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2007 カンボジア旅行記3 【アンコール・ワット】

1月15日(月) 


夜明け前、アンコール・ワットの前庭はサンライズを見ようとする人でごった返しています。赤く染まる東の空からやがて日が昇ってきます。古代から幾度となく繰り返されるこの一日の始まりは、優しい光でシェムリアップの街を包み込みます。


     ◇


5:50、夜明け前の街を走り、アンコール・ワットへと向かいました。薄暗い中、環濠をわたる石橋を進み西門をくぐると、すでに多くの人が日の出を待ちわび腰をかけカメラを向けています。待つこと30分、徐々に赤く染まり始めた東の空、中央尖塔の右側からから太陽が昇ってきました。9月~4月の太陽は中央尖塔の右から、4月~9月は左から、そして春分の日、秋分の日には尖塔の真後ろからサンライズしてくるのです。その美しさといったらもう、息をのむほどです。夢にまで見たアンコール・ワットでの夜明け、言葉も出ません。光に浮かぶ尖塔はカンボジアの象徴、神秘の都が徐々に姿を現していきます。やがて日が完全に昇ると、集まっていた人々も散っていき一日が始まりました。

その後はいったんホテルに戻り朝食をとりました。クメール料理が続くので、おかゆとみそ汁を頂きました。10:00からはホテルのスパでマッサージを受けました。ハーブのオイルで全身を包まれ至福のひと時を過ごすのです。知らぬうちにうとうと、「Finish」の言葉に名残惜しさを感じつつそのまま昼食に向かいました。アンコールカフェでのランチは、子牛のローストビーフをメインディッシュにシャーベットのデザート。そのあとはアフタヌーンティを頂きまったり。

15:00過ぎになると、タ・プロムへと向かいました。驚異のスポアン(榕樹)を目の当たりにすると、その根は遺跡に絡み付く大蛇のように見えます。中央祠堂では、胸を叩くと反響して響きます。手を叩いても声を出しても響かないのに、胸を叩いたときだけエコーするのです。ホントに不思議。しかし浸食されつつあるこの遺跡は相当痛んでいます。完全崩壊も時間の問題かもしれません。しかし確かな生命力を感じずにはいられないほど強く印象に残りました。

その後は再びアンコール・ワットに向かいました。今度は第一回廊のレリーフをガイドのソーさんの案内を聞きながらじっくり眺めます。本当に繊細でどれも興味深いものばかり。「乳海攪拌」はヴィシュヌ神が指揮を執り、大蛇の胴体を綱引きのように引き合う創世神話で、1000年後に海は乳海になりヴィシュヌ神の妻となるラクシュミーが産まれ、最後に不老長寿の妙薬アムリタが得られたというものです。その他にも、「天国と地獄」や「マハーバーラタ」など第一回廊は壮大なレリーフの大ギャラリーです。

第二回廊を入ると高さ60mを超える中央尖塔が姿を現しました。しかしこれより上部、第三回廊に登るには急勾配の石段を登らなければなりません。足を滑らしたら確実に死にます。しかしここまで来たのだから登らないわけには行きません。勇気を振り絞って、キ○玉がキュンとなるのをこらえて登りました。たどりついたそこからの景色はまさに絶景、ちょうど夕日が沈んでいくのです。一日のサンライズとサンセットをアンコール・ワットで見られて本当に素敵な一日。しかし登ったからには降りなければなりません。あらためて下を見ると、本当に高いし階段は急なのです。下り専用の唯一の手すり付きの階段を一歩一歩下りていきました。そして西参道を戻りゆくと、完全に日が沈みアンコール・ワットは再び闇へと消えていきます。

明日はシェムリアップ最終日。どの遺跡へ行こうか考えていると、じきに眠気が襲ってきました。

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