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15歳のカルチャーショック


サングラスをかけた13歳そこそこの男女が、校門の前でベロチューをしておりました。



校門から放水されたように溢れ出した学生たちは、一瞥もくれずに流れていきました。

2人を軽蔑しているわけではなく、それは彼らにとって日常の風景だったからです。

その一方、川石に引っかかった一本の枯れ枝の如く立ち止まった私はその光景に釘付けでした。

尋常ではない紫外線の強さによってコントラストのゲージが振り切り、2人の姿はレイヤーのいちばん手前にあるかのように浮き上がって見えました。

夢の中でさえ見たことのない現象でしたが、これが現実の世界で起きているとはにわかには信じ難く、異次元へと飛ばされたのかと思いました。


現前するロマンチックに、私はただただ呆然としていました。



学生たちはそんな水鳥の番いより寧ろ、自分たちの流れを阻害する私に対して冷ややかな視線を送ってきました。


私はそこで初めて、この空間における異物は自分であると悟りました。

気恥ずかじさでいっぱいになっていたところに、誰かが声をかけてきました。


"what's wrong Shun? we have Hokey Pokey today so let's go back home early !"
(おいシュン何してるんだい?ポーキーポーキーアイスが家にあるから早く帰ろうぜ!)


そうか、ニュージーランドでは目の前のキスよりもアイスクリームの方が大事なのか。

とホストブラザーは私に分からせてくれたのでした。

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