17兆年の孤独に愛の扉を開く
今後、生きるうえで、きみが知っておいた方がいいことがある。
それは、宇宙で一番最初に、発生した「悪」についてだ。
人は善を知ることより、悪を知らなければならない。
この宇宙ご自身が、未だにこの悪を解決できないでいる。
今より約17兆年の昔、太陽系から見て射手座の方向に、ある孤独な星があった。この星は他の星と交流はせず、独自の文明を築いていた。
この星に、「ヤーノス」という王がいた。
ヤーノスは、宇宙で最初の道徳を探求した。
徳を持って星を治める、最初の政治の発祥と呼んでもいい。
ヤーノスは、とても勤勉で働き者だった。夫婦で力を合わせ、善い政治を行う。やがてヤーノスに、後継ぎの子が生まれる。
名前を仮に「セス」と名付ける。セスは頭が良く、働き者の両親を心から尊敬していた。しかしセスは考えすぎる傾向があった。
ここに弟が生まれる。名前を仮に「トス」とする。トスはそれほど頭は良くなかった。ただ陽気な性格で、両親の言いつけをよく守る。
教育にあまり時間を割けないヤーノスたちは、臨時の後継ぎをトスに任せる。セスは初めて、両親に裏切られたと錯覚をする。どうして優秀な自分に、政権を渡さないのか。
こうして最初の疑心暗鬼の心が生まれた。それは単なる誤解だった。
幼いセスにはそれが理解できない。やがて、その誤解は復讐となり憎しみとなる。
セスの立場にすれば無理もない話だ。
正当な世継ぎが自分であるにも関わらず、はねにされ、無視される。
セスはやがて弟に嫉妬し、弟を殺害してしまう。
このとき初めてヤーノスは、自分の教育の間違いに気がつく。しかし遅かった。
ヤーノスはセスを危険視する。やむなく、他の惑星に追放しなければならなくなる。
セスはやがてその星の王となる。高度な文明を発展させ国を統治する。
ただ目的が邪だった。ただひたすらヤーノスに復讐するため、何度も両親との間で戦争がはじまる。
ヤーノスは、まともに戦えば自分たちが勝つことがわかっていた。
勝っては退き、勝っては退きを繰り返す。やがてヤーノスが先に死んでしまう。
セスは故郷の惑星に戻り、その惑星を支配する。
死んで初めて、セスは己れの愚かさに気がつく。弟を殺害し、両親も心配のあまり殺してしまった罪の意識で苦しむ。罪悪感に苦しめられたセスは、やがて自ら命を絶つ。
こうして、最初の政治が失敗に帰す。
ではどうすればよかったか?誰もこの問題を解くことができなかった。
やがて、彼らの遺伝子を持ったものが大宇宙に散らばる。
未解決のままの問題が、遺伝子の形でバトンタッチされる。
我々の生命体は、初期におけるこの過ちを自らの体内で再現し、そしてその問題のかけらを自らの人生で解決しようと、悪戦苦闘しなければならなくなった。
このようなことが、遺伝子に意識を合わせれば読めてくる。
ヤーノスという両親が、教育に熱心になればなるほど、心にすきま風が吹く。
整理してみよう。
セスは言われたことはきちんと守る、几帳面な性格だった。
罪の意識も持っていた。言わば規則の魂と言っていい。
一方トスの方は自由に生きる魂だ。
こうしてこの大宇宙は私たちに、常に自由と規律の問題を突きつけるのだ。
各自が自分の人生の中で、どこまでが許され、どこまでが許されないかを、身を以て体験しなければならない。
誰も正解を持たないまま、この人生という旅路に出る。
魂とはなにか?生きるとはなにか?
いったいこの自由と規律のバランスをとることはできるのか?
はたまたできないのか?とる必要があるのか?
必要があるとすればどのような方法で達成できるのか?
私は十代の頃から、この大宇宙のカルマについて考え続けている。
この問題が、人類の深層意識に巣食っているからだ。
どこからどこまでを解放して、どこからどこまでを抑制しなければならないのか。そのバランスを決める意識はどこにあるか。
この問題について、この17兆年の間に様々な聖者が解答を挑んだ。
そもそも両親の中に、この矛盾が潜んでいたのではないかという説。
育つ過程のどこかに間違いがあって、このように性格の異なる兄弟が生まれたのではないかという説。
この問題を追及している間に一つのことに気がついた。
君も、この問題の裏に潜むことに気がつけば、君の身の上に起きている問題も解くことができる。
そしてこの問題を解けたものから、自然に幸せになるようにつくられているのだ。人は私がいま言葉で言ったように、明確にこの問題を認識してはいないが、うすらうすら感じているのだ。
すべての人間に投げかけられ、神御自身がつくられたパズルだ。
さて、この問題を解くことができるのか。
さて、もう一度話を戻す。
17兆年前、ヤーノス夫婦はどんな会話をしたか。
ヤーノスは次の王位継承者を誰にするかで頭を痛めていた。
その両親の会話を、たまたまセスが聞いたことによってこの混乱が起きた。この夫婦の会話は次のようなものである。
セスもトスも、もうそろそろいい年頃になった。私等も年老いてものの分別がつかなくなる前に、誰を後継者にするべきか、はっきりさせなければならない。
セスは知恵に優れている。問題の原因を探り出し、適切な対策を打つことができる。しかし彼は規則にとらわれている。緊急の差し迫った新しい問題が起きたとき対応できるだろうか?
その点トスは突き詰めて考えることは苦手だ。しかし体当たりで現場に行って、問題をなんとか解決しようとする良い面がある。
我が国は私たちが創始したとは言ってもまだ若い。これから先どのような災難が起きるかわからない。国土は広くまだ安定はしていない。
セスはもう一度経験を積んだ方がいいのではないか。臨機応変さが足りない。
妻は言った。
そんなことをセスが受け入れるでしょうか。セスはプライドが強い。追放されたと勘違いしてしまうのではないでしょうか?
年齢からいってもセスにすべきでは?そして何か非常事態が起きたら、弟のトスと力を合わせて立ち向かうよう、遺言として残すのです。
するとヤーノスは言った。
セスはプライドが高すぎる。弟に差し出がましいことを言われるのは嫌いだろう。考えているうちに意思決定が遅れたらどうする?
王は学者には務まらぬ。
でもトスにも欠点はあります。きのう言ったことをきょうは忘れ、きょう言ったことを明日は忘れるでしょう。このようなものが王になって、果たして民の信頼を得ることができるでしょうか?
トスもセスも一長一短ありと言える。どちらを王位に継がせるべきか。もうしばらく考えよう。
この夫婦の会話を盗み聞きしていたセスの心は、初めてムラムラと弟に対するライバル心と嫉妬心が生まれた。
規律と自由、この相反する属性はどうしてこの家に生まれたか?
ヤーノス夫妻はこのどちらを選ぶべきかと苦悩した。
さて、神の立場になって考えよう。
神は、どちらかを選んでほしくして差し出したのではなかった。
どちらの可能性もある。
完全なる神の光そのものを、この宇宙に表すことは不可能だ。
だから必ず神の表現は、二極に分裂して表現される。
男と女、プラスとマイナス、この場合、規律と自由だ。
神はどちらも正しいと言いたくて、両方の子どもを宿したのだが、人間は誤って、どちらを選ぶべきかと受け取った。
神は両方プレゼントしようとしたのだが、人間の方で誤ってどちらかを取り、どちらかを捨てようとした。
神と人間の間に、最初にして根源的な、大きな溝が生まれたのだ。
実はこの二人の兄弟のうち、どちらかを残しどちらかを追放するのではなく、どちらも残せばよかった。それなら意思決定できないと言うなら、この二人に意思決定させなければよかった。国の中からそれに相応しい人間を選び、そのものにバトンタッチすればよかった。
さて、当のヤーノスは、今はすでに完全にこの問題に答えを見出している。
それがいま私が述べたことだ。
ヤーノスは、我が子のうち、どちらを王位に就かせようかと狭い選択肢の中で苦悩した。
選択肢を広げるということが、いかに難しいことであるか。
私たちが輪廻転生して、時には船乗りになり、時には政治家になったり様々な職業を体験する。
身を持ってこういう生き方もある。
自らの魂に、選択肢に幅を持たせるためなのだ。
この幅を持った状態を、天上界では理性と呼ぶ。
理性は最初からつくられた魂の機能ではない。
輪廻転生の果てに、後天的に生まれたものだ。
ものごとは、それもあり、これもある。
それが嫌だというなら、そのものはその地位から去らなければなりません。
理性は、最初からこの宇宙に存在するものではありません。
最初は創造的な、野生的なエネルギーが生まれてこの宇宙を創りました。
そののち、輪廻転生の回数が増えるに従い、理性がつくられます。
古事記に例えれば、スサノオを創造神とすればオオクニヌシノミコトが理性です。
トスもセスも、父と母に許してもらいたかったのでした。自分がこの世に生まれたことを。このような気質でしか生きられないことを。
ヤーノスは最初それを認めることができませんでした。
セスに対しては、お前はどうして考えすぎるのだと責め、トスに対しては、どうしてお前は雑すぎるのだと責めてしまったのです。
トスもセスも、父親に心から許してもらったわけではありませんでした。
大きくなってもこの心の傷は晴れませんでした。
自分がこの世に生まれたことを、このような性格でした生きられないことを、許してほしかったのです。そのことに気がつきませんでした。
こうして最初の父と子の間の溝が生まれます。
一言、言ってもらえれば十分でした。
セス、お前にはいいところがある。お前は考え深い。お前は考え深い以外の行動的な人間になることはできない。お前はそれでいいのだと。
トスよ、お前には行動力がある。お前はその良さを使ってスクスク成長すればよい。
政治はお前たち二人で相談しながらやりなさい。そしてもし意見の食い違いが続くようなら、お前たち二人とも引退しなさい。
そして国民の中から相応しいものを王位に就けなさい。お前たちは顧問格として、裏方からアドバイスをすればいい。
親は懸命に生きれば生きるほど、子どもや部下に自分とそっくりのパーソナリティーを求めます。血の純潔を求めます。それから少しでも外れていると、癇癪を落とします。
人の上に立つものの中道は、普通の人間より遥かに難しい。
的を絞るように的確な政治を行おうとするあまり、自分の側近にも、ギリギリの資質を要求します。
こうして、この問題が解けなかった多くの魂が、最後に答えを聞こうとして、この星に生まれます。
彼らは、欠点を指摘してほしいのではなく、ただ許してほしいだけです。
ただ、認めてほしいだけです。つまり、祝福してほしいだけです。
祝福しなさい。真実を生きたなら、次は祝福することです。
前世で祝福に徹した魂は、今世では真実を生きる
前世で真実に生きたものは、今世では祝福に生きます
おわかりですか?
悪の根源は、ほんの些細な誤解から生まれました。
恐ろしい悪魔がいるわけではありません。
悲しい、誤解に満ちた魂が存在するだけで、恐ろしい悪魔が、この地球を牛耳っているわけではないことを理解してください。
天使よ このものたちを祝福したまえ
きょう、愛の扉が開かれました。
やっと、長らく孤独であったこの星に扉が開かれたのです。
答えを知りたがってる魂に、答えが与えられますように
出口を探す無数の魂に、出口が指し示されますように
17兆年の孤独が癒されますように
この佳き日に、この特別な日に、魂はミサをとり行いました。
アーメン ガブリエル きたりませ
オーム ミシェル アマセンダンツ
END
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