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『機械学習』という言葉の違和感

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(この記事は音声でも聞くことができます)

最近、AIの進化が目まぐるしいですね。AIという言葉と同じくらいよく聞くのが『機械学習』という言葉です。この言葉・・・機械設計者の私としては、ずっと喉の奥に小骨が刺さるような違和感がありました。否、正直そんな小さなものではなく、靴を左右逆に履いたときのような強烈な違和感があります。

『機械学習の”機械”ってなんやねん!!』

ということです。

「いや、コンピュータのことでしょ」

って言われたらそれまでですが、コンピュータを機械と呼ぶのはざっくりしすぎじゃね??と、私は言いたい。だったら、PC学習とか、コンピュータ学習とか・・・まあ、ネーミングセンスはさておき・・・

って感じじゃないですか?

今回はその違和感について、ちょっとだけ考えてみたいと思います。結構、どうでも良い話ですが、お付き合いください。

AIと機械学習の違い

そもそも、機械学習とは何なのでしょうか。AIと同義で使われることもありますが、厳密に言えば違います。まずAIの定義ですが、実はこのAIという言葉・・・明確な定義は存在しないんです。作った人が「これはAIだ!」と言ったらAIということになります。とは言え、一般的な共通認識としてAIは

人間のように思考や判断をするコンピュータシステム

と言えるでしょう。一方、機械学習がなんなのかと言えば、AIを立派に育てるために行う学習です。生まれたてのAIは、何も教えなければ赤ちゃんと一緒です。いくら処理能力があっても、知識や情報がなければ何かを思考することも判断することもできません。そんな赤ちゃんAIを立派に育てるために行うのが機械学習なのです。少し小難しく定義すると機械学習は

AIが人間のような高度な判断を実行するのに必要な「法則」をコンピュータ自身に探させる方法

と言えますね。

機械学習の機械ってなんのこと?

定義がわかったところで、本題に入りましょう。機械学習の"機械"って、結局なんなんでしょうか?

結論から言えば、もちろんコンピュータのことです。機械学習は英語では、Machine Learningと言います。この言葉は、1959年にアメリカの計算機科学者であるアーサー・リー・サミュエル氏によって作られました。彼は、計算機、つまりはコンピュータ分野の科学者であり、AIの基本的概念をいち早く世界に示した人物でもあります。

では、なぜ彼は、Computer Learning ではなくMachine Learningとしたのでしょうか。それは、ぶっちゃけ彼にしかわかりません。ただ一つ言えるのは、そもそも英語のMachineにはComputerという意味があります。

【machine】の意味
1. 《機械》〔電気などで動く〕機、機械
2. 《機械》〔人力で動かす〕仕掛け、道具
3. 〔エンジンで移動する〕乗り物、自動車、飛行機、オートバイ
4.   コンピューター、マシン
5. 〔生物などの複雑な〕機構、仕組み
6. 〔目的達成のために作られた複雑な〕機構、機関
・・・・etc

だから、現地の人は別にMachine Learningという言葉には違和感がないのでしょう。これを直訳したのが、機械学習という言葉ですがこの直訳が安直過ぎたんだと私は思ってます。そう、日本語の機械という言葉にはコンピュータという意味はないのです。これが違和感の正体・・・に違いない!!と、私は思いたい!!

機械とは何か?

普通の人は「コンピュータも機械だから別によくね?」と思うでしょうが、我々機械設計の技術者ともなれば話は別です。機械の定義をコッテリと叩きこまれていますから、機械学習という言葉に違和感バリバリなわけです。

機械の定義として有名なのは、フランツルーローの定義でしょう。

機械とは力に対して抵抗力のある物体の組合せで、各部の運動は限定され、相対運動をし、これにエネルギーを供給して仕事をさせるもの

上記はちょっと小難しい定義ではありますが、ざっくり言えば機械とは人力以外の力で物理的に動いて働いて仕事をするモノです。つまり、コンピュータにタイヤでもついて走り回ったり限りは、コンピュータを機械と呼びたくないわけです。

この気持ちを例えるならば、母が再婚した相手を「お父さん」と呼ぶのを躊躇う気持ちと同じです。「お前は私のお父さんじゃない!!」そう叫ぶ子供の純情と同じように、私もまたセンチメンタルな気持ちでこう叫ぶのです。

コンピュータ、お前は機械じゃない!!

しかし、この手の問題は時間が解決してくれるものです。きっと、時間を掛けてお互いを理解すれば、私も新しいお父さんのことを「お父さん」と素直に呼べるがくるのでしょう・・・・じゃなくて、いつかコンピュータを機械として受け入れる日がくるでしょう。

でっていう?

つまりは、英語の”Machine”と日本語の”機械”は同じ意味のようでも、ニュアンスの違いがあって、Machine Learning=機械学習と安直に訳したから何だかよくわからんことになったという話です。工学分野にも、たまに翻訳がイケてない専門用語ってありますよね。ああいうのと同じですね。訳した奴誰やねん、出てこいやぁ!!

ただの言葉遊びかもしれませんが、言葉の定義って結構大切だと思ってます。AI関連の勉強をしてても、この「機械学習」という言葉だけは未だに違和感が拭えませんね。もし同じ違和感を持っていた人が居たら、是非この記事にいいねをおねがいします!!

あと、専門用語とかで他にイケてない翻訳あれば話のネタとして是非教えていただければ嬉しいです。

まあ、こんなに文句言いながらも、機械学習の解説記事をちゃっかり書いてますので、“機械学習の基礎“を知りたい方は是非こちらもチェックしてください!!

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