【小説】桜をマニアに愉しむ方法
高校の制服を最後に着たのは、卒業式ではなかった。近しく行き来するほどでもない親戚の家で、大きな葬儀があった。卒業式の後とは言え一応は学生なのだし、制服で都合の悪いこともないだろうということを言われ、礼服を誂えるのは僕だって窮屈だ、何も考えず詰襟姿に普段使っているスポーツバッグを選び、北上中の桜前線を新幹線で越えた。
なんだか甘いものが食べたくなっちゃった。
離婚と結婚を繰り返すおばは気楽な人で、精進落しの席を立つとそう言って僕たちを甘味処へ連れていく。常々、従兄姉や僕と