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月刊 編プロのケーハク

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シュッパン前夜メンバー、編プロのケーハクの記事まとめ。出版界のあるある、新人ライター&編集者向けのスキル解説、出版界の問題や課題について。
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#編集の仕事

後世に残したい出版編集の技術アーカイブ「ラフは原寸で描く!」

今宵、本の深みへ。 この度、独立してフリーになることになった、編プロのケーハクです。 おそらく、編プロ所属で書くのは今回で最後になるかと思いますが、今後も「ひとり編プロ」として出版編集業務は継続していく所存ですので、「編プロの」はそのまま据え置きということでお願いします(どうでもいいですよね?)。 さて、今回は「後世に残したい出版編集の技術」ということで、「ラフ」をテーマに解説していきたいと思います。 最近は、生成A Iが猛烈なスピードで発達してきて、すでに誌面のデザイ

出版業界が「改革前夜」っぽい雰囲気になり始めているような気がする件

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。 なんとも歯切れの悪いタイトルですよね? 今回は、出版業界にまつわる“ポツラポツラ”とした最近の話題にふれ、なんとなく感じた「変革の雰囲気」について、極めて個人的かつ、正直な思いを綴りたいと思います(笑)。 無人書店「ほんたす」がオープン東京メトロと取次大手の日販、そしてディスプレイ業界大手の丹青社が組んで、溜池山王駅に9月にオープンした無人書店。 冷凍餃子とかの無人店舗はよく見かけますが、ついに無人の書店が登場。店舗面積は約1

出版社の「冒険しない」問題

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。 今回は、本の顔「カバーデザイン」の話です。シュッパン前夜chでも、ブックデザイナーの鈴木大輔さんをゲストに、いろいろと意見を交わしたのですが、その中で意気投合した話題が「出版社は冒険を避けがち」ということでした。 私のような編プロの編集者や、デザイナーさんは、提案するけれど、決定権がありません。カバーデザインは、最終的に出版社の意向で決まっていくのが普通です。 で、我々のような作り手側としては、ライバルである類書に勝ちたいし、面

世界一まとめきれていないインタビュー論

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。 現在、私たちのYouTube番組「シュッパン前夜ch」では、スポーツメディア編を展開中。その中でゲストであるスポーツライターの方々とインタビューのテクニックの話になったのですが…… 「取材対象者に仮説をぶつける」取材前に入念な準備をしたうえで仮説を立て、それをある種「決めつけ」のような形で取材対象者であるアスリートたちにぶつけるそうです。 それが当たっていれば、相手は「よくぞわかってくれた」と話してくれますし、外れていたとしても

新人ライターや編集者に教えている「文章は書き出しが5割」

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。 本当は8割とか9割とか言えたほうがキャッチーなのでしょうが、重要さの割合で言えばリアルに配分を考えてこの(5割)くらいかなと……(笑)。 というわけで今回は、文章を書くうえでの「書き出しの重要性」について考えてみたいと思います。 文章の構造は「ファンタジー」と同じ!文章の基本形といえば、「起承転結」です。今さらながらこの基本形を一般的な解釈で説明すると…… 「起」話の背景、事前情報の提示 「承」本題の導入 「転」起承を受け

出版社の「自社本を分析しない」問題

今宵、本の深みへ。 編プロのケーハクです。 今回は賛否があるかもしれないと、少しビビりながらも勇気を出して思ったことを書きます(笑)。 先日、前夜メンバーたちとこのようなテーマを話し合いました。 「売れる本と売れない本」の違いとは?まあ、経験則での話になるので、こうじゃないかという個人的な仮説を述べつつ、実際にうまくいかないことのほうが多いという事実に打ちひしがれ、どんどん声量を失っていくざんねんな展開に……(笑)。 結局のところ、企画に対する熱量を込め、あとは時の運