序・日々をプリズムに分光

白色光をプリズムに通すと、屈折し綺麗に分光され、七色ともいえぬもっと豊かな光のグラデーションを描くのを、誰もがみたことがあると思う。それは本物の現象でなくても、ニュートンが出てくる教科書だったり、ピンク・フロイドのCDのジャケットだったりするだろう。色のない、真っ白な光だと思っていたものが、こんなにも鮮やかで細やかなスペクトルからなるものだと、僕はずいぶんと驚いたものである。
もしかしたら、あれもこれもごったまぜになり、なんだか同じように過ぎていく毎日が、昨日元旦だと思っていたら、もう明日大晦日なんていう、矢のような光陰が、細かく分光したら、想像しているよりもずっと彩りに満ちていたものだったなんて、そんな見方ができれば、すべてのケはハレに変わるだろう。
ということで、ここでは、極めて屈折率の高い個人的な偏見のプリズムを通して、日々を分光、何でもない日々のよしなしごとが、何ごとかに変わるように、一つの視点を記していきたい。
自分を含む誰かの人生が、1ミクロンでも味わいのあるものになるように。

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