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日本とマカオ キリシタン、水上人、海上の道

マカオ(澳門)。香港から船で行ける、中国のもう一つの特別行政特区へ行く。
マカオといえば、カトリック東方普及の拠点、イエズス会、フランシスコ・ザビエル、天正遣欧少年使節、そしてペトロ岐部…ということで、日本のキリシタンにとってもここは聖地だ。
遠藤周作『銃と十字架』と、星野博美『みんな彗星を見ていた』は、ちょうどここで物語が交わり、教会にはザビエルの『聖遺物』が眠っている。

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そういえば、それ以前のマカオはどうだったのか。

ここはいわゆる『水上人』が住む地域だった。明の時代にポルトガルがマカオに渡来するずっと前から、住民の多くは漁業を生業としていた。彼らの暮らしは植民地支配の影響をそれほど受けずに続き、ピークとなる1950年代には、港に2~3万のジャンク船が停泊し、そこに家族が慎ましく住んでいたそうだ。

古くから信仰されている「媽祖(まそ)」「潭公(たむくん)」「北帝(ぺいでぃ)」も、すべて海にまつわる守り神。産業構造の変化により漁業が衰退した今でも、道教寺院『媽閣廟』には螺旋状の線香に煙がたかれ、マカオ庶民の心の拠り所となってる。

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そんな彼ら『水上人』たちはどこからやってきたのか?
かつてタイ付近に存在していた大陸『スンダランド』から、海を渡る術を身につけた人類の一部が北上していきここにたどり着いたという説がある。そして、そのまま沖縄、日本の沿岸まで移動を続けた、と。
舟の作り方、竹の漁具、来訪神の習俗、太古から海上の道で日本とマカオは繋がっていたのかもしれない。

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