見出し画像

NFT、仮想通貨の問題点と個人的疑問点

2月1日、Meta(旧Facebook)による暗号資産、仮想通貨構想「Diem」がサービス提供を断念し、終了することになった。


画像1

去年の10月に社名を変更し、メタバースを牽引する企業として期待されたMetaはこの計画の頓挫による影響から同社の株式は急落した。MetaのDiemという仮想通貨はステーブルコインと呼ばれる通貨になる予定で、価格変動が少なく、投資目的よりも仮想通貨そのものを用いた取引を見据えたものだった。

このニュースもそうだが、最近NFTやそれにまつわるものを取り扱うメディアが増え始めたように思う。

デジタル社会やIoTの隆盛によって、インターネットは仮想空間から現実の拡張空間となり、騒がれつつあるNFT、仮想通貨やメタバースなどの流行がそれを加速させることは想像に難くない。

これらが先進的な技術であることは間違いないが問題点はもちろん存在し、それに疑問を感じ反感を持つ者も多く、今のところ手放しに礼賛されるべきものでないと考えられる。

1.環境に対する悪影響

NFT、仮想通貨の何が環境問題になるのか。意味がよく分からないと思う。その前提から説明する。

まずNFTの仕組みとして、それを購入するためには仮想通貨を利用する必要がある。現在主に取引で用いられる通貨はイーサリアム(ETH)と呼ばれる仮想通貨で、これは最大のNFTマーケットであるOpenseaで用いられる通貨である。

https://opensea.io/

画像4

仮想通貨と言えばBitcoin(BTC)が一番有名だが、この通貨は1BTCあたりの価格が高く用いづらい。

画像2

2月7日現在、1BTC=約482万円。

画像3

1ETH=約34万円。ETHでも単価は相当高い。

仮想通貨とNFTの価値を担保しているのはブロックチェーンと呼ばれる仕組みで、簡単に説明すると、相互監視によってその物や通貨の価値を担保することである。

詳しくはgoogleで「ブロックチェーン」で検索し、トップに出てきたサイトを読まれたし。

ブロックチェーンにはその相互監視を担う者がおり、その者の行為が世にいう「マイニング」である。仮想通貨のマイニングに勤しむ人間、もといグラフィックボード達はそれによって稼ぎを得ている。


この形態をプルーフ・オブ・ワーク(Proof of work)と言う。マイニングツールを用いて、マイニングを始めるというボタンを押せば、(GPU搭載のパソコンを持ってさえいれば)誰でも簡単に仮想通貨を稼ぐことができる。


整理すると、

仮想通貨やNFTを購入するにはブロックチェーンによる承認が発生し

その承認を得るためにはマイニングに携わる人間、もといGPUがおり

マイニングによって正当な取引として承認され

仮想通貨、NFTの購入が完了し、マイニングをする人間は賃金を得る

ということである。

これでもまだなにが環境問題なのかわからないだろう。

この記事を読んでいただきたい。説明した通り、マイニングによって得る賃金とは機械を回すだけの不労所得である。

それを本気でやれば人間は働かなくていい。
つまりそれを本気でやる人間がいるということである。

今のままではいけないと思っている。
だからこそ日本は今のままではいけないと思っている。

マイニングを誰よりも速く、誰よりも大規模に行えばそれだけ収益も増える。マイニングに携わる人間にとっての競争はその点である。機械を回して賃金を得ているのだから、電力を消費することになる。それが大規模になるとするとあとは察しがつくだろう。

通常、家庭におけるパソコンの消費電力は大したものではない。しかしそれは常にその機械が出せる上限で動いているわけではない。処理能力の速さを競わせるとなると、そのパソコンはフル稼働しなければならない。

一度私もマイニングを試してみたが、ボタンを押した瞬間パソコンからとんでもない音がし始めた。普段からゲームをしており、GPUが劣化してしまっては困るのですぐにやめた。

画像5

この画像ではビットコインのマイニングによる電力消費がチリやベルギーの一年あたり消費電力の消費量に匹敵しているということを示している。仮想通貨はビットコインだけではなく、また仮想通貨の流行によってこれは増加し続けることは予想できる。

この対策としてブロックチェーンにはプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake)という仕組みがある。これは仮想通貨を多く所持する者=信用にするべき者として承認の役割に割り当てるという仕組みである。

しかしこの仕組みではお金持ちが優遇され、権限が集中するということであある。これにも対策は存在し、保有量だけでなく保有期間も考慮されることがあるが、その場合その通貨の流動性が低くなり、実用性がなくなってしまうというデメリットを抱えている。


2.投資的性格

NFTや仮想通貨、メタバースといった先進性を持った技術はインターネットというデジタル空間での新たな文化として花開くであろうことは誰の目にも明らかであり、誰もが興味、関心を向ける分野であることは間違いない。

流行る、需要が生まれる、つまり金になるのである。

完全に個人的な見解だが、はっきり言って今NFTになぜ価値が生まれているのか全く理解できない。

アート(主に絵画)であればプレビューを見ればどのような絵なのか分かる。

画像6

Openseaでいったこういったもの。たとえこれが世界中で自分しか所有していないものであると他人に担保されたとしてもどうにかして欲しいとは思えない。

トレカなどもある。

画像8

スポーツ選手がメジャー。同じ絵でもエディション違いが存在する。
違いはあるのかもしれないがNFTとしてそういった差異で売り出すことに対し疑問を感じる。

画像7

タトゥーの入ったポケモンのトレカ。意味不明。いいのかこんなん出して。

また音楽や小説などもあるが、そういったものはコピーしてより多くの人間に買ってもらったほうがいいのではないだろうか。

キズナアイもOpenseaにNFTを出品している。200個限定でバージョン違いの3Dモデルを販売した。なんと単価12万という驚愕の価格であり、完売すれば2400万である。この3Dモデルは今後Metaaniというクリプトアートプロジェクトが展開する3D空間において利用可能になるという。

キズナアイのオタクはこういうものを欲しがるのか。お布施のように金を払うだけ払って使わないというのもあるだろうし、現段階で使えないものを12万で買うというのは到底考え難い。スーパーチャットの代替品でしかない。

UUUMが展開するNFTトレードサイト。

画像9

このサイトではトレカごとに複数のシリアル番号が設定されているものが多く、同じ絵柄のカードでもシリアル番号で違うものであるとされている。NFTってそれでいいのか?

デジタルスニーカーなんてものもある。5ETHなので約150万。メタバースの展開次第で仮想空間で着用できるならおもしろいと思うが、今はただ高額のデータでしかない。

まだまだNFTはごまんとあるが、今触れられるNFTといったものの大半はこういったものであり、実用性はない。私にとっては使えないものである限り、持っている意味を感じない。買う人間がいるから作る人間もいるのだが、意味のないものを高額少額に関わらず売ったり買ったりする理由はあるのだろうか。

この金持ち同士の遊びみたいなうさんくささを現状のNFTは纏っているのである。

これはゲーム「Dead by Daylight」におけるNFT展開例。約2万9000円のスキンを1万個限定販売。こういったゲームにスキンをNFT化して販売するというのは使用できるものであるし、一定理解できる。

私はスキンを個々人でデザインでき、それをプレイヤー間で取引できるようになったらおもしろいのではないかと以前考えたことがあった。これはそういったものではないが。

このNFTが好意的に受け入れられなかった経緯としてはやはりうさんくささが先行したためであると記事に書かれている。

受け入れられなかった例。

例えばこの記事。このゲームでは女性キャラクターを唯一無二のデータとして保有できるという特徴を持っているものだが、明らかにアイドルマスターのアセット流用、データのぶっこ抜きである。

このようなニュースが後を絶たない分野であることは間違いない。


またゲームを遊ぶこと、その行為によって仮想通貨を稼ぐ、「Play to earn」のゲームも存在する。

そういったゲームの大体の方針はプレイすることによってキャラを育成し、アイテムを獲得し、それらを売買するというもの。必然的にこういったゲームは稼ぐことがモチベーションになる。そういうコンセプトである以上それ以外の価値はない。

実際にこの記事で紹介されている「My crypto heroes」を遊んだが、何がおもしろいのかは理解できなかった。単純にプレイ時間が短く、このゲームの本質に触れられていないのかもしれないが、基本放置ゲー的でありプレイヤーが介入する要素が少なく、もっと遊びたいと思わせるギミックがあるようには思えなかった。

このゲームに触れていないので詳しくはわからないが、私にとってゲームをしていてお金を稼げるというのは魅力的な提案ではあるものの、お金を稼ぐというモチベーションでゲームをしたいわけではないのである。


NFT関連について私が考えていることはだいたいこのぐらいである。私が毎日のように遊んでいるゲームタイトルである「VALORANT」にもしNFTスキンが出たら、値段次第では興味本位で買うかもしれない。ただシリアル番号等で違いを出すなど、細かな差を唯一性と主張するのであれば買う気はない。あくまでも私はメタバースに近いVRchatなどで遊んでいないので、NFT技術は現在のゲーム+α程度でいいと考えている。

NFT関連で面白い、興味深い記事が何かあれば教えていただきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?