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猫の喪中

 喪に服している。
 年末、28日午前2〜4時頃、15歳くらいだろうか猫が死去した。12日に帰省したときにはすでに、身体の中から水を抜いたりしていた。検査の結果、癌である可能性が高いということ、体重が2キロを切っていたので手術ができない・できたとしても長くて2ヶ月しかもたないとのことで、見送ることになったのだ。27日の夜には僕の布団によろよろと入り、長居して(失禁もしていた)からの別れとなってしまった。最後には1年3ヶ月ばかりの遊び盛りの猫も、彼女の尻尾を舐めていたほどだ。

 2012年3月末、翌日には僕が引っ越すという日。僕はみたらし団子を食べていた。外出していた家族が帰ってくると同時に「おいでおいで〜」と声がし、軽い足音が響いてきた。「また猫を拾ってきたのか」と足音が止まった方向を見ると、そこにはアメリカンショートヘアがいた。その前に迷ってきたアメリカンショートヘアの猫を保護して一緒に暮らしていたが、またアメリカンショートヘアだ。一瞬、うちの猫がいるのかと思ったものの顔付きが違う。やたらと目元が涼しいし、小柄で子猫のようだ。どんなヤバい性格をしているのかとドキドキしたが、様子を見るにさほど危険はなさそうだった。保護猫を入れてあった檻の前を通りがかった家族を見て必死に鳴きついて行こうとするなど猛アピールしたという。名前は僕が決めていいということになり、名前だけ付けて気にしながら僕は地元を離れた。

 それから、彼女より前のアメリカンショートヘアも死去したり僕も一時期実家にいたり2022年末に動けない子猫を保護したりと色々あった。一度捨てられた経験のある猫で、甘え方が分からなかったりと不器用なところのある子だった。他の猫に威嚇することも多々あった。庭に咲いていた白い山茶花とともに、移動式の車によりお骨にしてもらいピンクの袋に入った姿で帰ってきた。最後までひっそりした子だった。

 なんとも、ぼんやりと、悲しい。ふとしたときに、窓辺の座布団に小柄な姿があるような気がしてしまった。

♡やサポートなどして頂けたら欣喜猫躍します。リアクションへのお礼画像は時々、不定期に入れ替える予定です。(/ΦωΦ)/