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「いつか中華屋でチャーハンを」

もちろん優勝は逃した。

YBR(酔っ払いビブリオランブル)

 先日、行きつけの店でYBRなるイベントに出場した。参加者は飲酒状態でスタートし、自身がチョイスした本(小説エッセイ漫画図鑑雑誌なんでもごされ、ただしエロNG)を武器に、1人7分の持ち時間で紹介し合って誰が一番読書欲を誘ったか決める戦い。有り体に言えばビブリオバトルの飲酒Ver.だ。本と酒を愛する魑魅魍魎が渦巻くそのイベントに、僕は「いつか中華屋でチャーハンを」(増田薫)を、薩摩示現流よろしく大上段に構えて乗り込んでいったのである。結果は華々しく散る事ができた。初段を外した瞬間にもうダメでした。チェスト。

 このYBRへの参加にあたり、noteを活用して原稿を作成していたので、せっかくだから記事にしようと思う。こんな事喋ってました。もちろん酔っていたので本番はだいぶアドリブが入ってたけども。

はじめに

 皆さん最近行きました?中華屋。中華屋行った時って何頼んでます?ラーメンとか餃子とか麻婆豆腐とか頼んでます?あぁ。分かってないわ。分かってないですよ皆さん。そんな王道で定番なメニュー注文してどうするんですか。何をしに中華屋行ってるんですか。ダメですよ。もっと視野を広げないと。「中華屋来たんだしラーメン食べるでしょ」なんてもう愚鈍。思考停止。放棄してるわ、考えることを。

 よく思い出して下さいよ。ね?頭の中で中華屋のメニュー思い出して。アクリルの板に挟まってテーブルに置いてあるヤツですよ。何が書いてあります?左上は大体麺類ですわ。ラーメンワンタン麺五目ラーメンとか。そんで真ん中頃にご飯物とか、酢豚野菜炒めレバニラとかがあって。ただちょっと待って下さいよ。一回見てください、ご飯物の欄。カレーライスがあるじゃないですか。定食の欄にはスタミナ定食とか。抽象的すぎる定食ですわ。あるところにはオムライスなんかもあるんですよ。ね?気になりません?中華屋のオムライス。中身はチキンライスじゃないヤツもあったりするんですよ。食べてみたくないですか?味を知りたくないですか?

 でもなんか嫌ですよね。中華屋来たのに定番じゃない物で一食消費するのってなんか損した気分になりますよね?僕自身もそうだったんですよ。中華屋行ったら大体ラーメンと炒飯だったんです。でもこれを読んでメニューの見方がガラっと変わりました。待ってるんですよ。カレーとかオムライスが待ってるんですよ、あなたからの注文を。大丈夫、恐くないから。一食捨てると思って食ってみてください。どっぷりハマりますから、中華屋のカレーライスに。

「いつか中華屋でチャーハンを」

表紙が好き。

 ただ、その前に1度読んで欲しいのがこの本、増田薫の「いつか中華屋でチャーハンを」です。これを読んで予習してから行ってください。

 この本は8人組ソウルバンド「思い出野郎Aチーム」サックス担当の増田薫が、「ジモコロ」ってウェブメディアに連載してたグルメエッセイ漫画で、定番メニューじゃない料理を求めて色々行ったり調べたりする漫画です。なんかTwitterで記事が回ってきて、なんとなくソレを読んだらもうドはまりしまして、連載終了後に単行本を書店で見つけてゲットした感じです。バンメンとか中華うどんとか知らない中華屋の料理がめちゃくちゃ美味そうな絵柄で書かれてて腹が減るんですよ。

 作者、増田さんは、中華屋に入ったら餃子とか適当なツマミとビール、シメにラーメンとか炒飯を食べたかったタイプだったんですけど、友人から「中華屋のカレーで誰が食べてるのか気になるよね」って言われてから、中華屋でカレーを頼む生活に変わっていき、一時期はカレーの文字しか見えない所まで行ったそうで。そしたら今度はオムライスとかスタミナ丼とか白菜餃子とか、一気に中華屋の世界が広がったと。で、知り合いから「漫画描けないんすか?」って言われて描き始めたのがこれです。「大阪のあんかけカツ丼」の回ですね。

1話だけ紹介

 大阪の中華屋で「カツ丼」って注文すると、皿に盛られたご飯の上に薄いカツを乗っけて、その上から中華餡を掛けたものが出てくるらしいんですよ。カツを出汁で煮て卵で閉じたヤツじゃなくて。前からそれが気になってた増田さんだったんですけど、ちょうど大阪でライブやる事になったんで、夜行バスで前乗りして食べてみようと。早朝に新大阪到着で、目的のお店まで時間調整とカロリー消費を兼ねて3時間歩くんですけど、あんかけカツ丼の為に3時間徒歩っていうこの滲み出る狂気がヤバいですね。

記事のキャプチャ

 お店について注文して、出てきたのがこれ(☝)です。めっちゃ美味そうじゃないですかこの絵。見た感じ、ネギ?が入った卵の中華餡が薄いカツの上にかけられててすっごく美味そうなんですよ。増田さんこの後お店の人にあんかけカツ丼の由来を聞こうとするんですけど、お店のオバちゃんが機嫌悪くて聞けなくて、もう一軒行ってあんかけカツ丼頼むんです。そんで二軒目のカツ丼が1軒目より更に具沢山で量も多い。3時間歩いた消費カロリーは無かった事になりましたね。このお店でも由来を尋ねる増田さんですけど、43年営業してる老舗ですら分からないそうで。半世紀営業してきたお店が分からないんならもう誰も分からないだろうと、結局ただ美味しいカツ丼を二食食べただけで終わるんですよこの回。このゆるさが良いですね。もちろんダル麺の回とか神戸の中華シチューの回とか、増田さんなりにちゃんと調べたり考察したりする面白い回もあるんで大丈夫です。マイナー中華の読み物としてちゃんと面白いんで大丈夫です。

どこで読めるか

 この本、もちろん書店とネット販売で買えるし、電子書籍もあるんで割とすぐ手に入ります。一冊1,800円くらい。紙の本だとカラーページが少ないんですけど、電子書籍だとオールカラーなんでめちゃくちゃ料理の絵が美味そうなんですよ。空腹時に是非読んで欲しい。中華屋行かなきゃ気が済まなくなるんで。

 で、これタイトルで検索すればジモコロで連載してた記事が読めるんですよ。もちろん全部カラーなんで、「本買うのはな~時間ないし~」って人はいっそ記事で読むのもまぁ良いんじゃないですかね?今は第2シーズンやってます。個人的には作者にお金落として、また知らない中華食べて欲しいんで、購入をおすすめしますわ。描き下ろしページも多いしね!

 以上。僕が紹介しました「いつか中華屋でチャーハンを」でした。これを読んで、皆さんも中華屋行ってカレーとか生姜焼きとか、王道じゃないメニューを食べましょう。僕はラーメンと炒飯頼みますけど。

おわり

 という感じで話した。だいぶ早口でまくし立てた感が否めない。もう少しゆっくり話せば上手くいったんだろうか。まぁ制限時間ピッタリで終えられたから良いか。ビブリオバトルって難しいね。。今度は「ワカコ酒」を掲げて行くかな。グルメ漫画大好き。


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