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フリー編集者・元塚B

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塚Bの中央公論新社時代、そしてフリー編集者の元塚Bの記事です。
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編集者のハラスメント問題

こんにちは、フリー編集の元塚Bです。 12月は「職場のハラスメント撲滅月間」(厚労省)ということで、最近感じたハラスメントに関する話をしたいと思います。 若いライターのWさんからこんな相談をされました。 なんでも、X出版社の編集者Y氏が校了の間際になって、Wさんにとってかなり不利な条件を出してきた。 出版社の常識として、こんなことはありうるのだろうか……と。 私はX社の人間ではないので、もちろんX社や編集Y氏の事情はわかりません。 ですが、「あくまでも私の経験と推測ですが」

多額の借金苦から夜逃げした父子が、小説家として成り上がる!

こんにちは、フリー編集者の元塚Bです。 以前このnoteでもご紹介した作家の矢月秀作氏。 その半生は、父親の事業失敗にともなう多額の借金、夜逃げ、ヤクザに追われる日々……と実に波乱万丈でした。 今回はそんな矢月氏に、作家を志すようになるまでの、若き日々を語ってもらいました。 元公安の父 作家・矢月秀作は1964年、兵庫に生まれます。 当時、矢月一家は警察の官舎で暮らしていました。 父は公安のデカとして危険な任務に就いており、幼い矢月氏は父が家にいた記憶はほとんどなかったと

紙媒体を愛する気持ちは変わらない。若き編集者による、これからのシュッパン。

こんにちは、元塚Bです。 気づけば私も40代。 しかし、まるで日本の超高齢社会を象徴するかのように、周囲は、編集者も読者も、私より年上ばかり。 「若い人の意見が聞きたい!」 そんな渇望感から、フリーの編集者として活躍している、あかしゆかさんにお話を伺いました。 出版社に憧れて あかしさんは1992年生まれ、現在29歳の(もはや業界内では奇特な)若き編集者です。 出版業界との最初の接点は、大学時代。 たまたま通った本屋の貼り紙を見て、アルバイトを始めたことが入口となります。

ふんどし編集者

女性誌の編集部と言うと、華やかな世界をイメージするかもしれない。 しかし、決してそんなことはない。 時には、ふんどし一丁で峻厳な峡谷を行かねばならない、過酷な世界である。 今回は、私が『婦人公論』編集部に在籍していた時のエピソードをご紹介します。 『婦人公論』での体当たりルポ『婦人公論』は大正5(1916)年に創刊した、なんと100年以上もの歴史を持つ女性誌である。 そんな『婦人公論』2017年9月12日号の特集は「あなたの悩みグセ、直せます」。 その特集内で、悩みを一

難民少年(のおしっこ)をすくう

こんにちは。塚Bです。 前回に引き続き、『婦人公論』時代の忘れらない取材について書きたいと思います。 (ちなみに、前回の記事はこちら) アフリカから来た難民一家それは『婦人公論』2017年8月22日号に掲載した「ルポ日本の難民」という企画で、アフリカ某国から日本へ逃れてきた女性への取材でした。 紹介して下さった認定NPO法人「難民支援協会(JAR)」さんから聞いた事前情報によると、小さなお子さんが2人いるので取材時に連れてくるとのこと。 ちょうど私の娘と同世代の子たちのよう

おしり編集者

出版社の編集者というと、ずっとデスクで頭脳労働をしている――そんなイメージがあるかもしれない。 しかし、決してそんなことはない。 時には自らのおしりを突き出し、内臓をも披露しなくてはならない、過酷な世界である。 今回は私=塚Bが、ふんどし編集者につづき、体を張った取材について書きます。 (記事内に私の「体内写真」を掲載しています。苦手な方は閲覧ご注意ください) 「下痢対策」に特化した本を作る!現在製作中の本のテーマはずばり、「下痢対策」。 何しろ私はひどい下痢体質で、ほぼ一

プー太郎だった私が出版社に入った理由。 ※イラストはイメージです

皆さんこんにちは、塚Bです。 出版社に入社して20年弱。 今でも時々、「あれ、どうしてオレはここで、こんな仕事をしているのだろう?」と不思議に思うことがあります。 今回は、そんな私が出版社で働くことになった経緯を、振り返ってみました。 若かった頃の、私。在学中4年間、私は就活をしませんでした。 大学を出たら、とりあえずは適当にバイトとかしつつ、自分の好きなことをして暮らしていきたいなぁ~、と考えるタイプの若者だったのです。 私がいた学部ではこうした考え方はむしろ「普通」のこ

嗤(わら)う編集者

「大変すばらしいお原稿ですね」 編集者がそういいながら、上記のような表情を浮かべていたら、要注意。 片側の口角が上がっていますね。 これは、相手を「軽蔑」しているときに浮かぶ表情です。 つまりこの編集者は、言葉とは裏腹に、原稿の執筆者を見下している。 きっとその原稿はボツになるでしょう。 今回は、わたくし塚Bが現在取り組んでいる企画、「表情分析」についてご紹介します。 「表情分析」とは?皆さんは、「表情分析」というものをご存知ですか? 例えば、こちらの表情。 さて、どんな表

体コチコチの編集者と、赤ちゃんと。

こんにちは、塚Bです。 以前、こちらのnoteで下痢の対策本を製作していることに触れました。 今回は、その続き。 先日行った、撮影について書きたいと思います。 日本のウォール街に、baby来る実は前回の取材時、著者である小野咲(おの・さき)さんのお腹には、赤ちゃんがいました。 その後、無事に元気な男の子が誕生。 今回の撮影は、生後数か月の赤ちゃんと一緒にいらっしゃいました。 撮影は大手町にある弊社オフィスにて。 新聞社や経団連、大手銀行などの高層ビルが立ち並ぶ殺風景なオフィ

ローカルチェーンの書店とともに歩む。フリーランス書店員……って?

こんにちは、塚Bです。 前回、小石川にあるPebbles Booksをご紹介しました。 その仕掛け人が、フリーランス書店員の久禮(くれ)亮太さんでした。 しかし、書店員でありながら、「フリーランス」とは、いったいどういうことなのでしょうか? 今回は、そんなフリーランス書店員・久禮さんのお仕事をご紹介したいと思います。 チェーン店から独立 久禮さんは、大学在学中にあゆみBooks早稲田店でアルバイトを始めたことから、書店員としてのキャリアをスタートします。 その後、三省堂書

楽天ブックス、本屋大賞、そして『ダ・ヴィンチ・コード』。出版界の一大イベントに立ち会って

こんにちは、元塚Bです。 (塚Bは中央公論新社を退職し、フリー編集者の元塚Bとなりました) 今回は、ネット書店や本屋大賞の立ち上げなど、業界の歴史に残る様々な一大イベントに立ち会ってきた、古幡瑞穂(ふるはた・みずほ)さんにお話を伺いました。 日販から楽天へ出向 古幡さんは大学卒業後、日本出版販売(通称、日販・ニッパン)に入社。 日販とは、出版社と、全国の書店とを結ぶ出版取次の最大手です。 古幡さんは、紀伊國屋書店新宿南店の営業を担当することとなり、そこで出版業界の基本を覚え