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スターダスト

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ここに描かれたものがたりは、すでにこの世から旅立っている、ある女性作家の言葉を、インスピレーションで書き下ろしたものです。
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記事一覧

黄昏のブルージャックvol.6

死に気がついて そう、4日後に本当に死ぬんだと気がついて、 死神の顔を見たいと思ったのね。 だって同じのみこまれるなら 相手の顔を見ときたいわけじゃない。 そいつはやってきた。 暗黒の体 鋭いナイフのような爪 おお、その鋭い爪で何人も死の底に引きずり込んできたのね。 やっと全体像が見えてきた。 大きな鯨のようだけど、ちゃんと手脚が付いてて、それは巨大なジャッカルだった。 射止めるなら、間髪入れずに、心臓を狙いなさい。 そう言ったら、ジャッカルは私の周りを三回まわ

魂のダンス〜満ちることのない月vol.5

希望の窓私、霊界に行って希望の窓というところに連れて行かれたことがあるの。 その窓は、本当に小さな窓なんだけど、手のひらで押したら、そこから自分がなりたい自分が映って見えるの。 そう、紙芝居よりも、もっと生き生きしてる。 それで私、その希望の窓から、ずーっと眺めていたわけ。 そうしたらね、突然私の着ている衣装が変わったの。 私は、どちらかというとキラキラ輝くラメが入ったような、薄い刺繍が入った白い絹のような服が好きで、それがヒラヒラ揺れているのを見て、希望の窓って本当

悲しみの向う側vol.4

ギリシャの吟遊詩人ある日私ね、天の川の中心に出かけたの。 単なる知的好奇心なの。 中心は、何でできているんだろう? って。 きっと、とても美しいものでできているんじゃないかって。 でも、真ん中に足を踏み入れたら、驚くほど何もなかった。 そう、本当に空虚な穴だけが、ポッカリ空いていた。 何もないから帰ろうとしたら、そしたらね、後ろから声がしたの。 同じことよ。 え? と思って、後ろを振り向いたの。 そこには、大理石以外は何もなかった。 気のせいかしら? と思

宇宙の塵のノスタルジア vol.3

模様私は死んでから、ただそこにある一物としての枯葉の模様を、じっとみていた。 私のからだも似たようなものね。 醜く滅びていく。 でも模様として見たら、意外と美しいのよ。 きっと人は、神の日記に書かれた模様に過ぎないの。 物語には大した意味はないのよ。 ハラハラドキドキしながら、シュールに成り行きをただただ楽しんでいるだけ。 愛の動機愛の動機は、人はきっと孤独なの。 人は孤独が一番おそろしい。 きっと、最大の孤独を感じているのは神よね。 だって自分以外に誰も

星屑のアベマリア vol.2

私は、死んでしばらく銀河を放浪した。 どこかに、魂のカケラが残っているんじゃないかと思って... 色々な銀河系を旅したの。 どうして銀河系ってこんなに美しいのかしら。 まるで玉手箱みたいじゃない。 そうしたら、あっちでもこっちでも... 小さな女の子が地面にうつ伏せになって、涙を流していた。 そう、結局... 涙でできているのよ、星の光は。 私たちは結局... 誰かの涙を美しいと感じているだけ。 悲しみが美しいなんて、矛盾しているわね。

スターダスト vol.1

二人は、手を取り合って宇宙天文台につながる橋を渡ろうとしていた。 茜色の光が、しじまの空間を明るく照らている。 頭上に北斗七星が輝き、二人は、もはや死んでいるのか、生きているのか、まったく関心がない。 本当に、死ぬとはそういうことだ。 生を好んで死を恐れるのは、生きている間だけ。 実は、死んだら生も死もどうでもよいことなのかもしれない。 女の方を振り返って、ロレアンという男は言った。 いま、流れ星が綺麗だったね。 男を怪訝そうに見て、フランソワという女は言った

イマロジーある作家の過去生

ここに描くものがたりは、すでにこの世から旅立っている、ある女性作家の言葉を、インスピレーションで書き下ろしたものです。 もう少しわかりやすく言うと、インスピレーションが来て、イマジネーションが広がり、それをロジックにして語る「イマロジカルな言葉」そんな感じでしょうか。 imagination + logic = イマロジー イマロジカル その女性作家はとても有名な方だそうです。 でも僕は名前すら知らなかった。 だけど、もし知っていたら先入観があってつながることは難し