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外コンからソーシャルセクターへ。日本の教育を変えようと思ったワケ

コンサルからHLABに転職してからおよそ2年少しというこのタイミングで転職ポストを書いてみました。いやいや、2年って経ちすぎでしょ、と自分でも思うのですが…(笑)

ていうか、HLABに転職した、と友人に告げると「NPOなのに食えるの?!」とか、「そんな茨の道を…」と言われること、そして「教育NPOたるHLABに転職する」という概念自体、あまり周辺に持っている方がいないことに危機感を覚え、筆を取りました。私以外にも、MckinseyやWeWorkから転職してきたり、結構HLABに人材が集まりはじめているんですよ...?!

そもそも、これまでもよくキャリアについては聞かれてたんですよね。東大の学部、修士を出て、新卒でボスコン(外資系コンサルティングファームのボストン・コンサルティング・グループ)に入ったと思ったら、一体全体どうして教育NPO(ソーシャルセクター)なんかやってんだ?と。年上からも年下からも聞かれました。ほとんどは、「信じられない」といった風なんですけど…(笑)

驚かれる、ということは、ユニークな経歴なんだろうなって思います。確かに、「非営利」の事業って、一回事業で成功したお金持ちが第二のキャリアとしてはじまるとかそういうイメージ、ありますもんね。僕もそう思ってましたもん(笑)

今回の自分のキャリアを振り返ってみる記事をきっかけに、非営利やソーシャルセクターに学生の方や、プロフェッショナルの皆さんに興味を持ってもらえれば幸いです。入社希望、絶賛お待ちしております。入社しないまでも…という方は、是非金銭的/プロの力でHLABを応援してください。
タイトルは、やや、煽り感ありますが、中身はいたって真面目に書きました(笑)

改めまして、はじめまして。

まず簡単に自己紹介をさせてください。教育NPOのHLAB(エイチラボ)の共同創設者の高田です。好きな食べ物は担々麺、最近は暗闇ボクシングb-monsterと筋トレにドはまりしています。あ、マジシャンもやってます。パーティやバーで、たまーにやってるので是非お声掛けください(笑)

キャリアを簡単に振り返ると…

2011年、学生時代にHLAB(当時学生団体)を創設、サマースクールを開始。2014年まで各地域サマースクール立ち上げ。東京大学工学系研究科を修了し、新卒でBoston Consulting Group (BCG/ボスコン)に就職。BCGで2年少々務めたのち、HLABに戻り、フルタイムスタッフとして務める。

という感じです。HLABに戻って、はや2年ほど経ちました。

あんま、似たようなキャリアの人って、いないんじゃないかな、と思います。コンサル→NPOやソーシャルセクターに行く方って、やっぱりあんまりいる印象がないのと(クロスフィールズ創業者の小沼さんや松島さんがその先駆けですね!)、学生時代からソーシャルセクターでやっていて、外で働いてから戻ってくる、というのはあまり聞いたことがありません。キャリアが似てる方、もしいらっしゃればきっとすごく仲良くなれるので、ぜひお友達になりましょう!!笑 replyやDMください。笑(Twitter ShutaTAKADA

ゴリゴリの理系院生だった自分がなぜボスコンに?

私は大学院では、社会基盤学専攻というところにいたのですが、研究ではスマートフォンを用いた路面状態把握のシステムを開発しており、MATLABという数値計算ソフトで日々ゴリゴリとプログラミング、シミュレーションを回す日々でした。夜プログラムをランして翌朝シミュレーション結果を見る、といったような研究スタイルです。

そんな中、博士課程に進学することも真剣に検討したのですが、自分自身よりも優秀な後輩を見て私は挫折、就職を考え始めました。あの優秀な後輩を見て、「彼こそアカデミアに進むべきだ。」と強く思い、米国留学を強く勧めた結果、彼はアメリカでPh.Dを取得中なのですが、振り返ってみると私自身の「その人の人生に関わりたい!」というパッションゆえの行動だったのかもしれません。すでに、教育に携わる者としてのマインドセットを持っていたんですね(笑)

私のいた学科は所謂「土木」なので、就職先としてはゼネコンや建設コンサル等、そちらよりがメインですし私も当初はそちらを考えていましたが、いろいろな友人や先輩の話を聞いていると、戦略コンサルティングの仕事が自分に合っている、と結構言われることに気づきました。

戦略コンサルって結構、理系の学生と相性がいいんですよ。理由は3つあります。(コンサルっぽい)

①仮説思考の頭の使い方に慣れていること
②研究室の組織構造がコンサルの働き方に近いこと
③考え抜いたり実験したりなどで割と時間の圧倒的投入に慣れていること

①についてはまさに書いている通りで、仮説思考に慣れていて、理系だと検証→仮説修正のプロセスが比較的早いサイクルで回しやすい、というのがあります(例:プログラミングのデバッグとか)。コンサルティングでも同様の思考プロセスを求められます。BCGでは、どういう仮説がある?どう考えいている?と常に問われました。②については、教授が研究費をとってきてメンバーをアサインして研究、間で進捗報告しながらインプットをもらい、議論しあって成果をあげていく、というスタイルのことです。戦略コンサルもパートナーが仕事をとってくるので、同じ構造ですね。③はブラックな発言に聞こえるかもしれませんが、理系の研究室にいると、ラボがあったり自分のデスクがあったりで、夜遅くまで仲間とワイワイやりながら研究したり、議論したり、バカなこと話したり、と、研究室がホームになるので、そういう意味で時間をそちらに投入するライフスタイルに慣れているのは大事かな、という意味ですね。まぁ、これは好き嫌い分かれますが(笑)
ということもあり、コンサルを進路として考え始めました。

就職活動中にずっと心の中にあったのは、学生時代にはじめたHLABのことでした。2011年に始めて、その後は後輩たちに引き継いでいったものの、自分の教育分野への思いは捨てきれていないなと自分でも気づいていました。なので、先述の受けた数々のコンサルティングファームの面接でも、「3年以内に辞めてたぶん教育分野に戻ります。のでコンサルは修行だと思ってます。」と全ての面接で言いました(笑)「は?なぜ?」と激詰めされたファームもありましたし(そりゃそうだw)、「面白いね!」と食いついてくれるファームもあり…。ボスコンは後者で、結果も「3年で辞めてもいいので、ぜひご一緒しましょう!」と言ってくれたので即決しました。いい会社ですね!!!!(歓喜)

というか、就職活動をしようと考えていたときに「やりたいことは何か」を考え続けました。ですが、いや、20代でその後何十年も「やり続けたいこと」を今決めるとか無理じゃないっすか。キャリアチェンジを繰り返しながら目の前のチャンスを引き寄せて、「やりたいこと」を見つけつつ、そのときやりたいと思えることをやり続けるほうがいい人生なんじゃないか?という結論に至りました。世に言うモラトリアム的思考ですね。これが良いのか悪いのか、それはわからんのですが、仕事をしながら、得意なことや本当に好きなことが見えてくるってもんじゃないですか!なので僕はキャリアパスとかそういう言葉、あんま信じてません。絶対変わるし、興味。

あ、勿論ですが、やりたいことがこれだ!と就職活動時点で本気で思えるほうがセクシーですし、理想的で、超憧れます。そういう方はぜひそういうキャリアでチャレンジしてみるべきです。

「プロとしてのいろは」を学んだボスコン時代

そんなこんなで入社しましたボスコン。(実は普段はBCGって呼んでるのでそろそろ「BCG」に呼び方を戻しますねw)ここでは主にデジタル関連のプロジェクトに主に関わっていましたが、本当に様々なことを学びました。これを、無理やりまとめるのであれば、「プロとしてのいろは」かもしれません。

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そのうちの1つが「バリューにこだわる」こと。BCGでは常に「バリュー」を問われます。自分の作成した資料や出席した会議、そこで自分がバリューを出しているのか?を問われ続けます。クライアントが自分に払っている値段以上の価値を出せているのか?これにこれだけの時間を投入して出したバリューにその時間は見合っているのか?チームに貢献できているか?といった問いかけはチームで飛び交います。そうすると、常日頃のアウトプットもそうですが、例えば自分の手が空いているときに忙しいチームメイトの代わりに資料を印刷してあげる、とか、そういう小さなことすら、意義を持つことになるし、とてもいい問いかけだと思い、心に刻んでいます。

また、「アイデアを進化させるために議論する」というスタンスもBCGで学びました。上司からのインプットは絶対ではないし、上司もメンバーからのアイデアが良いと思えば採用する、そういったフラットな環境で、全員が「アイデアを進化させる」ために議論をする場の重要性に気づきました。議論、というと、なんだか論破するイメージが強いかもしれませんが、そうではないんですよね。勿論これは、全員が共通の目的をもっていることが前提なんですけど。

「やりたいことはちゃんと言う」コレも当たり前かもしれませんが、会社という組織だとちゃんと表明することが本当に大事だなと思いました。私は定量分析が結構得意で、社内講師をやっていたのですが(1年目の社員にこれをやらせるってだけでもすごい会社ですね笑)、分析BIツールであるTableauの使い方を社内に広めたい!と進言したところ、まさに「やってみなはれ」の精神で、講座を開設し、「海外オフィスにも展開したいですね」と上司と盛り上がり、韓国オフィスで出張講義をする、ということまでやらせてもらえました。1年目の社員によくやらせてくれたな、と懐の大きさに感謝すると共に、自分で主張する大事さも改めて感じる出来事でした。

チームビルディングもウェットな手法を学びました(笑)これは私のチームだけでしたが、よく飲み、よく語り、よく遊び、よく仕事する、Play Hard, Work Hardスタイル、今でも生きています(笑)

なぜ、BCGからHLABに戻ったか?

楽しくBCGで働いているとき、やはり、どこか頭にはHLABのことが残っていました。というか、有給とって徳島でのサマースクールに遊びに行ったり、なんかプロジェクトに気づいたら巻き込まれててHLAB関連で徹夜もしてたりで、頭に残っていたというか、もう、結構片足突っ込み直してたんですよね(笑)そのときに、あぁ、これ本気でやるならフルタイムでやるしかないかもなーとも思い始めていました。

とはいえ、BCGにいるときに、会社としても自分の成長にコミットしてくれ、ぐんぐんコンサルタントとして伸びている意識も合った中で、やはり辞めるのは怖かったのですが、僕は自分が自分に甘いことを知っていたので「きっと自分はこの環境に甘えてしまうだろう」「20代のうちに挑戦しなければ絶対に後悔する」という思いのほうが大きくなってきました。何より、卒業を考えているときに相談した先輩が「戻りたくなったらいつでも戻っておいで」といってくれた寛大さにも救われました。

コンサルティングというクライアントを通じた社会へのインパクト創出より、20代に自分が直接インパクトを生む形で社会に携わりたい。そう思い、卒業を決意しました。学生時代から共に取り組んでいた現在代表の小林(彼は大学卒業後もHLABに取り組んでいました)からも熱烈なラブコールがあったので、HLABに戻ることを決めました。

BCGの先輩方は、惜しんでくれながらもとても気持ちよく送り出してくれ、応援してくれました。それはとても有り難い一方で、何人かの友人からは「そんなNPOに行って生活できるの?」「収入とブランドを捨てるなんて…!」「何も今ではなく昇進してからでもよかったのでは?」と驚きのコメントをもらいました。うん、そりゃそう思いますよね(笑)(※NPOが稼いではいけない、という誤解は別のポストで語りたいと思います)
きっと、自分がやりたいことを自由にやってる満足感が僕の中で勝ってるからなんです。ただそれだけの理由です。

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そもそもなんでHLABをはじめたのか、そして今やっているのか。

すべては、私自身の進路選択の問題意識です。いわゆる進学校に通っていたこともあり、先輩は東大をはじめとする国公立や医学部を目指し、入学し、学校としてもそういう進路がある意味「当たり前」になっている中で、私も周りと同様に、国公立や医学部を目指し勉強する日々でした。ただ、高校卒業後に海外大学に進学する、とか、この分野がやりたいからその第一人者の教授がいる学校にいく、といった考え方自体、少なくとも私のまわりでは存在しませんでした。だからこそ、今一緒に事業をやっている日本の高校からハーバードに進学した小林に出会ったときに得た怒りはやばかったんです(笑)「なんで、親も先生も先輩も、誰も『お前ハーバード受けたら?』って言ってくれなかったんだ!!!」とw 別にハーバードに行きたいわけではありませんが、そういう一言があれば、もしかしたら進路の選択肢にいれてたかもしれない。そのオプションを知る場がなかったことに猛烈に怒っているわけですね(笑)

だから、きっと、異なる人生を歩む人たちが一堂に介して語り合う(それがサマースクールという場であり、寮という場である)ことで、高校生は新たな進路の発想を得て、やりたいこととか好きなこと、向いていることに取り組める可能性がある。その可能性を高めてあげたい!!というか、それができない社会構造おかしいやろ!!この野郎!!という怒りと問題意識が原動力ですね(笑)怒ってばっか。

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いま挑戦していること

というか、そもそもHLABってなんですかという話をしなくてはなりませんね。HLABはものすごく簡単に言うと、「『違い』を『学び』に変える場をつくる会社」です。具体的にやっているのは…

・日本全国4箇所で開催する高校生向けリベラルアーツ・サマースクール
・お互いから学び合う教育寮レジデンシャル・カレッジ(直営、アドバイジング)
・世界を目指す日本の高校生を支援する海外留学奨学金サポート(柳井正財団の運営パートナー)

などなどをやっています。

これを通じて、日本の学生が自ら主体的なキャリア選択を行い、自由に生きる(リベラルアーツのコンセプト!)ことで力を発揮できる世界を創ることを目指しています。この記事で多くを語るつもりはないので、是非ウェブサイトをご覧ください。

ここで挙げた「サマースクール」が、学生時代にはじめたものです。サマースクールでは、国内外の大学生が日本に集まり、約1週間、高校生と寝食を共にしながらお互いから学び合うプロジェクトです。これはHLABの原点であり、最も大事なものです。きっと一生私自身関わり続けるプロジェクトになると自負しています。現在も学生中心に運営され、日々彼らと議論を重ねながらよいものを創り続けています。

また、大学の国際寮の立ち上げのお手伝い、海外ボーディングスクールとのプログラム実施など、この他にも色々あって、結構目まぐるしく働かせてもらっています。いつでも仲間募集しているので、是非!(直接お問い合わせください!)

現在は、この中でもレジデンシャル・カレッジを下北沢に新設するプロジェクトを一大プロジェクトとして活動しています。小田急電鉄やUDS株式会社と協働しながら下北沢に高校生~社会人までが共に住み、学び合う教育機関 Residential Collegeを2020年夏にオープン予定です。(詳しくは、またHLABの公式ポストにて…)

私は、これらのプロジェクトを通じ、人が自らの進路を選び、好きなことや得意なことで力を何倍にも発揮し、主体的に活躍できる世の中をつくれば、日本はもっと盛り上がると信じています。既存の学校教育に加えて、家に帰ったときに友人と話すような時間も学びの時間に変えることができれば、死ぬほど学びの機会は増えますし、その手段をつくっていきたいと思っています。(あ、ちなみによく既存教育を否定していると思われるんですが、そんなことはなく、あくまでsupplementalな存在だと信じています)

これらの取り組みをしながら私が最近大事にしているキーワードは「気づきの解像度」です。これはどういうことかというと、ファクトから何らかの気づきを導き出す、そのアンテナの感度を高くして、気付きをもっと増やせるようにする、ということです。

例えば、ある人の話を聞いて「つまらなかった」と思ったとしましょう。これ、「つまらなかった」で終わると、思考停止ですよね。「自分はなんでつまらないと思ったんだろう?逆にその人の話で面白いと思ったことはなんだろう?」という問を自ら行うことで、さらに深めることができ「あ、自分はこういうことが好き/嫌いなのか」といった気づきに至ることができます。これ、大人は結構自分でできる人が多いものの、大半が対話や議論により気づくことが多い。そういった対話や議論の場を設け、効果的なファシリテーションや問いかけを行うことで、この気づきの解像度をビンビンに細かくすることがHLABの努めだと思っています。

もう一つ、「主体性」もキーワードですね。いや、手垢がついた言葉で、誰もがこの言葉を使うかもしれません。ただ、本当に、これらのプロジェクトですごい速度で成長する高校生や大学生に共通してもっているのが、主体性です。それも、決してエゴではなく、いかにして自分が関わるヒト・モノ・コトの価値を最大化できるか、自分ごととして捉えられる力です。だからこそ、本気で取り組むし、笑うし、泣くし、怒る。そういった態度が大前提で、その人の成長ってついてくるんですよね。しかもこの主体性というものは、本当に最初から全員があるわけでない中で、仲間同士で少し誰かが持ち始めると、その熱狂は伝播して、主体性をみんながもつようになっていく。そんな熱狂を目にするたびに、この類のプロジェクトはやめられなくなります(笑)我々大人やシステムをつくる側の人間は、決してそれは邪魔してはならないな、と強く思うばかりです。

この他にも書きたいことがいっぱいあるのですが(笑)今回のテーマではこのあたりにして、また、どこかで筆を取ろうと思います。皆さん、応援していただけるとありがたいです!


読んで面白かったら、是非サポートしていただけると嬉しいです!大学生との食べ語り代にします笑