目の前に大きな山がそびえ立つ。
モーゼはホレブの山に登り、神の啓示を待っていた。
君はそのときモーゼとともにはいなかったが、山の麓からはっきりとモーゼの姿をとらえていた。
神とはなにか?
神は人の前に姿を現すのか?
神と人との間に交わされた約束とは何か?
そのために何をしなければいけないのか?
神に選ばれるとは何を意味する?
そして肉眼では見えることはできなかったが、山の頂きにおけるモーゼをしっかりと心の眼でとらえていた。
突如、それまで無風状態であった山の頂きに、一陣の風が巻き起こった。
陽が沈んでいるので、あたりを見ることはできなかった。
夜空に無数の光の粒が広がっていた。
その光の粒は、星か、異星人の乗る船か、やがてそれは一つに集まり、巨大な頭上の星となった。
次第に一際輝く溶岩のような塊となり、山の頂きに轟音とともに降りてくる。そして、荘厳なる声が響いた。
はっきりとそれが聞こえた。
そして君はそのとき、すべてに気がついた。
神とは、偉大な聖なる星からやってきた生命体であること。
その生命体は厳かで、これから先、何千年にも渡って地球を導くように思われた。
そしてそのアドナイはこう言った。
そしてそのアドナイは、それを心の眼で見ている君にもはっきりとこう伝えた。
君は心の中でアドナイに質問した。
古今東西の、あらゆる人間を偉人にした秘密の鍵がある。
それは信じきることによって、神との直接のつながりを得たもの。
その秘密の鍵を手にいれたものは「シークレットマスター」と呼ばれた。
もちろんモーゼもその一人であった。
そのときモーゼも、アドナイから同じように質問を受けていた。
信じることについて君はアドナイに質問し、同じ質問を、神はモーゼに投げかけていたのだ。
モーゼは最初こう答えた。
アドナイは首を横に振った。
ジリジリと夜明けが近づいていた。
次第に不明確だった山や谷や草原の姿が徐々にシルエットを明らかにしていく。
モーゼは絶体絶命だった。
民を率いてきたが、自分がこの質問に答えられなければ民は全滅する。
それどころか、己れ自身も、もう何十回も生まれ変わらなければならない。
自分を救うこともできず、民も救うことができない。
時が近づいていた。
いいかね、古来の古の賢人は、このような死に物狂いの境地で信じることについて考え抜いてきた。
アドナイは優しくモーゼにこう教えた。
モーゼは胸をはって答える。
実はそのことで、モーゼもまた悩んでいたのだ。
アドナイはこう言った。
その瞬間、見たこともない稲光がシナイの山の頂上に落雷した。
二枚の石板が築かれ、光の手で十戒が描かれた。
いいかね、これが君が見たこと聞いたことだ。
君は誰かに伝えようとしたり、妥協する必要はまったくない。
妥協すればするほどウソになる。
君の本当の素晴らしさは、喜びのままに生きる力にある。
神の前で踊る、そなたの踊りのなんと美しいことか。
賛同者がいようといまいと、強烈な原始体験の喜びのままに舞え。
それを忘れてはならぬ。
心は常に神とともにある。
一ミリもずらしてはなりませぬ。
END