『爪』/400字エッセイ
幼少期からピアノを弾いている。上手い下手で言えばそれほど上手くはないのだが、素人音楽家として今でもこだわり続けていることがある。
それは、爪。楽器を扱う者にとって、爪は演奏を左右すると言っても過言ではない。ちょっとでも伸びると普段と感覚が変わってくるので、とても気になる。人にもよるとは思うが、私の場合は常に深爪と思われるレベルまで爪を整えている。
いつどんなときでも爪が切れるように、鞄には常に爪切りが入っている。音楽系の部活だった人ならわかると思うが、いざ楽器をやるときに「あ、爪が伸びてる」となると、そこからずっと気になってしまう。そんなとき誰かが爪切りを持っていたらとても助かる。いつどこで演奏機会が訪れるかわからないではないか。残念ながら、未だにその機会はないが。
常時爪を深爪にしていたり、鞄に爪切りが入っていたりするのは、素人音楽家としてのプライドだ。いつだってピアノを弾く用意はできている。
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