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2007 カンボジア旅行記2 【プノン・バケンの丘より】

1月14日(日)


アンコール遺跡群の町、シェムリアップの朝は早く、しかし緩やかな時間が流れます。いよいよ遺跡巡りの始まりです。

バンテアイ・スレイは「女の砦」の意味を持つヒンドゥー教の寺院でアンコール・ワットの北東に位置します。アンコール・トムは「大きな町」の意味を持つアンコール王朝の都。外壁や回廊には様々な物語を語るようにレリーフが刻まれ、どれも興味深く、時間を忘れて眺めるのです。そしてアンコール遺跡群で一番標高が高いプノン・バケンの丘からアンコール遺跡を一望、そこに沈み行く夕日を眺めると一日の終りです。


     ◇


朝食はホテルのレストランで済ませ、8時過ぎに出発。車で1時間ほど揺られると、郊外の遺跡、バンテアイ・スレイに到着しました。比較的小規模なこの遺跡は、赤い砂岩の色が特徴的です。アンコール・ワット以外の遺跡はすべて、東向きに作られており、午前中が日の加減がいいのです。この遺跡のレリーフはどれも精巧で美しく、目を奪われるばかりです。ヒンドゥー教の神々、シヴァ神、ヴィシュヌ神、ブラフマー神だけでなく様々な動物が描かれ、たくさんの物語が詰まっています。そして最も有名な「東洋のモナリザ」と形容されるデヴァターの彫刻をひとしきり眺めました。また、スリット状の窓は連子状窓への過渡期の技術で、美術史的だけでなく、建築史的にも極めて重要な遺跡と言えるそうです。

昼食は市内のレストランでクメール料理を頂きました。アモックやクーシン菜、焼そばなどはどれも控えめな味付けで日本人の口にもよく合います。しかしカンボジアが語源のカボチャ、カボチャのプリンはいまいちでした。

オールドマーケットはシェムリアップ市民の市場。様々な雑貨や食べ物、観光客向けのお土産品が並んでいます。近くのカフェで休憩しながらそんな市民の生活を眺めているとお土産売りの子供がよってきて、「ワンダラー」といって絵はがきを見せてきます。遺跡の周りにもこういう子供たちはいますが、町中の子はちょっとシャイなのか、控えめなのか、あまりしつこくは言い寄ってきません。

午後からはアンコール・トムへ向かいました。アンコール・トムは12世紀後半、ジャーヤヴァルマン7世によって造られたという城砦都市遺跡です。市内から車で20分、南大門の前に到着しました。門から堀を結ぶ橋の欄干には乳海攪拌を模したナーガ(蛇神)になっています。またこのナーガを引っ張るアスラ(阿修羅)と神々の像が並んでいます(写真左)。その後、砦の中に入り、宇宙の中心というバイヨン寺院や、象のレリーフが並ぶ象のテラス、パプーオン、ピミアナカス、ライ王のテラスを見て回り、遺跡の壮大さに心を奪われます。

夕方になると夕日を見るために、プノン・バケンの丘に登りました。像に乗っても登れるこの丘を徒歩で20分、頂上に到着すると、アンコール遺跡群が眼下に広がりました。四方どこを眺めても地平線が見渡せます。その中に浮かぶアンコール・ワットは絶景でした。夕日を見るための観光客でごった返しているその頂上から一段降り、古代のテラスに座り込みました。遥か彼方に沈みゆく夕日は、どこで見た夕日よりも雄大で印象深いものになりました。

夕食は市内のレストランで宮廷舞踊「アプサラの舞い」を見ながら頂きました。このアプサラの舞いはアンコール遺跡のレリーフにも登場するもので、クメール文化の華、美しい女性の舞を堪能しました。

そしてホテルに戻り、一日中歩き回って疲れた足をフットマッサージでいたわります。明日は今旅のハイライトの一つ、アンコール・ワットの夜明けから始まります。5:00起床予定なので、すぐに眠りにつくことにします。

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