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チリに行く⑤ サッカー編 #32

環境面では非常にいい中でやらせてはもらえていたが、やはりここは勝負の世界だった。

私がいたカテゴリーはプロになる前の最終段階のカテゴリー。すでにトップチームの練習や試合に参加しているものや世代別の代表に入ってブラジルやアルゼンチンと戦っているものもいた。

練習の中で行われるゲームでは、私にはパスは回ってこなかった。

どんなにいい場面でも、露骨にボールを渡してもらえず、ボールを触りたければ、必死になって相手からボールを奪うか、こぼれ球を誰よりも早く自分のものにするほかなかった。

また、ドリブルで抜けば露骨にファウルで止められ、ゲーム中にスパイクで足を踏まれたり、転んだ矢先に顔に目掛けてボールを蹴られることもあった。ミスしてボールを奪われたら、汚い言葉で罵られることは日常で、一時期はかなり自信を失い、基礎練習などは問題なかったが、紅白戦などのゲームをするのは苦痛だった。

そのようにチームメイトの中には露骨に嫌がらせをしてくるものもいたが、見方になってくれるものもいた。

味方になってくる仲間に言われたのは、

「なぜお前はやり返さないんだ!」

と言う事だった。私はどんなに汚いことをされても、やり返してはいけないと思い、じっと我慢していた。ある日の練習中、いつもちょっかいを出してくる選手に激しくボールを奪いに行った。激しくと言うよりはほぼファウルのプレーをした。

そうすると周りの選手が

「そうだそれだよ!」

と言われた。やられた選手にもっとやり返されるのかとも考えたが、プレーの後、“ニコッ”とされてそのままやり返されることはなかった。

その辺りから、ようやく私はみんなと本当の意味でのチームメイトになれた感覚になった。汚いプレーはともかく、気持ちを出してプレーする事でやっとみんなの輪の中に入ることができた。

徐々に試合にも出してもらえるようになったし、ゴールを決める事もできた。技術や戦術面はさておき、気持ちの面でみんなと同じステージにいなければ本当の仲間にはなれないんだと言うことをそこで学んだ。

仲間とも試合の中だけでなく、一緒に遊びに行くようになったり、家に泊めてもらえるようにもなってとても充実した日々を過ごせるようになってきた。

では今日はここまでにしてまた続きを書きますね!

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