『Fate Core Sysytem(フェイト・コア・システム)』

はじめに
『Fate Core Sysytem(以下『FATE CORE』)』は、Evil Hat Productionsが開発したTRPGで、映画的な展開が楽しめる物語性の高いナラティブなゲーム・システムです。

ルール・メカニクスよりもプレイヤーの描写が優先されるのが特徴で、そのモットーは、「フィクションは物理法則よりも強し」です。

また、基本ルール・システムがクリエティブ・コモンズ(CC BY 3.0)になっているので、条件を満たせば無償で『FATE CORE』をベースにしたTRPGシステムを創作し発表・出版することもできます。

ルール概要
それでは、この『FATE CORE』のゲーム・システムを見てみましょう。意外に思うかもしれませんが、『FATE CORE』にはいわゆる"技能(スキル)”はありますが、能力値はありません。


【基本アクション】
基本アクションには、以下の4種類です。
克服(Overcome):目の前の生じた「障害(Obstacle)」を乗り越えるためのアクション
優位性の創出(Create Advantage):キャラクターが保有する「アスペクト(Aspect)」の条件が一致した場合にキャラクターが有利になるアクション
攻撃(Attack):他のTRPGでは戦闘等にあたる「コンフリクト(Conflict)」で誰かを攻撃するアクション
防御(Defend):「コンフリクト」で自分を防御するためのアクション


【『Fudge』ダイス~判定方法】
 『FATE CORE』の元になった『Fudge』というTRPGシステムが由来の特殊な六面体ダイス、「+」「-」「0(無印)」それぞれが2面ずつで構成されているものを4つロールして判定します。ロールの表記は独特で「+」4個の「+4」から「-」4個の-4までを表します。例えば、「+」2個、「-」1個、「無印」1個ロールした場合は、「++-0」と表記され、「+1」となります。このロールと「スキル」「スタント」「アスペクト」「ブースト」などの修正値の合計が判定結果となります。

ロール達成の程度を表現するのに、アクションをした時に「障害」をどれだけ上回ったか「シフト(Shift)」という表現を使います。「障害」を+3上回ったなら、「3シフト」です。また、判定結果は、以下の4段階に評価されることになります。

失敗(Fail):いわゆる”失敗”、目的は果たせない
引き分け(Tie):「軽微な代償」つきの成功
成功(Success):通常の“成功”
スタイリッシュな成功(Success With Style):「3シフト」でボーナス付きの”成功“


【スキル(Skill)】
いわゆる"技能"のことで、『FATE CORE』では以下の18種類の基本設定「スキル」があります。プレイヤー・キャラクターは、作成時に10個の「スキル」を選択できますが、主要な「スキル」を1つ最初に指定しておけば、残りはプレイ中に状況に合わせて選択して行っても構いません。

〈運動(Athletics)〉:ジャンプ、ランニング、クライミング、水泳などいわゆる「運動」技能
〈強奪(Burglary)〉:盗んだり、侵入するためのスキル
〈接触(Contacts)〉:人脈・コネのスキル
〈製作(Crafts)〉:機会を使って作業するスキル
〈欺き(Deceive)〉:嘘をついたり、勘違いさせるためのスキル
〈運転(Drive)〉:乗り物を操作するスキル
〈共感(Empathy)〉:人の感情面の変化を察知し、見抜くスキル
〈戦闘(Fight)〉:近接戦闘技能。主に「コンフリクト」で使う。
〈調査(Investigate)〉:綿密に精査することで何かを発見しようとするスキル
〈学識(Lore)〉:知識スキル
〈観察(Notice)〉:物事に気づくスキル
〈体力(Physique)〉:身体的な強さについてのスキル
〈挑発(Provoke)〉:相手を怒らせてネガティブで感情的な反応を引き出すスキル
〈信頼関係(Rapport)〉:ポジティブな関係を構築するためのスキル
〈資産(Resources)〉:物質的豊かさを表すスキル
〈射撃(Shoot)〉:射撃武器を使用するスキル
〈隠密(Stealth)〉:身を隠したり、見つからないように移動するスキル
〈意志(Will)〉:精神的な強さを表すスキル


【スタント(Stant)】
"必殺技"あるいは"特技"にあたるものです。「スキル」より適用される範囲が狭いですが、より強い効果を発揮する能力です。「スタント」をするためには、関係「スキル」を保有している必要があります。例えば、〈運動〉スタントである「スプリンター(Sprinter)」であれば通常の〈運動〉より優れた移動力を発揮することができるのです(+2ボーナスなど)。


【アスペクト(Aspect)】
『FATE CORE』の中核的ルールと言ってよいものです。キャラクターにとって重要なことがらについて描写するフレーズのことを言います。「アスペクト」でキャラクターの性格、特徴、人間関係、大事にしているもの、抱えている問題など1人の人格として表現することができます。
例えば、「元野外生活者」「優秀な狩人」「父の形見の弓」「アルカディア・ギルドの冒険者」「見知らぬ魔族の親戚」など、キャラクターの背景や職業、所持品、人や組織との関係を一言で表現するのが「アスペクト」です。
他のTRPGであれば、「フレーバー・テキスト」などで済まされるキャラクターの設定がそのままゲーム・ルールで活用されるのがこのシステムのナラティブたるゆえんです。

なお、「アスペクト」はキャラクターの善悪の両面を表すことが多く、「アスペクト」により恩恵を得る場合は、アクションにボーナス(+2)が入ったり、リロールできたり、デメリットを被る場合は、ゲームマスターに「強制」された「アスペクト」を受け入れる代わりに、次に説明する「フェイト・ポイント」を獲得することになります。

「アスペクト」はキャラクターだけでなく「状況」や環境にも与えられます。例えば「壊れかけた階段」とあれば、ロールすべき「障害」が目の前に発生することになるのです。


【フェイト・ポイント(Fate Points)】
「フェイト・ポイント」は、消費することで「アスペクト」を発動させたり、「アスペクト」の内容に合致する範囲でストーリーの内容を変更したり、特定の強力な「スタント」を発動させたりするのに使用します。ゲームに介入するためのポイントだと言えます。


まとめ
『Fate Core Sysytem』は、これまでのルールに縛られがちなTRPGに飽きてしまった人、あるいは、パルプ・フィクション的なストーリーテリングをナラティブに楽しみたい人にはうってつけのシステムだと言えます。

また、ルール・システムをそのまままとめたシステム・リファレンス文書(SRD)が低めの制限でオープンソース化されているので、これを元に独自TRPGシステムを開発したい人にも向いています。

反対に描写を優先するシステムですので、TRPGにゲーム性を求める人は不向きかもしれません。

すぐにルール等確認したい方は、英語版を購入等できます。製品版はDriveThruRPGでPDFが購入できますし、無料のSRDも製品版とほぼ同内容で公開されています。ここでは、『Fate Core System』の話をしましたが、簡易版の『Fate Accelerated Edition』もあります。『Fate Core』のルールを整理して50ページに圧縮した『Fate Condensed』というものもあります。

なお、版権的にはクリアなため、日本語訳を用意しています。権利関係は、英語版がCC-BY3.0で渋禽訳がCC-BY4.0です。これは、何かというと、著作権は放棄しないものの、クレジット表示してさえしてくれれば基本は使用は商用を含めて自由だというものです。ただし、悪意のある使用もしくは犯罪等への利用に合意はしません。また、これの利用による法的問題、損害等があったとしてもEvilHat社や渋禽は無関係です。

Twitter(X)もやってます→@Sibkin_astr_jf
 

製品版URL(DriveThruRPG):
https://www.drivethrurpg.com/product/114903/Fate-Core-System?src=hottest_filtered&filters=44284_0_0_0_0

『Fate Accelerated Edition』製品版URL
https://www.drivethrurpg.com/product/114902/Fate-Accelerated-Edition-o-A-Fate-Core-Build?src=also_purchased&filters=44284_0_0_0_0

SRD版URL(『Fate Core System』『Fate Accelerated Edition』『Fate Condensed』いずれも)
https://fate-srd.com/

日本語版の『Fate Core System』渋禽訳
https://drive.google.com/file/d/1KMVFka1-4b7TAU2GKEe3Oc9y0LZtfxdX/view?usp=drive_link

日本語版の『Fate Condensed』渋禽訳
https://drive.google.com/file/d/18X6S7qJfAvDaoH-ZwTU3juPs8zKHY8Am/view?usp=drive_link

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