読書メモ『星の王子様』

子供というフィルターを通して世界を見る話だった。
星の王子さまは子供みたいな感性を持っていて、彼のもつ素朴な疑問を各登場人物が聞かれる事で読んでいるこちらも一緒に考えさせられる。

地球に来るまでに
権威やお金や名誉を求めている大人
お酒に呑まれている大人
仕事に追われている大人
が暗喩された存在にそれぞれの星で出会う。
このパートで出会う人の住む星の広さはどれも狭く、
みんなその人なりの星を持っている。(132p)と書かれてることから、お金名誉仕事とかに囚われている人はどれも狭い世界と価値観の中で生きている事を皮肉っているのかなと思う。

子供の時、仕事をしている大人を見て「なんでやっているんだろう」という素朴な疑問を感じた時と同じ感情になる。自分の知らない価値をひたすら追い求めているのが少し不気味で盲目的であるように見える状態。


星の王子さまが地球に来てからは縮尺や人口が現実に則したものになるので星の広さはここでは関係なくなる。地球に来てからは狭い世界で生きていた子供が世界は広い事を感じる学ぶパートだと思う。

星の王子さまが自分の星で大事にしてたバラが地球には何千何万とある事を知って価値が薄れそうになる感覚は
彼氏彼女が居るのに新しい人に目移りしちゃう感覚(バラは女性を暗喩してるから)とか、子供の時は熱中出来ていたおもちゃやゲームに大人になるにつれて価値を見出せなくなる感覚とかに近いと思った。
でもそれもキツネとの出会いを通して、時間をかけて愛着が湧いたものが“あなたにとって大切なものなんだよというメッセージで訂正される。

星の王子さまが自分の星に帰る時は完全に死の表現だった。体が動かなくなったあとは夜空の星にのどこかに居るというのは星の王子さまという名前の由来でもあるのかな?

まとめ

話が全体的に抽象的。が故に幻想的で教訓を得やすく、しかもその教訓が汎用的。
大きなメッセージとしては「主観の世界で生きよう」といった感じ。
誰もが子供の時はもっと狭くて単純な世界に生きてた感覚があるので、このメッセージは古き良き価値観のように感じられる。

ちょっと批判的な見方をすると、仕事とかお金とか権威とか大人の世界というか客観の世界というかがが逆説的に価値のないものみたいに描かれているように感じる。
主観の世界に生きようは正論だけど極論で、否定はできないし実用的であるときもあるけど本質的ではあまりない印象。
例えば人は死んだら星になる、それを思えば気持ちも楽になる、という考え方は慰めにはなるし人によっては救われる考え方だけど現実的ではない。主観に生きようは盲目に生きようにも聞こえちゃうなぁとか思ったり。
こう思っちゃうのは僕が狭い星の中で生きてるからなんでしょうか。


この本を読むきっかけが素敵だった。知り合いにこの本を読んで俊くんがどう考えるのかを知りたいと言われ、この本を貸してもらった。むっちゃ素敵じゃない?この状況が。
いろんな比喩だね、みたいな多分あり来たりな読み方しかできなかった気がするけど、僕はこう読みましたよ。

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