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PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント[第2版](1)

書籍『PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント[第2版]』から、一部記事を抜粋してご紹介いたします。
第1回は、第1章 3匹の子ブタ〜プロジェクトを成功に導く「段取り」〜より、『第1幕 【教訓】プロジェクトは日常業務と違う』です

第1章 3匹の子ブタ〜プロジェクトを成功に導く「段取り」〜

「段取り八分」という言葉があるように、段取りはプロジェクト成功の鍵です。プロジェクトに取り掛かる前に、仕事を進める手順をしっかりと決めておけば、見通しを立てられ、失敗のリスクを減らせます。段取りをきちんと組むことで、あなたは、成功のシナリオを持って、プロジェクトに取り組むことができるでしょう。

第1幕 【教訓】プロジェクトは日常業務と違う

むかしむかし、あるところに、お母さんブタと、3匹の子ブタが暮らしていました。
家の長であり、プロジェクトスポンサーのお母さんブタ。
プロジェクトメンバーである3匹の子ブタ。
4匹は、仲良くチームを組んで、様々な生活プロジェクトに取り組んでいました。

しかし、家は大変貧しかったのです。
お母さんブタは考えました。
「この家には、プロジェクトを完了させるのに必要なお金や食べものなどの資源が足りないわ。
非常に厳しい状況ね。
これは、子ブタたちを独り立ちさせるしかないわ!」

翌日、お母さんブタは3匹の子ブタを集め、突然発表しました。
「お前たち、これからは自分で家をつくって暮らしていくんだよ」
こうして、家計をリカバリーさせるために、「実家追い出し」プロジェクト(通称: 家づくりプロジェクト)が始まったのです。

教訓 プロジェクトは日常業務と違う

PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント[第2版] P.24

そもそも、「プロジェクト」とは何でしょうか?
今回のお話で、3匹の子ブタは、お母さんブタの言いつけで、それぞれ家をつくって暮らすことになりました。今までやったことがない、特別な仕事です(独自性・新規性)。普段やっている仕事を繰り返す「ルーチンワーク」ではありません。
ルーチンワークであれば、反復的に作業を継続し、より良い結果を得るために、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回すことが求められます。しかし、今回の場合、やったことがない仕事です。そのため、家づくりの目標や仕事の内容を事前に決めて、作業に取り掛かる必要があります。詳細が分からない中で、計画して、実行して、また計画を修正して実行して、を繰り返しながら、進める必要があります。
また、家づくりの期間も明確に決まっています。家をつくり始める日と終わる日が決まっています(有期性)。これは、まさにプロジェクトです。

3匹の子ブタは、お母さんブタの期待に応え、自分たちが住みたい家(最終成果物)を期限内で完成させることでプロジェクトを終わらせることができます。
その際、「プロジェクトがうまくいったのか」、「プロジェクト活動で生み出した成果は、プロジェクト関係者の期待に応えたのか」を判断できる基準があることが重要です。また、家づくりのあらゆる活動や内容の記録や、教訓を得ることが求められます(図参照)。

PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント[第2版]

目次

第1章 3匹の子ブタ~プロジェクトを成功に導く「段取り」~
 第1幕 【教訓】プロジェクトは日常業務と違う
 第2幕 【教訓】「とにかく始めよう!」は失敗につながる
 第3幕 【教訓】ステークホルダーの期待を確認する
 第4幕 【教訓】木の前に森を見る
 第5幕 【教訓】キックオフミーティングでプロジェクトを始動する
 第6幕 【教訓】何のためにやるのかをハッキリさせる
 第7幕 【教訓】やるべきことを洗い出す
 第8幕 【教訓】みんなで役割を分担する
 第9幕 【教訓】難しいと感じていることを具体的にすると協力しやすくなる
 第10幕 【教訓】各作業にかかる時間を予測する
 第11幕 【教訓】相手を待たせない仕事の流れや関係を見つける
 第12幕 【教訓】絶対に遅れてはいけない作業を把握する
 第13幕 【教訓】みんなでスケジュールをつくる
 第14幕 【教訓】個人にかかる負荷をみんなで調整する
 第15幕 【教訓】みんなでリスクに気を配る
 第16幕 【教訓】優先順位を考えて、スケジュールを短縮する
 第17幕 【教訓】助け合うとプロジェクトの失敗を減らせる
 まとめ

第2章 ウサギとカメ~みんなが同じ方向を向ける「ゴール設定術」~
 第1幕 【教訓】自分たちで目標を決めると自発的になる
 第2幕 【教訓】みんなが分かるようにゴールを設定する
 第3幕 【教訓】プロジェクト進行に必要な情報を見極める
 第4幕 【教訓】やらないことを決めると進む道が見えてくる
 第5幕 【教訓】前提と制約条件はプロジェクトに大きく影響する
 第6幕 【教訓】「いつ終わるの?」の質問にもハッキリ答える
 第7幕 【教訓】誰が、いつ、どのように情報をやりとりするか決める
 第8幕 【教訓】「なぜ」と「何」の質問を繰り返し、すべきことを検証する
 第9幕 【教訓】まず見るのは「相手」ではなく「ゴール」
 まとめ

第3章 桃太郎~チームで目的を達成する「仲間術」~
 第1幕 【教訓】「やったことがない」という不安から連帯感が生まれる
 第2幕 【教訓】強い思いが「やる気」を生み出し、プロジェクトを成功に導く
 第3幕 【教訓】「きびだんご」でチームのやる気スイッチを入れる
 第4幕 【教訓】権限を持たないリーダーが影響力を発揮し、チームからの協力を引き出す
 第5幕 【教訓】メンバーの得意分野や適性、希望にあった役割を与え合う
 第6幕 【教訓】コミュニケーションの時間をつくり、共通認識を持つ
 第7幕 【教訓】やるべきことに含めてはいけない「NGワード」
 第8幕 【教訓】現場の情報を吸い上げ、情報共有する計画を立てる
 第9幕 【教訓】積極的に聴き、意見の対立を解消する
 第10幕 【教訓】チームで助け合うから、うまくいく
 まとめ

第4章 ヘンゼルとグレーテル~段取りよくプランニングし、困った時に対応できる「リスク管理術」~
 第1幕 【教訓】同じ方向を向いていないと失敗に向かう
 第2幕 【教訓】事前に対策を練る
 第3幕 【教訓】やったことを確認する
 第4幕 【教訓】変更は失敗の元
 第5幕 【教訓】予定通りいかないのが大前提
 第6幕 【教訓】「ということは?」で一歩前進する
 第7幕 【教訓】問題歓迎の文化をつくる
 第8幕 【教訓】リスクは悪いことだけではない
 第9幕 【教訓】できる人に気持ちよく助けてもらう
 まとめ

第5章 アリとキリギリス~進捗を加速させる「情報共有術」~
 第1幕 【教訓】相手基準を意識することが、意思疎通の第一歩
 第2幕 【教訓】コミュニケーションで相手の考え方や行動を理解する
 第3幕 【教訓】現状を見える化し、進捗を把握する
 第4幕 【教訓】ミーティングは意味がないと嘆く前に、やるべきことをやる
 第5幕 【教訓】シミュレーションで問題を浮き彫りにする
 第6幕 【教訓】聞くことで本当の進捗が見えてくる
 第7幕 【教訓】すぐに手を打つべきかみんなでチェックする
 第8幕 【教訓】情報共有がプロジェクトを成功に導く
 まとめ

第6章 長靴を履いた猫~メンバーと仲良くなる「信頼構築術」~
 第1幕 【教訓】第一印象を良くして、より良い関係をつくる
 第2幕 【教訓】自己開示でコミュニケーションをスムーズにする
 第3幕 【教訓】初対面の人とはお互いの共通点を見つける
 第4幕 【教訓】「ありえるかもしれない」と思うと相手の話を聞けるようになる
 第5幕 【教訓】ギブを何回もする方が人間関係はうまくいく
 第6幕 【教訓】会えば会うほど好意を持つ
 第7幕 【教訓】立場が違う相手の感情を理解する
 第8幕 【教訓】相手に関心を持つことで、当事者意識を持ってもらう
 第9幕 【教訓】約束を果たし相手を喜ばせる
 まとめ

第7章 シンデレラ~ネガティブな状況とうまく関わって、協力を得る「付き合い術」~
 第1幕 【教訓】やっかいな人を把握して、どう付き合うかを考える
 第2幕 【教訓】理不尽な状況を自分の都合のいいように解釈する
 第3幕 【教訓】面倒くさい人からの不愉快発言をかわす
 第4幕 【教訓】いない人の批判をしない
 第5幕 【教訓】外部からの支援で、うまくいく
 第6幕 【教訓】契約に従い行動していることを確認する
 第7幕 【教訓】ステークホルダーとの付き合い方を改善し、成功を掴む
 まとめ

付章 PMBOKへの橋渡し
 1 プロジェクトマネジメント用語の基礎知識
 2 プロジェクトマネジメントのプロセスについて
 3 プロジェクトマネジメントの各作業を統合する「プロジェクト統合マネジメント」
 4 成果物とやるべきことを明確にする「プロジェクト・スコープ・マネジメント」
 5 納期を守る「プロジェクト・スケジュール・マネジメント」
 6 予算内に成功させる「プロジェクト・コスト・マネジメント」
 7 必要とされる品質を実現する「プロジェクト品質マネジメント」
 8 チームを組織し、メンバーを活躍させる「プロジェクト資源マネジメント」
 9 情報伝達や円滑なコミュニケーションを図る「プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント」
 10 万が一に備える「プロジェクト・リスク・マネジメント」
 11 作業の実行に必要なサービスや物品を外部から取得する「プロジェクト調達マネジメント」
 12 ステークホルダーを特定し、分析し、対応策を検討する「プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント」
 13 PMBOK第7版での変更について

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