見出し画像

ChatGPTは技術士第二次試験の問題を解けるのか!?

昨今話題のChatGPT。AI技術を用いた対話に特化した文章生成サービスです。まるで人間が書いたような緻密で複雑な文章を自動生成できるため、大きな反響を呼んでいます。

鉄は熱いうちに打て

といいますし、ミーハーな私としては流行っている内になんか試したいなーと考えてました。そこで閃いたのは、このChatGPT君に技術系資格での国内最難関の試験『技術士第二次試験試験』の過去問を解いてもらう、ということです。果たして、ChatGPTは技術士足り得るのか・・・さっそく試していきましょう!!

手始めに選択科目Ⅰから

問題は昨年の過去問とします。昨年は私も受験しましたので、令和4年の過去問は特に思い出深い問題です。私の受験科目の機械部門の機械設計からの出題です。まずはウォーミングアップとして、一番答えやすそうな問題にしました。

(令和4年 機械部門 機械設計 選択科目Ⅱ-1-1)
除去加工は、金属材料の不要な部分を除去して目的の形に加工する方法であり、切削加工・研削加工・研磨加工・特殊加工(放電加工、レーザー加工など)に分類される。これらの分類から3つ選択し、それぞれの分類で使用される工作機械を1つ挙げて、その加工方法及び特徴を説明せよ。

さあ、答えるが良いChatGPT!!

(ChatGPTの回答)
切削加工、研削加工、研磨加工の3つを選択します。

切削加工: 切削加工では、刃物を用いて材料を切り取る加工方法です。使用される工作機械の一例としては、旋盤やフライス盤があります。特徴としては、高速で加工できることや精度が高いという点があります。

研削加工: 研削加工では、研磨石などを用いて材料を研磨する加工方法です。使用される工作機械の一例としては、研磨機があります。特徴としては、表面粗さを細かく調整できることや精密な表面加工ができるという点があります。

研磨加工: 研磨加工では、研磨粉などを用いて材料を研磨する加工方法です。使用される工作機械の一例としては、研磨機や振動研磨機があります。特徴としては、表面粗さを非常に細かく調整できることや、表面精密加工が可能なという点があります。

おおーすごい、それっぽく回答は出来てますね!!

問題の指示に沿って、3つの加工方法を抽出して、機械の例と特徴も挙げられています。素晴らし過ぎる・・・。解答として合格レベルには程遠いですが、ちゃんと問答は出来ているからすごいですね。もう一問、行ってみましょうか。

(令和4年 機械部門 機械設計 選択科目Ⅱ-1-3)
回転体と固定部の間に設置され、異物の侵入を防止したり、内外部の機体や液体などの流体が漏れ出て圧力が変化することを防いだりする密閉構造(シール構造)を3つ挙げ、それぞれの特徴、使用上の注意点を述べよ。

どう答える、ChatGPT!!

(ChatGPTの回答)
以下3つの密閉構造を選択します:

ラバーシール: ラバーシールは、ゴム製の材料を用いて作られた密閉構造です。特徴としては、耐油性、耐温性、耐圧性が高いことがあります。使用上の注意点としては、環境温度によっては収縮したり膨張したりすることがあり、適切なサイズを選択することが重要です。

メタルシール: メタルシールは、金属製の材料を用いて作られた密閉構造です。特徴としては、高い耐圧性、耐温性、耐腐食性があります。使用上の注意点としては、シール部分が摩耗した場合には交換が必要であり、シールが取り付けられた部分の精度が高いことが重要です。

PTFEシール: PTFEシールは、PTFE製の材料を用いて作られた密閉構造です。特徴としては、高い耐油性、耐腐食性、耐温性があります。使用上の注意点としては、適切なサイズを選択することが重要であり、シールが取り付けられた部分の正確なフィットが必要です。

これも、先ほどと同様にちゃんと問題に沿った回答ができています。少なくとも、昨年の勉強を始めたばかりの私よりはよっぽどしっかりと書けています。

ただ、やはり専門的な回答に深さがないですね。ネットで調べたら出てくるような内容をサラッとまとめた感があります。

ここからが本番、必須科目にチャレンジ!!

では、次は更に難しい必須科目にチャレンジしてもらいましょう。問題は同じく令和4年の過去問です。

(令和4年 機械部門 必須科目Ⅰ)
コロナウイルス感染症拡大防止のためテレワークの導入が急速にすすめられてきており、今後は単なるテレワークのためのツールや環境の開発・整備だけでなく、テレワーク自体の新たな形態への変革が進むと考えられてる。一方、現在の機械製品の製造現場においては、実際に『現場』で『現物』をよく観察し、『現実』を認識したうえで業務を進める『三現主義』の考え方も重要と考えられている。特に、工場での製造業務や保守・メンテナンスを含む生産設備管理業務においては、機械稼働時の音や振動、潤滑油の匂い等、人が感じる感覚的な情報を活用して業務にあたることが少なくない。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)生産・設備機械を監視・監督する保全技術者が三現主義のメリットを活かせるようにテレワークを実現する場合、どのような課題が考えられるか、多面的な観点から3つ抽出し、それぞれの観点を明確にしたうえで、それぞれの課題内容を示せ。

昨年、私もこの問題を選んで解答しました。今読み直してみても、なかなかに難解ですよね。本来、設問は4つありますが、一気に聞くと文字数的に解答できないのでまずは(1)だけです。

これに答えれたらすごくない??どう出る、ChatGPT!!

(ChatGPTの回答)
(1) 三現主義のメリットを活かすためのテレワーク実現に対する課題

技術的課題:
遠隔地から生産・設備機械の状況をリアルタイムで監視するためのテクノロジー(センサーや映像・音声伝送など)の導入・改善が必要である。遠隔地から機械の操作ができるインターフェースの提供が必要である。

組織的課題:
生産・設備機械の監視・監督のための人員配置・運用体制の構築が必要である。テレワークを適用するためのワークフロー・手順の整備が必要である。

倫理的課題:
テレワークを行う際に、生産・設備機械の状況を十分に認識できるようにするためのトレーニングが必要である。テレワークを行う保全技術者のアクセス権限の管理が必要である。テレワークを行う保全技術者に対する報酬や評価制度の整備が必要である。

すっご!!!!!!

多面的な課題を『技術、組織、倫理』で区分けて、しっかりと明記しています。文章は箇条書きっぽいですが、解答内容もまずまず納得感はありますね。正直、この問題で躓くと思ってましたが、これは想像以上でした。

この調子で次の設問。

(令和4年 機械部門 必須科目Ⅰ)
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する解決策を機械技術者として3つ示せ。

どうだ!?

(ChatGPTの回答)
最も重要な課題としては、「感覚的な情報を遠隔地から正確に把握すること」が挙げられます。これは、保全技術者が現場に訪れずとも、機械の状況を正確に把握して対応することができるようにする必要があるということです。

この課題に対する解決策としては、以下のようなものが挙げられます。

製造設備の情報収集技術の強化:製造設備には、稼働状況やトラブルの情報を収集するセンサーなどの技術が装備されています。これらの技術を利用して、遠隔地からも製造設備の状況を正確に把握することができるようにする必要があります。

遠隔監視システムの構築:製造設備に実装された情報収集技術を利用して、遠隔地からのモニタリング・監視システムを構築することが有効です。このシステムにより、遠隔地からも製造設備の状況を正確に把握することができます。

操作性の向上:遠隔地からのモニタリング・監視システムの操作性を向上させることが重要です。これには、システムの使いやすさ・安定性の向上、操作者の操作感覚に合ったインタフェースの構築などが含まれます。

依然として体裁はちゃんと整ってますね!!

若干、解答内容は怪しくなってきましたが、解決策はしっかり3つ挙げていますし、聞かれたことにはちゃんと答えられています。頑張っている、ChatGPT!!

もういっちょ。

(令和4年 機械部門 必須科目Ⅰ)
(3)前問で示した全ての解決策を実行した結果、得られる成果とその波及効果を分析し、新たに生じる懸念事項への機械設計者としての対策をについて述べよ。

普通に人間が読んでも難解な問題文だぞ、いけるか??

(ChatGPTの回答)
一つ目の解決策であるリモートセンシング技術を利用することにより、保全技術者が生産設備の観察・監視を遠隔から実施することが可能となります。これによって、生産設備の一定のパフォーマンスの保証や、潜在的なトラブルの早期発見・回避などのメリットがあります。

二つ目の解決策であるVR・AR技術を利用することにより、保全技術者は遠隔からでも設備現場にいるかのようなリアルな環境を体験することができます。これによって、生産設備の現場にいるときと同様の観察・監視を実現することができます。

三つ目の解決策である設備の情報共有プラットフォームを構築することにより、保全技術者が遠隔から設備の情報を共有・共同管理することができます。これによって、生産設備の一元的な管理や情報の正確性の保証などのメリットがあります。

これらの解決策を実行することにより、保全技術者が遠隔からでも生産設備を観察・監視することができるようになり、以下のような成果が得られます。

・生産設備の一定のパフォーマンスの保証
・潜在的なトラブルの早期発見・回避
・生産設備の一元的な管理
・情報の正確性の保証

これらの成果は生産設備の業務効率の向上や、生産性の向上、生産設

ここらが限界か・・・お疲れさまでした!!

文字数制限で文章生成が切れちゃいました。依然として聞かれたことにはちゃんと答えようとしていますね。ただ、前問の解答との整合性が取れていません。これは設問を分割して聞いてしまったのが悪かったかも・・・私の聞き方の問題の可能性もあります。

解答の続きを書いてもらえるように頼んでみましょう。

(しぶちょー)
解答の続きを説明してください。

(ChatGPTの回答)
もう少し具体的な情報があると回答がより詳細かつ的確なものになるかと思います。具体的には、生産・設備機械の監視・監督において、何が問題となっているのか、どのような成果が期待されているのかなどがわかると、より適切な回答ができるかと思います。

なんか、問題にケチをつけてきましたよ。生意気ですね。ちょっと、パワハラしてみます。

(しぶちょー)
それを考えるのが、技術士としてのキミの仕事だろ。

(ChatGPTの回答)
はい、そのとおりです。技術者としては、社会や産業の課題に対して解決策を提供することが仕事の一部です。技術者は多角的な観点から問題を分析し、効果的な解決策を提供することが求められます。また、その解決策によって生じる懸念事項にも対応する必要があります。技術者としては、常に最善の解決策を見つけるために努力し、業界や社会に貢献することが大切です。

嫌味を綺麗に受け流されました。こいつ・・・できる!!

またChatGPTは技術士資格については、概要を全く学習していないようです。技術士に関する質問をしても、全く解答できませんでした。まさか技術士資格の知名度の低さがこんなところにも影響してくるとは・・・。

まとめ

・ChatGPTは技術士第二次試験の問題でも、それなりに解答はできる。
・当然、合格レベルの論文は書けない(書けたら逆に困る)
・パワハラ耐性あり
・ChatGPTは技術士を知らないらしい

正直、予想をはるかに上回った性能で驚きの連続でした。今回は令和4年の過去問でやりましたが、これを読んだ皆さんもChatGPTが無料で使えている内に他の年代の過去問とかでも試してみてください。逆に、どんな聞き方をすれば合格レベルに近い解答が出せるのか、追及するのも面白いかも??

AIの成長と可能性、そして脅威を肌で実感できました。是非、あなたもChatGPTに触れてみては!?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?