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『MEMORI』第0号[前編]

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はじめに

 現代のことを「やさしくない」「生きにくい」世の中だと言う人が増えている。少なくともわたしは19年ほど生きてきて、その考えを否定できない。ひとを思いやったり、ひとの気持ちになってみたり。その大切さは知っているはずなのに実現されない。じゃあひとのことばかり優先しなければならないのか、というとそれも違う。自分を大切にすることも必要だ。
 わたしたちは今、身の回りのひとや出来事に対する「距離感」を考えなければならないのかもしれない。自分の世界以外のことがらを知って、自分のことも知って。わたしも自分のことをわかっていないから大層なことは言えないけれど。そうやって考えることには意味がある。
 この「MEMORI」は、「他者のことをいろんな面から広く知り・自分をぶつけることで、広くにんげんについて考えてみる」媒体だ。わたしたちの目的は、今の社会をつくっているみなさんと「一緒に考える」こと。考えて、その先に浮かび上がったものをどう扱うかはみなさん次第だ。
 このようにMEMORIが始動するうえで知っておいて欲しいのが「エンパシー/共感」の概念だ。エンパシーとは、簡単に言えば「異なる考えや立場を理解し、他者を想像する能力」のことである。MEMORIはこの概念を根底に展開していく点で従来の媒体とは違う。本誌の構成とともに、その役割について少し触れたい。

『MEMORI』の構成

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 MEMORIは主に二つのパートにわかれている。
 前半はわたしたち編集側がひとつのテーマに沿って多角的な視点で掘り下げるパート。テーマでは現代社会を生きるうえでみんな一度は考えることを取り上げ、検証や対談を含む様々な視点からおもしろく分解する。「マジメにバカをやる」編集部がお送りする、一風変わったエンターテイメントだと思ってほしい。
 このパートが目的にしているのは、「自分の身の回りのことのことを知り、他者を考えるヒントを得る」こと。ひとのことを考えるには、たくさんの見方が必要だ。それは役立つだけでなく、何よりおもしろい。ここは想像力を豊かにするための材料みたいな位置づけだ。
 後半は読者のみなさんに記事をお願いすることになる。何を書いてもらうかについては別途告知しますのでちょっと待っててね。ここでみなさんには「自分をぶつけて」ほしい。自分を大切に、とよく言われるがそれはとても難しいことだ。だってそもそも自分のことをわたしたちはよく知らない。それを踏まえて「自分の話」をしてみてほしいのだ。誰か他人に向けて、自分のことを書いてみる。そうすることで見えてくるものがきっとある。ここをひとつの「自分を形成する場」として使ってくれると嬉しい。


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