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倒され、のこぎりで切られた木

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【詩】
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2023年4月の記事一覧

【詩】ラムネスカイ,マカロンガーデン

♬ 1 トリカブト蜜もこぼさず摘むなら満月の 宇宙遊泳ミルキーウェイにぬれたその顔の (涙ではさらさらなく) しずく滴るまぶたを瞑る満月の 高きへかざせば花序の列 濃紫の高慢だとか薄むらさきの蠱惑とか 一秒きざみに塗り替えちまう満月の ばかに明るい夜がいい という作戦会議は ボクとキミのあいだでの 論を俟たない自明の理 ジャックナイフとステップ踏むなら理科室の その蔓草がセクシーな蛇へと戻る鉄柵を (星々はGOのウィンクを) 一足飛びなら夜這い星の弧をえがき   動脈静脈交

【詩】時計と花

ほんとうの時計の針を 見たことがあるかい そう訊かれて女は 水面にうかぶ花びらのように 男の影を眼球の端から端へと ゆるやかに流した この男に厭きない為に いつのまにか自身にほどこしていた 装飾だった ほんとうの時計の針は 左回りに回っているのさ ぼくたちには決して 追いつけないスピードでね そいつらが走り去る時 落して行った物を拾うため 針の影は 右回りに回っている ———それで今夜の貴方は わたくしになにを下さるの——— ぼくたちは、だから一度だって ほんとうの