内的緊張であるすべてのものの、熱狂であり——創造の秩序のなかで、インスピレーションをして生きた唯一の実在たらしめているすべてのものである。

「矛盾と無定見 - 絶望のきわみで」p.68
E.M.シオラン 金井裕訳

・かくして決着がついた。人間は合理主義だけで生きているわけではない。ネルとトキの最終決戦において、リオが主砲発射を指示する非合理的な選択をしたように。史実としても、合理主義や理性偏重に対する反発として、ロマン主義が生まれたように。

・その歩みが必ずしも正解を導くとは限らないが——しかし、理性を超越したその先で、閉ざされた空間から跳躍し、想像しえない可能性に辿り着くことだってある。「友情と勇気と光のロマン」という章題は、ネル達の苛烈な戦いは、そんな開かれた景色を見せてくれているように思う。


<Key>

〜シリアスなBGM〜

・……うん、やっぱ人間って合理的思考だけで生きてねえわ。リオもそうなんだね。だって非合理性の塊みたいな作品が置かれてるもん! そんなことはさておき——

「王女を助ける無名の司祭たちが残した修行者であり、
彼女が戴冠する玉座を継ぐ「鍵」<Key>です。」

・アリスの元に辿り着いた。しかし、別の人格に身体を乗っ取られていた。彼女は自らを「鍵」<Key>と名乗った。ふむ……名もなき神々の王女=AL-1Sが中身で、Keyはそれを支えるための器、って感じだろうか。

Key:
リソース名、要塞都市「エリドゥ」の全体リソース——1万エクサバイトのデータを確認。
…………現時刻をもって、プロトコルATRAHASIS稼働。
コード名「アトラ・ハシースの箱舟」起動プロセスを開始します。

・な、なんかエリドゥのシステムを乗っ取って、やばいことをしようとしてるみたいだけど……何だろう?🤔 ねえリオ、わかる?

Key:
王女は鍵を手に入れ、箱舟は用意された。
無名の司祭の要請により、この地に新しい「サンクトゥム」を建立する。
その到来で初めて、すべての神秘はアーカイブ化され——

「このままでは、世界が滅びる……!!」

な……何だって——!!










………………いや全っ然わかんねえよ!!


・得られる情報から何となく推測するしかないか。「アトラ・ハシースの箱舟」は、旧約聖書における「ノアの箱舟」のことか。これって単純な世界滅亡じゃなくて、ノアの家族と、動物のつがいだけは舟に残される、選別が行われたんだよな。神秘がアーカイブ化される、ってのは何となくそこに繋がるな。

・神秘……よくわからんけど、生徒はそれを宿しているんだっけか。神秘をもつ実体のある全ての事物を、情報に還元する。それが神秘のアーカイブ(記録)化? いや、そんな局所的な変化じゃなくて、この世界そのものが一冊の本になっちゃう感じなのか? 

………………うん、ぜってえヤバいなこれ!! 今すぐ止めよう!!

さて、これが<Key>……
無名の司祭の「オーパーツ」を稼働させるためのトリガーAIですね。
このまま放っておけば、きっとアリスの人格は<Key>に置き換えられ……
無名の司祭が望む通り「名もなき神々の王女」として覚醒することになるでしょう。
(中略)
ですから、無名の司祭が到着する前に、まず私たちの手でアリスを——
<Key>の起動でデーターベースの深部に隔離されてしまったアリスを起こすのです。

・解説たすかる。元ヴェリタス団長、自称・超天才清楚系病弱美少女ハッカーこと明星ヒマリ。この物語で一番癖がある、おもしれー女って感じですが……知識量とハッカーとしての実力は紛れもなく本物だ。

・彼女のサポートによって、先生とゲーム開発部はアリスの精神世界へダイブすることに。あっそういう定番ガジェットもあるんだ。いいね。

・待っててねアリス! 今助けに行くからね——!


勇者の帰還

・精神世界でアリスに辿り着く。そこで待ち受けていたのは——

・そ、そんな……ただでさえかわいいアリスが二人も……? 先生はかわいいの洪水に耐えきれなくて溺れ死んじゃうよ——じゃなくて! ここまで辿り着いたのだから、後はアリスを引っ張り出せば解決だ。しかし、アリスは差し伸べられた手を拒絶する。

アリスは……勇者ではなく、魔王ですから。
いつか世界を……
キヴォトスを滅ぼすかもしれない、魔王として、生まれた……から……
アリスが、いるから……そこに、居たいと、願ってしまうから……
そんな……魔王は……みんなのそばにいては、いけません。
大切な人たちが……苦しんで傷つくのなら……
いっそ…………
アリスは……
アリス、はこのまま消えるのが正しいのです。

・みんなを傷つけてしまう。魔王である自分は消えなくてはならない。涙を流しながらそう言葉を紡ぐ。

・違う。違うよアリス。アリスはみんなを傷つけたんじゃないよ。だって——

「アカネやアスナ、カリンと……あたしらがここまで繋いできた。
そいつ、ぜってぇ連れ戻せよ。」

「友情」も、


「それにしても……誘拐された友人を救うために冒険に出るなんて。」
「——ゲームの主人公みたいですね。」

「勇気」も、


「部活を守れたことも……ゲームを作って、一緒に遊んだ事も!」
ただ怖いだけだったネル先輩と、一緒にゲームをするような仲になれたのも!」

闇を照らす「光」も——


「全部!ぜーんぶ!アリスがいてくれたからだよ!」

全部アリスがくれたものなんだよ!!

・……ねえアリス。先生思ったんだ。アリスはすごいなって。「魔王」だなんて。そんなジョブになれる隠しステータスなんてさ、誰もが持ってるものじゃないよ。仲間のHPを吸い取って、大ダメージを与える必殺技を覚えるかもしれないね。攻略本にはこう書いてるあるんだろうね——魔王は最強ジョブです、だからこのキャラを仲間にしたら絶対に魔王として育てましょう、って。

・でもね、アリスが大好きなRPGでは、それだけしか選択肢がなかったのかな。もっと自由にキャラを育成できたんじゃないかな。だから、もし「魔王」ってジョブが嫌なら、育成方針を変えればいい。パラメータ不足でジョブチェンジできないなら、レベルを上げればいい。先生も手伝うよ。装備を整えて、ストーリー攻略には必要のない難関ダンジョンにみんなで挑んでさ。もうひとつの最強ジョブを解放するためのオーブを手に入れたら、アリスにあげるよ。

・アリスが本当になりたいものを言ってくれたら、それだけでいいんだよ。正攻法や効率なんてどうでもいい。だから……アリスの本当の気持ちを聞かせてくれないかな——


「アリスも!勇者になって……!みんなと……」


「モモイ、ミドリ、ユズ。そして先生と……冒険を続けたいです……!」


「魔王である……アリスが、そうしても、許されるのなら……!」

うん、私も………
アリスと冒険したいよ!!!!


「アリスのこれは勇者の武器です!」

・かくしてアリスは「光の剣:スーパーノヴァ」を再装備。その光と砲声が響き渡る——

〜白背景とクソデカ爆発SE〜

・……ああ、そうか。そうだったね。この光だ。この音だ。あの時も——「鏡」を手に入れるために、生徒会とC&Cに対峙していた時も、私達をピンチから救ってくれたのは。アリスはこの武器を誰よりも使いこなして、私達に希望を与えてくれるんだね。

・アリスの覚醒によって、<Key>とDivi:Sionの暴走を阻止。会心の一撃で平和をもたらす——その姿は紛れもなく、「光」属性の勇者だ。


エピローグ

・こうしてエリドゥの事件は幕を下ろした。Divi:Sionの脅威が完全に消え去ったわけではないが、ひとまずは各々に安寧の日々が戻る。

「……エリドゥの施設は、私が責任を持って閉鎖する事にいたしました。」

・ヒマリ。要塞都市エリドゥについては、彼女が責任を持って閉鎖する。何かと苦労が絶えないようだが、超天才病弱美少女ハッカーとしての矜持を胸に邁進している。

・……ビジュアルだけ見た時は、おしとやかな薄幸少女だと思ったんだけど。意外としたたかな子だな。また何かあったらよろしくね。

「……あ、謝って済む問題じゃないでしょう!?会長ーー!?!?」

・生徒会長リオ。今回の事件の責任を取って辞職。「ごめんなさい」と書き置きを残して。ごめんで済んだらヴァルキューレ警察学校はいらん! ……まあでも、過ちを犯してもやり直す機会は何度でもあるって、作るって、エデン条約編4章で言ったもんな。

・再登場する機会あるのかしら。現代思想は理性や合理主義への批判を経て形成されたみたいなところあるから、その辺を勉強させてあげたいですね。私の推しはバタイユとシオラン。布教させてくれ。

「C&C全員が集合する打ち上げの席だと伺ったので、来てみました。」

・C&C。トキはリオ会長専属のエージェントだったけど、その会長が辞職してしまったので、居場所がなくなってしまった。なのでネル部長と合流。ネルはトキを厄介に思いながらも、その実力は認めており、彼女を迎え入れることにした。よきライバル関係を築けそうだ。

・C&C好きだなあ。時計じかけの〜編を読む前は「ふーん……メイド服ねえ……」と斜に構えて見ていたんですが、蓋を開けてみれば、業務を完璧に遂行する姿勢に最高にマッチしている衣装だった。みんなカッコよかったな。「船上のバニーチェイサー」も読んでみたいな——あっいや純粋にシナリオ目的でね? べ、別にバニー衣装なんて興味ねえからっ。

「お姉ちゃんが、新しいジャンルに挑戦してみたい、と……。」

・ゲーム開発部。相変わらずゲーム制作に悪戦苦闘している模様。しかし、どれだけ挫折を重ねても、きっと成し遂げるだろう。「テイルズ・サガ・クロニクル2」が「ミレニアムの生徒は冷静さと合理性しかない」という世評を変えたように、アリスを魔王から勇者にジョブチェンジさせたように。少女達のゲームは、これからも世界を変え続ける——


完走した感想

・読む前「アリス……😊」→読んだ後「アリスぅ……!!😭」

・みんながアリスを助けるために動いてくれた、ってのが何よりも嬉しかったですね。みんなアリスのことを愛していて、勇気をもらっていた。そして、アリスもみんなのことが大好きで、だからこそ、みんなを傷つけないために消えることを選ぼうとした。しかし、図らずも、アリスが生み出し続けていた友情と、信じ続けていた勇者の物語が、みんなの背中を押した。そして今度はアリス自身を未来へ送り出した。

・そう、フィクションは常に現実の投影が少なからず含まれるものだが、必ずしも現実より劣っているわけではない。時には現実を飲み込み、現実に対する私達の認識を一変させることがある。前回の記事で「ピクミンで命を尊さを学んだわ」と書いたのが、まさにその通りで……アリスとゲーム開発部は、ゲームを遊ぶこと・作ることを通じて、現実を上書きしていく。学生時代に読んだ小説が今に至るまで背中を押してくれたり、挫折心から創作に打ち込んでみたことがあったり、そんな思い出がよみがえりましたね。

・そうしたテーマがテキストだけではなく、ヴィジュアルでも完璧に表現されている。近未来ガジェット満載、緻密な戦闘描写——それらが表面的なもので済まされているのではなく、ゲーム開発部一同を動かす原動力である「ロマン」を象徴している。合理性への対比表現としても描いている。いやはや本当にお見事。エデン条約編に続いて、またしても点と点が線で繋がった。やっぱすげえよブルアカは。

・……でも不穏な要素を残すのも相変わらずですね。神秘の"アーカイブ"化、か。「ブルーアーカイブ 」って、てっきりエデン条約編3章でタイトル回収されたもんかと思ってたけど……まだ別の意味が隠されてる?🤔 嫌な予感しかしないぞ……しんどいわ……

・っと長くなりました。さて、次はいよいよ最終編か。語りたいことは山ほどありますが、蛇足になりそうなのでこの辺で。ゲーム開発部、締切前はいつも徹夜してるのかな。夜食を差し入れしてあげたいですね。それではまたどこかで。

浪漫が無いと 僕ら
浪漫が無いと息が続かないの
決まりきった世界の穴を裂いて
浪漫が無いと 僕ら
浪漫が無いと意味がないから
春を待つ暇もないね
ほら、あることもないことも暴いてみる?
ダウザー

「ダウザー」宮守文学 feat.初音ミク

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