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しびれた犬

 犬は荒野を歩いていた。どこからきてどこへ行くのか自分でもわからなかった。ただ彼は気がついたらそこを歩いていたのだ。彼は狂犬だった。来るもの全て噛んだ。大体犬が吠えて、しかも噛むなんてことは怯えている時に違いがないのであった。始末が悪いことにはそれを当の本人が自覚していないことであった。自分は勇敢で正義のもとに噛んでいるのだと心底思っているのだ。

 ところがある日彼は痺れを覚えた。痺れて仕方がない。脳髄の麻痺だった。どうしてこんな大切な時に。


最後までお読みいただきありがとうございます。 これからも自分の才能を信じていいものを書き続けていきます 😊