記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

持たざる兎は戦場を跳ねる——カルバノグの兎編1章・感想【ブルーアーカイブ】

「正義」とは、理にかなった正しい道理のこと。
その道理は真理に基づくものです。であるならば、相手や状況によって変わるものではありません。
しかしキヴォトスにおける各所の治安組織は、様々な利害関係の中にあります。その結果、「正義」というものを自分たち独自に歪曲し続けてきました。
しかしSRT特殊学園だけは……学園間の関係や利害の問題に左右されず、自らが信じる正義を実行していました。
時と場所を選ばず、相手が誰であっても同じ基準で、ひとつの正義を追求する組織……。
そんなSRT特殊学園に、私は憧れたのです。

・あらゆる団体や利害関係に歪曲されない真理、それが月雪ミヤコが希求する正義だ。この話を聞いて思い出したのは、近代政治学者ウィリアム・ゴドウィンのとある主張だ——正義の本質は人々を公平に扱うことにある。自分に近しい家族であるという理由だけで特別扱いすることは、偏愛に他ならず、不遍性を本質とする正義の邪魔になる。ミヤコが信じる正義と、何となく重なるものがあるように感じた。

・しかし後年、ゴドウィンは自らの思想に若干の修正を加えた。家族への愛情が正義の実現のために必要だと考えるようになったのである。家族関係の中で愛情を育むことで、他の人々の幸福にも関心を持てるようになるとして、無条件にではないが家族への愛情を認めた。彼がそこに至るまでには、ウォルストンクラフトとの結婚——ゴドウィンは結婚制度を否定していたにも関わらず結婚した——と死別の影響があったのだという。(参考文献:「功利主義入門──はじめての倫理学」児玉聡)

・月雪ミヤコという少女も、考え方が何かしら変わるのだろうか。シャーレや他校との出会いは、彼女にどのような影響を及ぼすのだろうか。カルバノグの兎編1章の初見感想をお届けします。


RABBIT小隊——サキ、モエ、ミユ、ミヤコ

SRT特殊学園の閉鎖が連邦生徒会により決定。同校の生徒はヴァルキューレ警察学校へ編入学する手筈になっている。しかし、SRTの生徒4人から構成されるRABBIT小隊はこれを認めず、抵抗を続けている。

第一ケモミミ発見!

・ヴァルキューレ警察学校はその鎮圧に当たっている。しかし、進捗が芳しくない。精鋭である公安局をぶつけてもなお、RABBIT小隊に有効打を与えることができない。こうなれば他校に増援を求めるしかない——ってところで連邦捜査部シャーレにお鉢が回ってきた。

・わずか一個小隊でヴァルキューレの精鋭達を退けるのだから、RABBIT小隊の実力は凄まじいものだ。でもさ、数的優位はヴァルキューレにあるんだから、包囲して補給を絶っちゃえばじきに降伏するんじゃないの?🤔 ……と思ったけど、察するに、ヴァルキューレは人員と時間を割く余裕がない。さっさと解決しないと雪だるま式に業務が増えてパンクする。世知辛いのじゃ……

・ということで先生が介入。すると、事態はあっさりと解決。そのまま4人を尋問することに。なぜ彼女達は閉鎖に抵抗し、ヴァルキューレへの編入を拒絶するのか? アビドス学園対策委員会のように、この学校を愛して止まないから——というのは間違いないのだが、それぞれ事情は異なっている。

「私は、そんな生き方はしない。のうのうと自由を与えられた犬(ヴェルキューレ)になるくらいなら、厳しい環境下でも狼(SRT)として誇りを持って生きる。」

・まず空井サキ。ざっくり言うと「我々は牙を研いだ"狼"だ。貴様らのような"犬"とは違う」とのこと。SRTは厳格な規則の下で生活し、常在戦場の心構えを叩き込まれる。それに比べたらヴァルキューレの環境はぬるすぎると。根っからの軍人気質、あるいは部活ガチ勢。いいねー。きらら系漫画に一人はいてほしいポジションだ。無法地帯であるゲヘナ学園にぶち込んだら発狂しそう。

「そりゃあ勿論、あの大量の武器のためだよ!」

・続いて風倉モエ——いやちょっと待って!? 何すかこの性癖よくばりセットみたいな子は!? スケジュールで顔だけは見えてたけど、ヘソ出しに黒タイツと来たか……く、屈しない! 先生は絶対に屈しないからね! 踏まれたいなあってちょっと思っちゃったけど……!

・彼女がSRTを離れたくない理由は、武器のため。区画をひとつ丸ごと焼き尽くせるようなミサイルや、戦車の装甲をものともしない弾薬。この学校にしかないものがある。なおモエ自身は無差別乱射で商店街を半壊にさせた過去があるとのこと……おい!! 潜在的テロリストじゃねえか!! 独房にぶち込め!! いや待て、アズサだって深い理由があったわけだし……もうちょっと様子見るか。

「こんな影の薄い私になんて、誰も話しかけてくれないでしょうし……。」

・霞沢ミユ。この子は「事務職で採用されたのに、部署が解体されたので異動になり、現場に出ろと言われた」って感じ。ああ、なんて世知辛い……😭 生徒のキャリア支援をするのも先生の務め。本人が望むベストな進路を模索しなきゃですね。

「……SRTには、そこにしかない「正義」があるからです。」

・月雪ミヤコ。冒頭に書いた通り、本当の正義を追求するため。正義、ねえ……言いたいことは色々あるけど……理想が強すぎる真面目な子は、理不尽な現実に直面した時に挫折しやすい。支えてあげなきゃ。今回はこの子のママかな。

・ということで、(1人を除いて!)各々に真っ当な理由がある。野営して抵抗を続けるほどなのだから、その心意気は本物だ。

・軍人と警察——組織の性質が異なる以上、規則や活動内容は当然異なる。しかし、どちらも市民の安全や平和を守るための組織であることに変わりないはず。睨む合う両校に何とか良い着地点を見つけてあげたいが……そもそもなんでSRTは閉鎖になるの?🤔 連邦生徒会の生徒にそこんところを聞いてみることに。


SRT特殊学園

・SRT特殊学園とは何か。私見をまとめながら解説してみます。キヴォトスで犯罪事件が発生した際、どの組織の管轄になるか——

①自治区内で発生した事件
→その自治区の治安を担当する組織の管轄になる。ゲヘナ自治区であれば、ゲヘナ学園の風紀委員。
②自治区外で発生した事件
→ヴァルキューレ警察学校の管轄になる(連邦生徒会防衛室の指示に基づく)

自治区内なら当該学校の組織、自治区外ならヴァルキューレの管轄。一見すると単純明快な分け方だが、自治区の境界を跨ぐ事件になると、途端に話がややこしくなる。たとえば対策委員会編1章。便利屋68の逮捕を巡って「ゲヘナの生徒が起こした犯罪は、ゲヘナ学園が取り締まるべき」「実際に被害を受けたのはアビドスなのだから、アビドス高等学校が取り締まるべき」という主張がぶつかり合い、ゲヘナとアビドスは対立することになった。

・あの対立は、風紀委員長ヒナが頭を下げて、ゲヘナが退くことになった。そう、自治区間の対立であれば、各自治区の当局で話し合うなり、協調するなりして解決を目指すことが場合によっては可能である(権力・軍事力格差などの諸問題はあるが)

・しかし、自治区内外で起きた事件になると、こうした外交による駆け引きが非常に困難になる。たとえば、ブラックマーケットの犯罪者がゲヘナ自治区に逃げ込んだ場合。ヴァルキューレが当該人物を追ってゲヘナで活動しようとしても、ゲヘナ側からすれば「ここはワイらのシマや。なんでヴァルキューレに干渉されなあかんねん」という話になりかねない。各自治区の学校とは違い、ヴァルキューレは連邦生徒会から事件解決の権限を委任されているだけなのだから、立場はめっぽう弱い。

・だったらヴァルキューレは、現地の組織と足並みを揃えたり、連邦生徒会に圧力をかけさせたりといった対応を取ることが考えられるが……そうすると対応が後手に回り、解決できる事件も解決できなくなってしまう可能性がある。初動捜査は大事って言うもんね。

「ですがその生徒が別の学園自治区に逃げたり、どこかの生徒会と結託したりすると、逮捕が難しくなってしまうのです。」

・事件捜査のスピードもそうだが、さらに根が深い問題があるようだ。連邦生徒会防衛室のカヤは「どこかの生徒会と結託」と言っているが、これは過去にそんなケースが実際にあったからこその発言なのだろう。エデン条約編で言うと、ミカはアリウス分校と結託していた。

・……これ考えうる限り最悪のケースですね。行政機関が犯罪者を匿っていたら、警察の職能だけで立ち向かうことは不可能だ。なんせ相手は軍隊を保持している。武力の差はもちろんだが、やはり政治的な駆け引きがここでも必要になるだろう。

・つまり、自治区内外の犯罪を取り締まる組織に求められるのは、①政治的に強い立場、②各自治区の生徒会に対抗できるほどの軍事力だ。この2つを有する組織として発足したのが、SRT特殊学園である。

ケモミミの部隊が、ケモミミを鎮圧する
最高じゃあないっすか……

・SRTは①連邦生徒会長の権限により、犯罪が発生した際にはいつでもどこでも即時の対応が許可されている。また、②生徒の選抜は非常に厳しく、装備はキヴォトス最高クラス。以上2つの特徴により、ワカモの逮捕を始め、SRTは順調に成果を上げていった。

・ではなぜ閉鎖になったか? その原因は、責任者である連邦生徒会長の失踪にある。SRTはこれを受けて、①権限および責任の所在が不明瞭になってしまった。で、②そんな連中がキヴォトス最高クラスの装備を持っているのだから、危険な火薬庫も同然の存在になってしまった。必要に迫られて2つの特徴をもって生まれたが、その2つの特徴ゆえに存続の危機を迎える。何とも皮肉な話だ。

・連邦生徒会は存続を試みたが、責任問題や運用方法に難があったようで、うまくいかず……そうこうしているうちに、SRTのFOX部隊は、自分たちの存続が脅かされていることを気取り、連邦生徒会を突如襲撃した。これが決定打になり、閉鎖の流れになったようだ……なんか都合がよすぎないか?🤔 裏がありそうな話だな。覚えておくか。

・都合が悪くなったのでゴミ箱にポイ、SRT側からすればそう見えても仕方がない。なるほど、ミヤコが連邦生徒会や大人に反感を抱く理由は、本来は何者にも干渉されない正義を貫くSRTが、連邦生徒会の利害関係で潰されてしまったことにあるのか。確かに当事者からすればたまったもんじゃないよなあ。許せねえよ! 上には現場の人間の気持ちがわからねえのか!!

・……でも連邦生徒会の苦労もわかるから、あまり責められないな。プロローグの感想記事で「どんなに逼迫していても上には届かない現場の声と、各々の思惑の板挟みになる中間管理職の構図。うーん、見てるだけで胃が痛い!」って書いたけど、想像以上に問題が山積みだ。世知辛え……

・しかし、閉鎖の原因が「連邦生徒会長の失踪により、責任の所在や運用方法に問題が生じたから」であるなら、その問題を解決すれいい。運用方法を変えた後任の組織を作るとか。連邦生徒会長の代理となる「先生」を責任者にすげ変えるとか。良い着地点を見つけてあげたいな。

「まあ、原則なんて知ったことではありませんね!」

・RABBIT小隊の処分については、先生に一任されることに。彼女達は厳しい選抜を通過した優等生だし、何より夢を潰させたくない、というカヤの判断。意外とノリがいい子だ。糸目キャラだから信用できないって思ってたわ。ごめんね。


拒絶

「自分のところに女子生徒たちを集めて、何をする気?」

・RABBIT小隊をシャーレに泊めさせようとする。しかし、「シャーレには厳しい規律がない」「そもそも連邦生徒会に抗議しているのだから、シャーレの世話になるわけにはいかない」「私達に乱暴するつもりでしょう……エロ同人みたいに!」と様々な理由で断られました。失敬な! 先生は純愛ものしか読まないよ❗😡

・子ウサギ公園での野営を続行させることに。補給が絶たれてしまった状態で長期間の野営をするのだから問題は山積みだ。先生は何かと支援を試みる。しかし、ことごとく拒絶されてしまう。カップ麺を施そうとすれば「見返りに何を要求されるかわかったもんじゃない」と断られる。コンビニで廃棄されるお弁当で最低限食いつなげるようにしてあげると「この屈辱は忘れない」と恨まれる。お風呂に困っていると聞いたので、シャーレのシャワー室を使わせようとしたところ——

「……最っ低。」
「……度し難いです。」
「わ、私たちが武装を解除した瞬間に、何を……!?」
「シャワーを浴びさせてその隙に何しようっての?もしかして実物より残滓の方が好み?ひゅーっ!!」

・この言われよう。ガキどもが……あまり調子に乗るなよ。本当に残り湯飲むぞ。

・なんか今までにないパターンですね。アビドスでは借金返済を手伝い、ミレニアムではゲーム制作を手伝い、トリニティでは補習授業部の顧問になった。いずれも渦中の生徒達と足並み揃えてきたが……今回は救いの手を差し伸べようとすると、まず拒絶される。当面の問題を解決するために仕方なく、という形でようやく譲歩してくれる。

・それも仕方ないことだ。RABBIT小隊は連邦生徒会の事情に振り回されてこうなったのだから、「大人」に頼ろうとしないのは必然。加えて、SRTでは、どんな過酷な状況でも自力で活路を見出せるように叩き込まれてきたのだろう。

・幸いにも今は何とかなっているが、廃棄寸前のコンビニ弁当だけでは栄養失調になりかねない。野営に必要な資源や弾薬もいずれ底を尽きる。最悪の場合、犯罪に手を染めなければ生きていけない事態に陥るかもしれない。外部からの支援が必要だ。しかし、彼女達は助けを求めることをしない。できない。そんな過酷な状況に陥った生徒達に、先生として何をしてやれるだろうか——

・そんなことを踏まえると、このスチル、とても愛おしく感じられますね。普段から防弾ベストやハーネスを身に付けている彼女達が、裸になってお風呂に浸かる——常に警戒心を露わにする彼女達も、今この瞬間だけは背負っているものを脱ぎ捨てて、束の間の平穏を心ゆくまで楽しんでいる。規律に厳しいサキがとろんとした目になってるのほんとすき。ミヤコめちゃくちゃ美人だ。

・お風呂ってさ、身体を清潔にするためだけじゃなくて、命の洗濯なんだよな。先生は大人になってからその事に気づいたよ。残り湯をどうこうとか言っちゃってごめん……久しぶりのお風呂なんだから、ゆっくり浸かりなさいね。シャンプーとリンスとドライヤーするの忘れちゃダメよ?😊


無所有と正義

・その後、「所有せずとも確かな幸せを探す集い(所確幸)」なる組織に先生が拉致られました。その教義は名が体を表している通りだが、実態は廃棄される焼肉弁当に固執する欺瞞的な組織であった。RABBIT小隊と協力(?)してあっさり退けることに成功。

・要はただのかませ犬なのだが……このタイミングで思想強めの団体が登場するのはなんか示唆的だな?🤔 ちょっと考えてみるか。十三世紀西ヨーロッパ、聖フランチェスコは絶対的無所有(個人財産はおろか共有財産すら持たない)を実践し、「小さき兄弟団」を率いて伝道活動を行った。こんなエピソードが残されている——

あるとき彼は兄弟たちが、彼のためにしつらえた宗庵からそそくさと立ち去ったが、それはこれを準備した兄弟のひとりが「汝の宗庵」と形容したためであった。「自分のもの」と称しうるような居所に落ち着くのは、えてして自らの自立と力を恃みとして、神から遠ざかる業だからである。フランチェスコが兄弟たちに金銭、貨幣を一切受け取ってはならないし、所持してもならないと禁じたことに表れているそうしたものへの理屈抜きの敵意は、貨幣の所持が、幻想でしかない偽りの力の感覚をこれを所持する者にもたらし、人間関係を謬らせ、所持者を抑圧者の側に置くからである。

「剣と清貧のヨーロッパ」p.184 佐藤彰一
「しかしキヴォトスにおける各所の治安組織は、様々な利害関係の中にあります。その結果、「正義」というものを自分たち独自に歪曲し続けてきました。」

・何となくミヤコの語りと重なるものがあるように感じた。あらゆる利害関係に縛られない本当の正義を希求する。それは無所有であること、清貧であることと何かしら通底している。これを踏まえて次のシーンを見てみると——

「……もう、自分が何をしてるのか分からなくなってきた。」

・豪雨で野営地が半壊。装備の大半も使えなくなってしまった。サキ、モエ、ミユはもう諦めようと口にする。所確幸のデカルトは「より上に、より高く……それらは最終的に、人生を疲弊させるだけなのです」と語っていたが、このシーンはその象徴とも言える。今まで所有していたものを突如失う、その落差で生じる絶望感は計り知れない。私も心が折れて退職した時はこんな感じだったな……

(水圧が強い……もう手の感覚も……)
(確かに、意味の無いことかもしれない……)
(でも私はSRTを、私の思う理想を……)
諦め、られないっ……!

・それでもミヤコは、排水路を整備するために手を動かす。あらゆる利害関係に縛られない、己の苦境すらものともしない正義を誠実に希求する彼女だからこその行動だ。つまり——所確幸とミヤコ、両者は通底する理念を掲げているが、後者の方がそれを貫き通そうとする信念が強い。一連のシーンには、そんな対比表現が込められているように感じた。

・後に先生が手伝いに来た。なぜ手伝うのか、私達に何を望んでいるのかというミヤコの問いに対し、先生は「何かを望んでるわけじゃないよ」と答える。見返りを要求せず、生徒を助ける。これもまた、ミヤコが信じる正義と通ずるものがある。

・かくしてRABBIT小隊は再奮起。ミヤコが求める本当の正義とは何か——それはあらゆる物を失った今だからこそ、初めて答えを得ることができるものなのかもしれない。


獣と兎

「見慣れない武器を持ち、私たちの聖所で暴れるあの「狂犬」の姿を!」

・ヴァルキューレ警察学校公安局が再び野営地に。連邦生徒会防衛室の命令に従い、RABBIT小隊に立ち退きを要求する……しかし、何やら様子がおかしい。所確幸のデカルトは、公安局長カンナに見慣れない武器で攻撃されたと証言。RABBIT小隊の調査によると、大口径のHEAIP(徹甲炸裂焼夷弾)が使用されたようだ。個人の火器にしては高価だし、実用性も低い。財政状況が良くないヴァルキューレがなぜそんなものを……?

「となると「カイザーインダストリー」で大量に武器を買い占めたのは、ヴァルキューレってこと?」

・あらゆる状況から推測した結果、ヴァルキリーのバックにカイザーインダストリーがいるらしいとの結論……ってコラ〜!!👆💦 またカイザーかよ!? 性懲りのねえ奴らだな!!

・子ウサギ公園(RABBIT小隊の野営地)を有する子ウサギタウンでは、大規模な再開発計画が進められている。その計画を担うのはカイザーコンストラクション。カイザーはヴァルキューレにRABBIT小隊や所確幸を追い出させることで、再開発計画を押し進める。ヴァルキューレは対価として武器の提供を受けるという寸法。市民に奉仕すべき警察学校が、私企業の利益ために働いているのだから、癒着ってレベルじゃない違法行為だ。

「SRTみたいになってしまったとしても、私からは何も言えませんよ?」

・ちなみに、ヴァルキューレがカイザーと結託したのは、防衛室のカヤから圧力をかけられたことが原因で……ほらあ!! やっぱ糸目キャラは信用できねえじゃん!! 騙されたわ!!

ヴァルキューレが私企業と結託して、不正行為を行おうとしている……その可能性がどれだけ高くても、正規の手続きでは解明できないでしょう。
まさに、SRTとして介入するべき任務です。

・ミヤコはそう語る。警察内部の不正を暴くのはその上位機関、SRT特殊学園の本分だ。かくしてRABBIT小隊は、ヴァルキューレ警察学校公安局に潜入し、違法リベートの証拠を確保する作戦を立てる……いや、流れとしては対策委員会編の銀行強盗と一緒だけど、深刻さが段違いだね!? アビドスはイッちゃってるよ。あいつら未来に生きてんな。

・……ちくしょう、シリアスな場面だってのにツッコミが追いつかねえ。ちなみに作戦名は「クローバー作戦」。公園の雑草の中から四つ葉のクローバーを探すように、手がかりを見つけ出す。そんな意味合いが込められているのかな。公園で野営し続けてきた彼女達の道程、そして根気強さを感じられていいですね。さあ、今こそ、獣達が牙を剥く戦場で、持たざる兎達が跳ね回る時だ——


クローバー作戦

・違法リベートの取引記録、クローバーを入手。しかし、ミユの「ドアを閉めたらオートロックで入れなくなっちゃった❗」って感じのミスでピンチに。しゃーない。油断してたら誰でもやっちゃうミスだ。

・ミヤコは真情を吐露する。この絶体絶命の状況で、私は小隊長として何ができるのか。自分を信じることができない。そこで先生が一言——

全部をひとりで背負わなくても大丈夫。
みんなのことを信じてあげて。

・先生として、生徒を信じ続けているからこその言葉なのだろう。

・利害関係に縛られない正義を貫こうとすれば、頼れる者はほとんどおらず、孤独を味わうことになる。それがミヤコの背負う宿命だ。しかし、全てを一人で背負う必要はない。あらゆる物を失ってもなお、同じ志を抱いて共に歩み続けてきた仲間達が、すぐ隣にいるのだから。

・ミヤコが再び立ち上がる。あらゆる逆境を跳ね除けて、脱出地点である公安局屋上へ到達。そこへ公安局長カンナが駆けつける。ミヤコはクローバーを突きつけて糾弾。カンナの返答は——

貴様の言う通り、ヴァルキューレは公的な規則に従い、公正であるべきだろう。
……しかし世の中は、貴様らが思うほど公正ではない。
貴様らには特権がある。そしてその上で正義を論じている間に、私たちが何をしていたか知っているか。汚い現場で、どれだけ妥協に塗れながら公務を処理していたことか!
それが社会だ、現実だ!
手を汚さずに、正義を掲げ続けることなどできない!
貴様らのようなガキに、それが分かるか!その判断をせざるを得なかったこの気持ちが!

・カンナ……日頃から苦労してるんだろうな……理想だけで仕事はできない。時には妥協し、現実と折り合いを付けて、辛酸を舐める日々が続くことだってある。現場ではカンナのように手を汚せる人物が必要だ。

・しかし、彼女の慟哭には「こんなはずじゃなかった」という悲嘆が、あるいは、理想を前にして歩みを止めてしまった自分に対する言い訳も含まれているように感じられる。現状に満足していないのだ。そこで先生が一言——

最終的に自分の未来は、自分で判断し続けていくものだよ。

RABBIT小隊のみんなは、ほぼゼロからのスタートだったよ。

大丈夫。状況は大変だろうけど、辛いだろうけど。
それでも行き先は、自分で決められるよ。

・……これねえ、すごく「先生」らしい言葉だなって思いました。「自分の未来は自分で選べるよ」という優しさでもあるし、「自分の未来は結局のところ自分に責任がある」という厳しさも含んだ言葉なんですよね。生徒を導くだけじゃなくて、生徒を独り立ちさせる。望む未来を自分自身で掴み取れるように。そんな先生としての務めを果たすための言葉だ。先を生きる者と書いて先生、か。

・エデン条約編3章のヒフミも思い出す言葉ですね。「全ては虚しい」と突きつけられながらも、彼女はハッピーエンドを、青春の物語を追い求めた。自称・平凡な女の子だって手を伸ばすことができたんだ。カンナも挑戦してみないか?

公安局長。あなたが言う「正義」は、きっと間違っていないでしょう。ただ私が思うものとは、違うというだけで。
ですが、その根っこを誰かのせいにし続けていては、いつか色褪せてしまうと思います。「どんな判断をし続けてきたのか」、それがきっと……
私たち(SRT)と、あなた(ヴァルキューレ)の違いです。

・先生に続けてミヤコが言葉を重ねる。カンナの考え方を決して否定しない。キヴォトスの治安組織は「正義」を歪曲している、そう言っていた彼女が。さながら、アンチテーゼを内包して、より高次元の段階へ止揚するようにして、自分の信念を磨き上げた。ミヤコなりの成長が垣間見える場面だ。

・RABBIT小隊はクローバーを手にして、ヘリで撤退。カンナは打つ手がなく、黙って見ることしかできなかった。公安局に潜入され、違法取引の記録を押収されてしまった。局長である彼女が取るべき責任の重さは計り知れない——

「始末書を、用意しておくとするか。」

・うっわ、かっけえ……!! カンナの第一声は、負け惜しみでも怒りでも悔しさでもない。どんな状況であろうと、自分のやるべき仕事に迅速に着手する、ただひたすらに事務的な言葉だ。彼女の生き様が凝縮された言動だ。

・やっぱカンナはカンナで尊敬できる生徒だなあ。いつか防衛室のカヤに反逆する時が来たら、共に手を取り合って立ち向かいたいですね。


エピローグ

「市民を保護し正義を守るべきヴァルキューレが私企業と手を取っていたというのは、かなり衝撃的な情報です!」

・違法リベートの件はクロノススクール報道部にリークされた。一件落着……と思いきや、連邦生徒会による調査チーム発足がいくらなんでも速すぎるし、カイザーもあっさりと再開発中止を宣言した。何やら不穏な動きだ。いったい誰が裏で糸を引いているんだ——

「ふふっ……とはいえ、カイザーとこちら側についての件は見つかってないようですし……。」

お前だろうなあ!!!!

・SRT特殊学園のFOX部隊と共に、クーデター計画を実行する算段。ケモミミ特殊部隊って最高すぎるだろ……じゃなくて。うーん、カヤの根底にあるものは何だろう?🤔 「私が連邦生徒会長になったろ!w」か、あるいは、「連邦生徒会の在り方は間違っているから、私が正さなければならない」って感じの彼女なりの「正義」があるのか。

・FOX部隊のユキノが意気込みを語る。全てはSRT特殊学園復活のために、そして——

「シャーレ廃絶のために。」

ええっ!?
私ぃ!?!?!?


完走した感想

泥臭く、汗水垂らして歩む者達の物語。そんな印象を受けました。

・対策委員会編では最高の神秘を持つホシノ、時計仕掛けの〜編1章ではやべー戦闘力を秘めてそうなアリス、エデン条約編1~3章ではキヴォトス最大規模の二校が舞台。それに比べると今回、わかりやすく花形って感じの生徒がいないんですよね。

・地味だって言われたら否定できませんが、そんな登場人物達で固められていることに意味がある。RABBIT小隊はヴァルキューレ警察学校に襲われたが、そのヴァルキューレは連邦生徒会防衛室に圧力にかけられたからそうせざるをえなかっただけだし、その防衛室も、元を辿れば連邦生徒会長失踪という事件がきっかけで動き始めたわけで……と、時代や体制が激変する中で、必死に適応しようとする人々の姿が克明に映し出されている。何かと移り変わりが激しい現代社会、彼女達の姿には励まされるものがある。

・連邦生徒会長の失踪が原因でキヴォトスの治安が〜って話は、これまで何度も語られてきましたが、その影響を最も実感できたのはこの物語ですね。「桐島、部活やめるってよ」を何となく思い出しました。

・2章はまだ未実装か。カンナと共闘する熱い展開だといいな。さて、実装順だと次に読むのは……あー、エ デ ン 条 約 編 4 章 か。ぜってーまだ何か隠し持ってるんだよなあの物語。よし、腹括るか。避けては通れない道だ……ん?

えっ!!?!??!?!!?
便利屋68正月イベント復刻!?!?!?

・巷は「初月ムツキは絶対に引け」ってツイートで溢れてるけど……えっちょっと待って、正 月 カ ヨ コ 実 装 の可能性あるの!?!?

・いやね、カヨコのこと調べてたら、このイベントのことを知って。「うわっこのカヨコめっちゃ美人! あーでも未実装なのか……残念……」って思ってたんですよ。それがまさかこのタイミングで!? 嘘だろオイ!? 実装されるか否か、この1週間悶々と過ごすことになりそうだ……

・もし実装されたら、「エデン条約編4章の感想記事書きました!」より先に「【ご報告】鬼方カヨコさんと結婚としました。」です。止めないでください。私は本気です。下駄の鼻緒が切れたカヨコを、雨の中おんぶして送り届けて、風邪ひいて看病してもらったことが馴れ初めです。それではまたどこかで。

<ブルアカ関連記事>