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論文紹介「無症候性SARS CoV 2 キャリア:システマティックレビューとメタ分析」

10月の感染管理抄読会で取り上げた論文の紹介です。

選定理由:
無症候性キャリアについて理解することが今後の感染予防対策につながるのではないかと思い選びました。

論文タイトル
Asymptomatic SARS-CoV-2 Carriers: A Systematic Review and Meta-Analysis

論文の概要
背景:
SARS CoV 2 の無症候性の症例は、 COVID 19 の感染を拡大する未知の保菌者である可能性がある。パンデミックの進行において無症候性症例は重要な役割をはたす。しかし、人口動態、臨床特徴、および無症候性症例の実際の有病率は依然として不明である。

目的:
COVID-19無症候性症例の相対的な頻度を評価し、COVID-19を有する無症候性の人々に関する既存の公表されたデータおよび証拠を要約することによって、年齢群および性別別にそれらの発生を推定すること。

方法: PubMed、Embase、および Web of Science WoS )を使用して、システマティックレビューおよびメタアナリシス(PRISMA )の優先レポート項目のガイドラインに従って文献を検索。調査対象集団には、2020年4月30 日までに発表された原著論文内のランダム効果モデルを適用し無症候性も含むすべての SARS CoV 2 感染患者

結果:2,788人のSARS-CoV-2感染患者を含む16の研究無症候性症例の有病率は48.2%(95%CI、30-67%)無症候性の症例のうち、55.5%(95%CI、43.6–66.8%)は女性で、49.6%(95%CI、20.5–79.1%)は子供であった。
結果の解釈:子供と女性は無症候性COVID-19症例として現れる可能性が高く、SARS-CoV-2の未知の保菌者として行動する可能性がある。症状に基づくスクリーニングでは、すべてのSARS-CoV-2感染を特定できない可能性があり、世界的な広がりの脅威を増大させ、封じ込めが妨げられる。

ディスカッション内容
 文献を読み込む中で、Heterogeneityの高さが問題となりました。また、結果では得られていない内容について考察内で述べられているという点も論文を評価する上でのポイントとなりました。システマティックレビュー・メタ分析というタイトルから「エビデンスが高いものではないか」と安易にとらえないようやはり、論文を背景・目的・方法・結果…とクリティークし理解することが必要であることを再認識した論文でした。

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