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半径2mの世界

秋は人をもの思いにさせる。
暑い夏が終わって過ごしやすくなる頃。
少し冷たく張り詰める空気や,名残を惜しむ暇もなく夜空を引き寄せる一瞬の夕暮れ。
秋は大好きな季節。

結局のところ。

SNSに溢れる思いを綴っても,見て欲しい人は頭に浮かんでいてその人に見てもらえなきゃ意味がないと気付いた。それから本当に伝わって欲しい事は相手にちゃんと言おうと思いSNSに言葉を載せるのをやめた。

Instagramのキャプションに何も書かない理由のひとつはそれ。
言葉はナマモノ。
思った時に的確に言葉にして伝えないと傷んでしまう。

そうは言っても自己開示している人の方が多方面から愛着や共感を寄せられるのは当たり前で,SNSに何も書かない私はろくに人付き合いしない無口な隣人のように思われているかも知れないと思ったりする。

それでも不特定多数に言葉を伝えたいとはもう思わなくなってしまった。

このnoteだって書いたところで誰に見られるか分からない。誰かに伝えたいわけでもなく宙ぶらりんな気持ちを綴っておくには丁度良い場所だと思う。

友人はたいてい遠い場所に住んでいるし,思い立てばすぐに会うというのは難しい。好きな人はみんな遠くにいる。本を開けば物語がはじまるみたいに,いつだってみんながそこに居てくれたら良いのに。現実はそうも行かず距離は果てしなく距離。

なんとなく心細くて,私の世界は半径2mの中でおさまっているような気がしてしまう。この半径2mでおさまらないと,今の自分では愛情を注ぎ切れないようにも思う。私は遠くへ行けないし,好きなものを遠くから引き寄せるなんて都合の良い事はとても出来ない。


積極的に世界を変える力は持っていない上に手元にあるものは充分きれいに思えるのが現状。
でも確実に外の世界にはもっとたくさんのものがあって,それを都合も考えずに手にしたいと思える日が来るのかも知れない。そしたらこの半径2mから抜け出してしまうかも。それも良いと思える。

結局9月同様にもの思いにふけってしまった10月の月記。

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