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生きていくことについて 宮崎 かづゑ『長い道』

宮崎 かづゑ『長い道』。この本は、2012年7月に発行されたもの。
宮崎 かづゑさんは、1928(昭和3)年岡山生まれ。10歳で国立ハンセン病療養所『長島愛生園』に入園し、生涯をこの地で過ごした。

子どもの頃の思い出、勉強したい気持ち、本に救われたこと、気持ちが固くなった時、旦那さんとの出会い、料理やミシンを覚えたこと、それを手放したときのこと、鬱の時代、トヨちゃんとの友情、80歳になってから文章を書き始めたこと。
哀しかったり、可笑しかったり、満たされたり、言葉にならない(言葉にする途端にこぼれ落ちそうな)気持ちが溢れてくる。

読みながら、石牟礼道子さんの『食べごしらえおままごと』を思いだした。かづゑさんの文章もまた料理の表現が豊かで、食事にまつわるぐるりのことが生き生きと描かれている。美味しいより大切なこと。
食べることは生きることだ。

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