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はやみねかおるの名作『怪盗クイーン』がアニメ化!読書の原点を語る

今さらながら、はやみねかおるの『怪盗クイーン』がアニメ化していたことを知った。

何を隠そう、はやみねかおるの小説は私にとって読書人生の原点。今でも読書好きだと胸を張って言えるわけではないが、人並みに本を読むようになったのは、紛れもなくはやみねかおるの作品に出会ったからである。

出会いは小学生5年生の頃だったと思う。休み時間は基本的に外で遊ぶことの多かった私だったが、どうしたわけか、本好きで知られたクラスの女の子から一冊の本を借りたのがすべての始まりだった。

衝撃だった。

こんなおもしろい世界が世の中に存在するのかと思った。文字が並んでいるだけなのに、これだけ没頭できることが不思議だった。何かに憑かれたかのように読んだ。「ね、本ってスゴいでしょ?」と言われた気がするが、私はすかさず「次! 次を貸して!」と返したのを覚えている。

この本から一二週間ほどで、そのとき出ていたシリーズの本はすべて読んでしまった(借りて)。最初に何がきっかけで借りることになったのか、残念ながら今ではまったく思い出せない。単純に本好き仲間が欲しかったのかもしれない。一冊目を読み終わった私の興奮を見て、その子がものすごく嬉しそうにしていたのだから。

文字通りまんまとハメられたわけだが、その子が同時期に読んでいたのは『白い巨塔』だった。これも強い印象があったので、よく覚えている。随分先を行っているものだと感じたし、恥ずかしながら今でも私は読んでいない。

その後の読書遍歴はわりと王道だと思う。

最初にはやみねかおるだった影響は大きく、読書といえばミステリーだった。中学では怪人二十面相シリーズやアルセーヌ・ルパンシリーズを読み、高校では宮部みゆきや東野圭吾を読んだ。

今振り返ると、ホームズシリーズは読んでいないし、名探偵コナンもまったく読んだことがないので、ミステリー好きというには穴だらけなのだが、読書の楽しさを知ったのがはやみねかおる作品だったのは間違いないのだ。

今回のアニメ化は一筋縄ではいかなかったらしい。作品自体がかなり前のものであり、元が子供向け作品とあって、ターゲット層の動向が読めないからだ。

それでもこうして形にしたのだから、余程の熱意があったに違いない。おそらくプロデューサーは私と同じくらいの世代なのではないだろうか…。

上映については、ほとんどのところで既に終了している感じであった。もっとはやく気づいていればと思うが、どのみち今やっていたとしても足を負傷しているので行けなかった。

偶然ながら、先日はやみねかおるのこんな本を買って読んでいた。

内容は文章読本のたぐいだが、これですら児童文学の形をとっているのだから流石だ。

先日シン・ウルトラマンを見たときにも思ったのだが、子供のときに好きだったものを大人になってからちゃんと振り返ることって意外とない。あの頃好きだったものは、ただ子供心に楽しかっただけではなくて、本当に良いものだったからではないか。

ストーリーそのものは綺麗に忘れているのだが、怪盗クイーンの超人的な能力はおぼろげながら覚えている。素手で刃物のようなカットができるとか、高速で映し出される映像をインプットできるとか。

今一度読み返したら、やっぱりおもしろいのではないか。どこかに置いてきてしまった感受性を取り戻せる、かもしれない。

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