しゅー🌠

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2020年1月からカードリーディングをはじめました!ここではリーディング・ときどき日々のことを書かせていただきます🌠 https://twitter.com/shuureading

マガジン

  • 百日記

    1200字を100日書けば本1冊分になると思って書きはじめた文章です。

  • すぴと風

  • 深海を漂うものたち

  • 自分という海を超えていく日誌

最近の記事

百日記#08「絵のこと」

普段インスタグラムやXで投稿している絵について、ぼく自身が感じていることを今日は書いてみようと思う。 ここ2年ほどはパステルでずっと描いているが、その前はペンや色鉛筆で描いていた。5センチ四方の小さい紙に1日5〜10枚ほどペンで絵を描き、気に入ったものには色をつけていた。今思い出したが、その前はiPadで描いていた。 ここで重要なのは、メディアに関わらず、登場人物がいつも少年か少女という点で共通していることである。しかも現実的な子どもというよりは、どこか浮世離れした雰囲気の

    • 百日記#07「診断」

      「心身症と軽度の鬱状態ですね」 簡単に言ってくれちゃって。診断を受けた時、ぼくは率直にそう思った。 30分にも満たないようなヒアリングである。ぼくは職場での状況と自分の心身に起こっていることをかいつまんで話しただけだった。それだけで医者は「要するに」というふうにそう診断を下した。 病院というところは病気を作るところなので、それも半ば承知の上ではあった。むしろぼくはそれを利用して、病気を作りに行ったのである。職場を辞めたかったからだ。4月に入社したばかりでまだ2ヶ月しか経って

      • 百日記#06「左の中指の炎」

        前回の「炎の話」は友人のいつみんから受けた「足相セッション」で見たイメージをもう一度自分の中で深く感じながら書いてみた文章だった。目を瞑って「左の中指を炎でイメージするとしたら?」と聴かれて、その場で見えるイメージをそのまま言葉にしたものだ。 ぼくは森のそばで薪で燃える小さな炎をイメージした。「実はもっと大きく燃えるポテンシャルを持っているが、小さく燃えている炎だ」とぼくは言った。青白い光に辺りが照らされていることから月が出ているだろうと思った。人は誰もいない。動物もいない

        • 百日記#05「炎の話」

          炎が燃えている。整った薪の上で燃えている。人が暖を取るのにちょうどいい大きさの炎だが、周りに人はいない。夜で、すぐ後ろには森の入り口が見えている。 月が出ている。上弦の月から1、2日ほど経った月である。月明かりが木々の葉を青白く照らしている。炎の明かりは月明かりほど強くなく、木々に降りた夜を払うことはできない。 夜の森の前で炎は穏やかに燃えているように見える。しかし、その心の中は漠然とした不安に覆われていた。まず、炎は周りに人がいないことが不安だった。寂しさもあった。炎はま

        百日記#08「絵のこと」

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        • 百日記
          8本
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          6本
        • 深海を漂うものたち
          16本
        • 自分という海を超えていく日誌
          30本

        記事

          百日記#04「自分遍歴その2」

          前回はスケートボードや野球にハマっていた頃の話を書いた。自分が熱中する時は、もちろん野球は一緒にやる友達がいないと出来ないのだけど、基本的には一人きりでやることが多い。小学校5年生の時に漫画の影響でテニスをやりはじめるのだが、その時も台座にゴムでボールがつながっているものを使って一人でずっと打っていた。要は壁打ちである。すると「それどこで売ってるの?」と訊かれたり、通ってるテニススクールを紹介してくれとお願いされたりした。一人で楽しそうにしていると何故か人が寄ってきて、いつの

          百日記#04「自分遍歴その2」

          百日記#03「自分遍歴その1」

          昨日は暗い内容になってしまった。せっかく文章を書いているのだから、どうせだから楽しいことを書きたい。今更だけどタイトルはこれでいいのだろうかと思いはじめた。「百日記」とかでもいいのかもしれない。日記ではないのだけれど百日間記すことには変わりないのでそうしてみようかな。 というわけで今日から「百日記」となったこのシリーズだけど、今回はちょっと過去の話を書いてみたい。というのも昨日仕事終わりに母と会った時に「あんたはすごく集中力があって、いつも何かにハマっていた」みたいなことを

          百日記#03「自分遍歴その1」

          百日記#02「何をしたいのか」

          前回書いたのが今年の3月24日なので2か月も経ってしまった。1200字の文章を100回書けば本1冊分になると思って書きはじめたのにこれでは150か月、つまり10年以上かかることになる。まあそれでもいいのだけれど、まさかこんなに間が空くとは思わなかった。 この2か月の間にぼくに起こったことといえば、就職して働きはじめたことが一番大きい。家から徒歩15分ほどの、前職と同じ業界の職場に就いたのだけど、いやはや考えが甘かった。同じ業種とはいえ、職場が変われば何もかもが変わってしまう

          百日記#02「何をしたいのか」

          百日記#01「テキトーに1200字」

          「1200字の原稿を100回分ためれば300枚になって本1冊分になる」 昨日急にそんな計算が頭の中で弾き出された。こういう数字を出すのは割に得意である。今まで300枚という量は書いたことがないわけではなく、そこまで遠い数字というイメージでもなかったが、経験があるだけになかなか時間がかかる作業だということもわかっていた。そもそも300枚(要するに12万字である)も書きたことがあるのかと言えば全然ない。書きたいことはないけれど、書きたいという思いがある。不思議な感情であるが、僕に

          百日記#01「テキトーに1200字」

          深海の森を漂うものたち#16

          翌日、JとHはともに森の巡回に出かけた。基本的には分かれて行動するので二人が並んで森を回るのはHがこの業務について間もない頃、まだJが彼に仕事の仕方を教えている時以来だった。あの頃はHといると全くみなしごの魂と遭遇できなかったので、Jとしてはちゃんと教育することができなかったという思いがあるが、ずっと付き添っていてもプレッシャーになりそうだったので(J自身何週間もみなしごの魂を捕獲できないのも業務としてまずいだろうということもあったが)ある程度のところで見切りをつけてHに単独

          深海の森を漂うものたち#16

          深海の森を漂うものたち#15

          2か月ほどJは沼を見張ったが、結局彼らがクライと名付けた生き物を観測することはできなかった。しかしHがクライを見つけた時のように発光体が沼から出てくることは何度か目撃することができた。一体沼の中に何の用があるのかと思うがそんなことは考えても仕方がない。あいつらが何を考えているかなんてヒトにはわかりようがないのだ。Jはこの2か月の成果(つまりほとんど意味はなかったということ)を報告するとともに見張りの解除を願い出た。これ以上続けても状況に変化があるとは思えないし、効率がいいとも

          深海の森を漂うものたち#15

          深海の森を漂うものたち#14

          20XX年11月X日 直近の事として。 Hは無事に森に順応したようである。当初彼は森および対象Lに対する適性が充分ではないと判断されていたが、今回致し方なく異動する事となり北の拠点の配属となった。対象Lの捕獲任務についてはあまり期待をしておらずさして重要でもなかったが、最近では問題なく遂行できるようになったということである。これは組織としては少々イレギュラーなことと言わざるを得ない。これまでの研究、そして今後の方針を検討し直さなければならない。判断をするのは私ではないがいくつ

          深海の森を漂うものたち#14

          深海の森を漂うものたち#13

          彼らが「クライ」と名付けた沼の生き物はなかなか姿を見せなかった。Jは毎日本部に「異常なし」との報告をした。見張りを始めてから1か月が経とうとしていた。何も起こらない沼の周囲をぐるぐる回るのはそろそろ飽きてきていたが、本部から見張りをやめていいという許可はまだ出なかった。それだけ本部もHの見た沼の生き物に興味があるということだろうか。確かに捕獲対象であるみなしごの魂を食べてしまうような生き物がいるのであれば、その存在を確認し、対策を立てる必要がある。自分たちにとって障害の一つに

          深海の森を漂うものたち#13

          深海の森を漂うものたち#12

          その後もHはみなしごの魂から逃げられ続けた。発見する回数は増えていたので、それ自体はJが言うように「前進」と言えるのかもしれなかったが、毎回近づいている最中に存在に気づかれて逃げられることになった(そのおかげでみなしごの魂が実はかなり速く動けるということがわかった。H曰く尾を引くような速さで本体を目で追うのはかなり難しいとのことだった)。JとHは検討を重ね、みなしごの魂が逃げる理由を考えてみたが未だヒントすら掴めない状態だった。JとHに装備の違いはなく、匂いも森と獣に紛れてい

          深海の森を漂うものたち#12

          深海の森を漂うものたち#11

          HはJについて回りながら森のことを少しずつ学んでいった。Jが森に入る前に受けたのと同じ種類の研修はHも受けていたが、見ると聞くとでは大違いだった。ラッキーだよ、とJは言った。俺の時にはこんなふうに先輩に教えてもらうなんてこともなかった。「先輩」と言う時に少しためらうような間があった。どう表現するか迷ったのだろう。しかしJが言うようにこれをラッキーと言えるのかどうかはHにはよくわからなかった。ここに来てしまったこと自体ラッキーと言えるのかどうか。 「Rのことは」Jは名前の響きを

          深海の森を漂うものたち#11

          深海の森を漂うものたち#10

          西の空に濃い橙色をした太陽が浮かんでいる。じっと見るとその円形は大気に揺らいでいる。細長い雲はところどころ千切れながら紫色に染まっていた。月はまだ出ていなかったが早々と顔を見せている星がある。瞬かないところを見るとおそらく惑星なのだろう。Hは星の名前に明るくなかった。次に星を、そして太陽を見るのはいつになるのだろうと彼は思った。 Hは彼のパートナーであるところの四つ足の生き物に乗り、森の入り口へと辿り着いた。外から見ても森は黒々としていた。まだ太陽の光もあるというのに。色の深

          深海の森を漂うものたち#10

          深海の森を漂うものたち#09

          Hはグレーのスーツの男の前に座っていた。彼と会うのはHがまだ地方公務員だった頃に役所の所長室で初めて顔を合わせた時以来だった。 「久しぶりですね」とグレーのスーツの男は言った。Hは意外に思った。下手な挨拶のような余計な言葉は全く吐かない男だと思っていた。たった1回会っただけの印象ではあったが、そのイメージは深くHの頭に刻み込まれている。 彼らは今本部の建物にある一室にいた。簡素な小部屋であり、長机とパイプ椅子、書類の詰まった棚が二つと特に使うこともなさそうなパーテーションがあ

          深海の森を漂うものたち#09