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古代の芝生をパレードする孔雀

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【短編小説】
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#すね毛

【短編】快速夏号1番ホーム

光りかがやく葉っぱが、列車のスピードにあわせつぎつぎと流れていきます。新緑のこの季節、窓の外はみがきぬかれた大粒のエメラルドがごろごろ流れていく川のようではありませんか。 空が一駅ごとにひろくなるのですから、樹々もおもいきり葉をゆさぶれるというものです。 「なんだか鼻がむずむずするなあ」 たかふみ君はそんな景色にも気をとめず、鼻のあたまをこすっています。 むずむずするのはお家を出る前からのこと、花粉症のせいではありませんでした。 入学式もオリエンテーションも終わってひと月