HIROSHIMA DIARY by 吉岡睦雄
第1章 時をかけるムツオ
8/21
コロナウイルス抗原検査陰性を確認する。
11時 福山シネマモードさんへご挨拶。
福山駅から歩いてすぐの立派な建物。
残念ながら支配人の藤井さんは在館しておらず。
突然の訪問にも関わらず優しく対応して頂きました。
酒井さんや受付にいらっしゃった神原さんが一緒に写真を撮ってくださる。
13時 シネマ尾道さんへ。
尾道駅のすぐ目の前。
河本清順さん(支配人)にインタビューなどいっぱいさせて頂きました。
「映画との出会いは?」
「シネマ尾道について」
いろんな質問に優しく答えてくれました。
お茶目なポーズまでやってくださって。
壁には来館されたたくさんの方のサインが。
井浦新さんも何度か来られているみたいです。
レトロな雰囲気が素晴らしい。
もっと時間があれば実際にここで映画を観てみたかった!
少し尾道の路地を歩く。
広島市出身の僕は高校生の頃よく尾道に遊びに来ていました。2時間近く電車に揺られて。
大林宣彦さんの映画が好きだったムツオ。
映画監督になりたかったムツオ。
8ミリ映画を撮ろうとしたけど仲間がいないから自分の股間ばっかり撮ってたムツオ。
・・・ああっ・・・18歳の自分がそこを歩いている気がする。
柄にもなくセンチメンタルジャーニー。
18歳のムツオよ、45歳のムツオからお前にアドバイスだ。
人生を舐めるな。
お前が思ってるほど人生は簡単ではない。
自分で思ってるほどお前はモテない。
いや・・・はっきり言って全然モテない。
イヤな事だらけだ。
ただ一つだけ言っておく。
「たまにはいい事がある」
第2章 ビューティフルドリーマー
17時 横川シネマさんへ。
支配人の溝口徹さんとは15年ぶりの再会。
会うのは2回目。
全くそんな気がしない。
何だかすごく落ち着く。
是非とも皆さんにも溝口さんの人柄に触れて欲しい。
雑談したり、インタビューを撮らせてもらったり、ポスターにサインしたり、映画の話をしたり、それはここに置いた方が良いんじゃないかと相談したり・・・文化祭の準備みたい。
楽しい。
18時
18:30開場なのに、知り合いのおばちゃん軍団がドカドカやってくる。
早いけど溝口さんが開場してくれる。
昔っから知ってるおばちゃん達。
大きな花束を持ってきてくれる。
「吉岡睦雄ババファンクラブ広島支部」を設立してるらしい・・・。有難いことです。
おばちゃんが居ると周囲の温度が3度くらい上がる。
溝口さんに写真を撮ってもらう。
おばちゃん1「そのカメラって美人に撮ってくれるんでしょうね?!」
ムツオ「そんな機能ついとらんよ・・・」
おばちゃん2「あら、ムッちゃんは東京行って冷とうなった!」
ムツオ「いやいや」
おばちゃん1「ムツくん、今日の私の服どう?晴れ舞台だからオシャレなの着てきたのよ」
ムツオ「いや〜さっきから見とれとったよ」
おばあちゃん2「あら、ムッちゃん東京行って口が上手うなった!」
ムツオ「いやいや」
おばあちゃん1「お母さんも喜んでくれとるねえ。」
ムツオ「はあ」
おばあちゃん2「その話したらダメよね!泣きそうじゃわ!」
涙ぐみ始めるおばちゃん1、2。
テンションが高すぎて付いていけない・・・。
そうこうするうちにお客さんがドンドン来てくれる。
横川シネマの客層はバラバラ。
若い女性もいるし、年配の方もいる。
映画を観るのはもちろんだけど、溝口さんに会いに来るって感じのお客さんも多い気がする。
同級生も来てくれる。
太ったり、独立したり、見違えたり、リストラされたり、頭が薄くなったり、出世したり、別れたり。
中には卒業式以来の友達もいる。
27年ぶりなのに…何故だろう、昨日校舎で別れたような気がする。
きっと幻想だ。
でも・・・みんな、変わったけど変わってない。
第3章 さよならだけが人生だ
18:57
始まる前に少し挨拶させてもらう。
すごく真面目に挨拶。
客席はイイ感じに埋まっております。
一安心。
19時 上映開始
ロビーで溝口さんと雑談。
「扉が突然開いてお客さんが不機嫌な顔で出てきて帰っていったらどうしよう・・・」
「皆楽しんでくれてるだろうか・・・?」
色んな妄想が駆け巡り落ち着かない。
20:30 上映終了
セッティングに時間がかかるだろうという事で場つなぎでトークする事に。
Q&A。
皆さんが色々質問してくれて助かりました。
「撮影の中で一番大変だった事はなんですか?」
車のバックだぜ。
「キスシーンはどうでしたか?」
最高だったぜ。
「転がってたのは本人ですか?」
元体操部だぜ。
などなど。
中継が無事に繋がる。
前半は音声が少し途切れ途切れ。
画像も良くない。
会場が少しざわつく。
・・・焦る。
何とかこの場をしのがなくては。
冷や汗が噴き出る。
上手い一言を言おうとするが何も出てこない。
自分のアドリブ力の無さに絶望する。
苦肉の策で…・・・
中継にツッコミをいれたり毒舌を吐いてみる。
思いの外ウケる。
特におばちゃん軍団のリアクションが大きい。
普段は面倒臭い事もあるが、この場に限ってはすごく助けられる。
サンキューおばちゃん。
調子に乗り始める。
中継の音声や画像が安定。
東京では笠井信輔さん、入江悠さん、福田沙紀さん、根矢涼香さん、井浦新さんが順調にトークしている。
一安心して鑑賞。
入江さんが「何で福田さんをキャスティングしたか」を話している途中で中継画面がまさかの真っ暗に。
(どうやら横川シネマのWiFiの調子が悪かったみたいです)
溝口さん焦る。
ダッシュで映写室に向かう。
一人取り残される。
無人島に一人取り残された気分。
・・・焦る。
苦肉の策で・・・
入江さんのモノマネで福田さんキャスティングの理由を適当に話してみる。
「目が印象的だったんですよね。」とかなんとか。
思いの外ウケる。
調子に乗って他の役者さんの紹介などする。
福田さんを沙紀ちゃんと呼べなかった話。
井浦さんの包容力の話。
宇野祥平くんに嫉妬心を燃やしてる話。
根矢さんと自主映画の話。
いつのまにやらノリノリになり始める。
得も言われぬ高揚感。
WiFiは復旧したが、
緊張と興奮で僕のテンションのリミッターが壊れる。
こちらは復旧しそうにない。
テンションがおかしくなった人間が取る行動。
「飛び跳ねる」
笠井さんが全国各劇場に話を振ってくれる。
横川シネマに振ってくれた時、パソコンの前でただただ飛び跳ねていました。
「広島のブラッドピットです!」とか
「笠井くん!笠井くん!」とか意味の分からないことをシャウトしておりました。
お客さんも気を利かせて吉岡コールをしてくれたりしました。
僕だけじゃない、お客さんもどうかしてたんでしょう。
会場全員で司ポーズで写真を撮るなんて正気の沙汰じゃないでしょう。
いやいや…横川シネマだけじゃない。
断言できます。
全国の会場の全員が少しおかしくなっていたんでしょう。
皆で心配したり騒いだり笑ったりワクワクしたり・・・なんなんでしょう、この楽しさは。
スクリーンに映し出される全国の劇場とお客さんを観ていると
一体感というか、映画の輪というか、人の輪なんだろうか・・・すごい多幸感に包まれました。
確かにトラブルもありました。
でも、あのトラブルこそが全国を繋いでくれたような気がします。
第4章 一瞬の夢
イベント終了後
いろんな方が興奮したように感想を伝えてくれました。
嬉しい。嬉しい。すごく嬉しい。
溝口さんを見る。
疲れ、脱力、やり切った。
ホントにお疲れさまでした。
僕たちの文化祭はひとまずは終わりだ。
プレミアム試写会に来て下さった全国の皆様。
そして
ユーロスペースさん、瓜連あまや座さん、深谷シネマさん、シネマ・ジャック&ベティさん、長野千石劇場さん、上田映劇さん、ほとり座さん、シネマスコーレさん、出町座さん、京都みなみ会館さん、第七藝術劇場さん、シネ・ヌーヴォさん、豊岡劇場さん、元町映画館さん、シネマ尾道さん、横川シネマさん、シネマルナティックさん、別府ブルーバード劇場さん、シネマ5さん、シアター・シエマさん、THEATER ENYAさん、Denkikanさん、宮崎キネマ館さん、ガーデンズシネマさん。
ホントにありがとうございました。
あの時間を一緒に過ごせた事は・・・上手く言えませんが・・・すっごく楽しかったです。きっと分かってもらえるでしょう。
すっごく楽しかった。
そして。
18歳の睦雄よ。
最後にもう一回だけよく聞け。
人生を舐めるな。
お前が思ってるほど人生は簡単ではない。
自分で思ってるほどお前はモテない。
いや・・・はっきり言って全然モテない。
イヤな事だらけだ。
ただ一つだけ言っておく。
「たまにはいい事がある」
おわり
映画『シュシュシュの娘』
8月21日(土)全国ミニシアター公開
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