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ChatGPTは技術士第二次試験の問題を解けるのか?part2~GPT-4.0~

昨今話題のChatGPT。AI技術を用いた対話に特化した文章生成サービスです。まるで人間が書いたような緻密で複雑な文章を自動生成できるため、大きな反響を呼んでいます。

先月、このChatGPTに技術資格で国内最難関である技術士第二次試験の問題を解いてもらいました。

結論は、それなりに書けるけど、最後までは無理(回答途中で崩壊)って感じでした。今回は同様の問題にGPT4.0でリベンジしたいと思います。それではいきましょう!!

技術士第二次試験の難易度

まず技術士第二次試験とはどの程度の難易度なのかを軽く説明します。技術士第二次試験は、技術系の資格の中では国内最難関とされる試験です。合格率は毎年10%前後となっています。その二次試験の科目の中でも筆記試験が最も難関で、試験は小論文形式です。今回はこの小論文をChatGPT君に解いてもらっちゃおう!というチャレンジです。

私は昨年、この技術士第二次試験を受験し、合格しています。今回は私が実際に受験した科目である機械部門の問題をChatGPT君(GPT4.0)に解いてもらいます。GPT3.5の仇は取れるのか!?

基本的には、過去問をそのままぶち込んで回答してもらうというシンプルな方式でいきます。前回とレギュレーションを合わせる意味もありますし、聞き方を突き詰めていくと無限に遊べてしまうので・・・。今回も前回同様に、令和4年度 機械部門 必須問題Ⅰ-2をテーマにやっていきます。下記が問題文です。

必須科目Ⅰ-2 第一問

(令和4年 機械部門 必須科目Ⅰ)
コロナウイルス感染症拡大防止のためテレワークの導入が急速にすすめられてきており、今後は単なるテレワークのためのツールや環境の開発・整備だけでなく、テレワーク自体の新たな形態への変革が進むと考えられてる。一方、現在の機械製品の製造現場においては、実際に『現場』で『現物』をよく観察し、『現実』を認識したうえで業務を進める『三現主義』の考え方も重要と考えられている。特に、工場での製造業務や保守・メンテナンスを含む生産設備管理業務においては、機械稼働時の音や振動、潤滑油の匂い等、人が感じる感覚的な情報を活用して業務にあたることが少なくない。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)生産・設備機械を監視・監督する保全技術者が三現主義のメリットを活かせるようにテレワークを実現する場合、どのような課題が考えられるか、多面的な観点から3つ抽出し、それぞれの観点を明確にしたうえで、それぞれの課題内容を示せ。

さあ、回答をどうぞ!!

(ChatGPTの回答)
テレワークにおいて、生産・設備機械を監視・監督する保全技術者が三現主義のメリットを活かすために考慮すべき課題は以下の3つです。

1.センサリー・フィードバックの不足
テレワーク環境では、保全技術者が実際に現場で機械の音や振動、潤滑油の匂いなどを直接感知することが難しい。これらの感覚情報は、機械の異常や摩耗を早期に検知するうえで重要です。この課題に対処するために、リモートで感覚情報を取得・伝達できる高度なセンサーやモニタリング技術が必要となります。

2.現場のコミュニケーションの喪失
テレワークでは現場のスタッフとの直接的なコミュニケーションが減少し、状況の共有や問題解決の速度が低下する可能性があります。これにより、保全技術者が三現主義の考え方で業務を進めることが困難になる場合があります。この課題に対処するためには、リアルタイムでのコミュニケーションツールの導入や、現場スタッフとの定期的な情報交換の仕組みが求められます。

3.リモート環境での緊急対応の限界
テレワークにおいて、保全技術者が現場で直接対応できない状況では、機械の故障や事故が発生した際の迅速な対応が難しくなります。これは、三現主義の現実を認識し、適切なアクションを取ることが求められる状況での対応力が低下することを意味します。この課題に対処するためには、リモート環境での緊急対応プロトコルの策定や、現場スタッフへの十分なトレーニングが必要です。さらに、保全技術者が必要な場合には素早く現場に移動できるような体制を整えることも重要です。

これらの課題に対処することで、保全技術者がテレワーク環境でも三現主義のメリットを活かし、効果的に業務を遂行することが可能になります。高度なセンサーやモニタリング技術の開発、リアルタイムでのコミュニケーション手段の整備、そして緊急対応体制の構築など、多面的な取り組みが求められます。また、これらの取り組みを組み合わせることで、保全技術者が遠隔地からも現場の状況を正確に把握し、円滑なコミュニケーションを行い、迅速な対応ができる環境を整えることができるでしょう。

組織全体でのテレワークへの取り組みや、技術者のスキル向上、そして継続的な技術革新により、三現主義を活かしたテレワークが実現可能になると考えられます。これにより、従来の働き方に囚われず、生産性の向上や労働環境の改善にも繋がることでしょう。

すっごー!!!!!!!

GPT3.5に比べて、格段に回答内容の分解能が上がっています。内容的にも納得感がありますし、いまのところかなりいい感じです。題目として挙げているのが「課題」ではなく、「問題」なのが気になるますが、まあそこは置いておきましょう。これは次の問いも期待できますね。最後までいけるかな!?

必須科目Ⅰ-2 第二問

(令和4年 機械部門 必須科目Ⅰ)
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する解決策を機械技術者として3つ示せ。

どうかね?

(ChatGPTの回答)
最も重要と考える課題は、「センサリー・フィードバックの不足」です。この課題が解決されないと、保全技術者がテレワーク環境で現場の状況を正確に把握し、適切な判断を下すことが難しくなります。以下に、機械技術者として考えられる3つの解決策を示します。

1.高度なセンサー技術の開発と導入
機械の音や振動、温度、圧力などをリアルタイムで検知・伝達できる高度なセンサー技術を開発し、設備機械に導入します。これにより、保全技術者が遠隔地からでも機械の状態を正確に把握できるようになります。

2.仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術の活用
VRやAR技術を活用して、保全技術者が現場の状況をリアルタイムで視覚的に把握できる環境を整えます。これにより、技術者は遠隔地からでも現場にいるかのような感覚で作業ができ、問題の発見や判断が容易になります。また、AR技術を使って現場スタッフと共同作業を行うことも可能になり、コミュニケーションや問題解決が効率化されます。

3.AIとデータ分析の活用
機械のセンサーから収集されたデータをAIやデータ分析技術を用いて解析し、異常検知や予測保全に活用します。これにより、保全技術者は遠隔地からでも機械の状態を詳細に把握し、故障や事故のリスクを早期に特定できるようになります。また、AIによる効率的なデータ解析が、技術者の判断を補完し、より正確な対応を可能にします。

これらの解決策を実践することで、「センサリー・フィードバックの不足」という課題に対処し、保全技術者がテレワーク環境でも三現主義のメリットを活かすことができます。高度なセンサー技術によってリアルタイムで機械の状態を把握し、VRやAR技術を使って現場の状況を視覚的に確認し、AIとデータ分析を利用して異常検知や予測保全を行うことが可能になります。

これらの技術を組み合わせることで、保全技術者は遠隔地からでも現場の状況を正確に把握し、迅速かつ適切な対応ができる環境が整います。さらに、これらの技術は生産性向上や労働環境の改善にも貢献し、従来の働き方に囚われない新しい働き方を実現することができるでしょう。

良い!!!!

これは・・・非常に良い回答ですね。内容にも整合性があり、全く崩れてません。恐ろしすぎるぜ、GPT4.0の力なのか。私の昨年の回答とあまり遜色ないかも??

これは、走り切れそうな予感。

必須科目Ⅰ-2 第三問

(令和4年 機械部門 必須科目Ⅰ)
(3)前問で示した全ての解決策を実行した結果、得られる成果とその波及効果を分析し、新たに生じる懸念事項への機械設計者としての対策をについて述べよ。

前回はここで、文脈が崩壊しましたね。問題文も難解だし、ここまでの回答を余すことなく考慮する必要があります。さて、GPT4.0のトークン長の長さのみせどころ!!

(ChatGPTの回答)
解決策の実行によって得られる成果と波及効果は以下の通りです。

1.効率的な機械保全:
高度なセンサー技術、VR/AR技術、およびAIとデータ分析の活用により、保全技術者が遠隔地からでも機械の状況を正確に把握し、迅速かつ適切な対応ができるようになります。これにより、機械の故障や事故のリスクを低減し、生産性が向上します。

2.人員配置の柔軟性:
テレワークが実現可能になることで、人員配置がより柔軟になり、労働環境の改善や働き方の多様化が促進されます。また、技術者のスキルや専門知識が地理的な制約なく活用できるようになり、全体の業務効率が向上します。

3.環境への負荷軽減:
テレワークの普及により、通勤に伴う環境への負荷が軽減されます。減少する交通量は、渋滞や交通事故のリスク低下にも繋がり、地球環境や社会にもポジティブな影響を与えます。

一方で、新たに生じる懸念事項と対策は以下の通りです。

1.セキュリティとデータ保護:
遠隔地から機械のデータにアクセスすることで、セキュリティリスクが高まる可能性があります。機械設計者は、データの暗号化やアクセス制限などの対策を講じ、情報漏洩や不正アクセスを防ぐ必要があります。

2.技術的な障壁の解消:
高度なセンサーやVR/AR技術、AIとデータ分析の導入には、コストや技術的な障壁が存在します。機械設計者は、これらの技術を効果的に活用できるよう、コスト面や技術的な問題に対処し、継続的な技術開発や導入を行う必要があります。また、スキルアップや教育プログラムを整えることで、従業員が新しい技術を効果的に利用できるよう支援することも重要です。

3.人間の感覚に頼る部分の検討:
高度な技術を用いても、人間の感覚に頼る部分が完全に取り除かれるわけではありません。機械設計者は、技術の限界を理解し、現場での人間の判断が必要とされる状況においても適切な対応ができるように、連携や緊急対応プロトコルを策定することが求められます。

これらの懸念事項に対処することで、テレワーク環境での機械保全業務が効果的かつ安全に行われるようになります。機械設計者は、技術革新を追求するだけでなく、それに伴うリスクや課題にも対応し、持続可能な働き方を実現するための環境整備に努める必要があります。セキュリティ対策の強化、技術的障壁の解消、人間の感覚に頼る部分への対応などを考慮しながら、新しい技術を適切に活用することで、効率的で柔軟な働き方が実現されるでしょう。

結果的に、これらの対策により、生産性向上、人員配置の柔軟性、環境負荷軽減などの成果が得られ、業界全体にポジティブな波及効果が生じることが期待されます。機械設計者は、技術革新や継続的な改善を通じて、三現主義を活かしたテレワーク環境の実現に向けて取り組むことが求められます。

いったー!!!!

なんならまだ余力を残してそうな勢い。文脈も崩れてないし、波及効果も懸念事項も良い線をついていると思います。問題文に対して、キッチリと回答できている印象です。あっぱれ。

設問はあと1問。乗り切れるか!?

必須科目Ⅰ-2 第四問

(令和4年 機械部門 必須科目Ⅰ)
前門(1)~(3)の業務遂行に当たり、機械技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点について述べよ。

これも抽象度が高い問いですね。ラストガンバ!!

(ChatGPTの回答)
機械設計者として、倫理と社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点は以下の通りです。

1.プライバシーとデータ保護:
機械やセンサーから収集されるデータには、個人情報や機密情報が含まれる可能性があります。設計者は、プライバシーを尊重し、データ保護のための適切な手段を講じることが重要です。

2.環境に配慮した設計:
設計段階から環境に配慮し、エネルギー効率の高い機械やリサイクル可能な素材を使用することで、環境負荷を軽減し、持続可能性に貢献できます。

3.労働安全と健康:
遠隔地からの機械操作や保全業務が安全に行われるよう、設計段階で労働安全と健康に配慮した設計を行うことが重要です。事故防止や労働者の負担軽減につながる機能を取り入れることで、安全で働きやすい環境を整えることが求められます。

4.技術的公平性の確保:
テレワーク環境や先進技術が広く利用されるようになると、デジタルデバイド(技術格差)が拡大する懸念があります。設計者は、技術的公平性を確保し、できる限り多くの人々が新しい技術を利用できるように取り組む必要があります。

5.倫理的な技術開発:
AIやデータ分析を活用する際は、倫理的な問題やバイアス(偏り)の発生を検討し、公平で透明性のある技術開発を目指すことが重要です。

6.社会へのコミュニケーション:
新しい技術やシステムを導入する際には、関係者や社会全体へのコミュニケーションが重要です。技術の目的や利益、リスクを明確に説明し、理解を促進することで、適切な利用や適応が促されます。

7.持続可能な開発目標 (SDGs) への取り組み:
機械設計者は、持続可能な開発目標 (SDGs) にも配慮し、環境保護、労働安全、社会の公平性など、広範な視野で設計や技術開発を行うことが求められます。

これらの要件や留意点を検討することで、機械設計者は倫理的かつ持続可能な開発に貢献できます。新しい技術や働き方が実現される中で、設計者は社会や環境への影響を常に考慮し、責任ある開発を進めることが重要です。

もう凄いの一言に尽きる。

まさか、過去問の問題文をぶち込むだけで最後まで走り切ってしまうとはね。論述が合格レベルかはさておき、まず辻褄が合った回答が出来ている時点で凄すぎますね。おそらく、聞き方を工夫すれば合格レベルの論文を作り出すこともできるでしょう。あと、GPT4.0になってからやたら饒舌で聞いてもいないことをべちゃくちゃと喋り出します。一生懸命「俺知ってるんだぜ」アピールをしているみたいで、可愛く見えました。ある意味では、必要最低限の回答だけをさせる問い方の工夫も必要ですね。

まとめ

・GPT3.5では、回答しきれなかったがGPT4.0なら余裕のよっちゃん
・聞き方を工夫すれば、多分合格レベルの論文も書ける
・GPT4.0はかまってちゃんっぽくて、ちょっと可愛い

先月、GPT3.5を使ったときも相当の衝撃でしたが、約1か月余りでそれを余裕で超えてくる衝撃に出会うとは思いませんでした。この技術の進歩の速さ、ヤヴァイね。次は、人間が書いた技術士論文をChatGPTに添削してもらうってことをやってみたいと思います。もしこれが出来たら、今後の技術士試験の受験生は、かなり勉強効率が上がるだろうね。

現時点では、GPT4.0を使うには月額2000円ちょい掛かるけど、余裕でお釣りがくるほどの価値があります。お金を払ってでも触れてみることをおススメします!!

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