『音楽がわからない』/400字エッセイ

音楽が好きだ。ピアノを弾く習慣があるし、クラシックから最新のJ-POPまで一通りの関心がある。そんな私だが、長いこと音楽がわからないと思い続けてきた。

中・高校生くらいになると、好きな曲やアーティストがひとつやふたつあっても不思議ではない。むしろ、ひとつやふたつあるのが自然だ。ないならないでも良い。音楽に興味がないなら、好きな曲がないのもまた自然だ。

私はといえば、2歳でピアノを始め、中学で音楽部、高校でオーケストラ部に所属していた。それでも、好きな曲・アーティストがなかったのである。

どうして音楽をやっていない人でも好きな曲があるのに、自分にはないのか。演奏するのは楽しいけど、どうしても聴きたくなる曲がない。どうして、どうして。

そんな私も大学生になって、ようやくヘビロテするような曲ができていた。今では音楽を聴くし、演奏もする。理由はわからない。

音楽が好きだ。まだまだ音楽のことがわからないから。