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Unity 1週間ゲームジャム お題「ふる」に参加した話

今回もUnity1週間ゲームジャム(以下u1w)に参加しました!
今回作ったゲームはこちら。

絵筆でものに命を吹き込み先に進んでいくパズルゲームです。今回イラストレーターのkumaoさんと共同制作しました!

unity1week Team Up!!が本格始動

まずは今回共同制作に至るきっかけとなったunity1week Team Up!!についてあらためてご紹介。

unity1week Team Up!!(以下TU)はMetaFormerさんが運営する、u1wをベースにしたアート・ゲーム制作者をつなげるコミュニティです。前回のu1wでは試験的に3チームが参加し、自分も鈍器さんと共同制作を行いました。
詳しくはこちらの記事を。

今回がTUの本格的な始動となり、u1w開始前のコミュニティ参加者は100名を超える大所帯になりました。結成したチームは約30にもなりそのほとんどが初対面のメンバーという、第1回としてはかなりの盛り上がりを見せるスタートだったと思います。

当初自分はソロで参加するつもりでTUには見学のスタンスでいたのですが、kumaoさんから「前回の作品がよかったので……」というお誘いをいただいたことから二つ返事で共同制作を決めました。コミュニティ内においてグラフィックやサウンド制作は一目で個性が伝わりやすくエンジニア側からお声がけしやすい印象なのですが、反対にエンジニア側へはなかなか判断基準に迷って声をかけにくい空気があったように思います。そんな中で自分の作品を触っていただいたうえでお声がけしてもらったことはとても嬉しく思いました。

開発準備

kumaoさんとチームを結成したのはu1w開催1か月前で、まだまだ時間に余裕がありました。そこで本番に向けて事前の打ち合わせを兼ね、kumaoさんから素材をいただいてそれをもとに数時間でゲームを作ってみるというチャレンジをしてみました。作ったのは以下2作品。

kumaoさんにも軽く素材作成をしてもらって本番でのおおよその作業量も見積もったり。必要な素材のフォーマットやどのように素材がゲーム内で使われるのかをアーティストにとらえてもらう機会として、実際にゲームを作ってみるのは大いにありだと思います。時間に余裕がある場合はお勧めする方法です。

制作

事前の準備運動も万端でいよいよお題発表。
今回のお題は「ふる」です。物理的な「振る」であったり「Full」であったり、比較的広めに考えられそうなお題でした。
自分からは2案出し、「色を塗ることで物の性質を変えて進む」というゲーム案が採用となりました。

「振る」をテーマにしたゲーム。巨大な女の子…?
「カラフル」をテーマにしたゲーム。ちょっと今の形と違う

この辺りのやり取りはTU内のチームごとのチャンネルで行っているのですが、今回かなりシステムの突っ込んだところまでオープンに公開する方針で進めました。個人的な考えとしてゲーム制作やコミュニケーションは他人が参考にできるようできるだけ知見を共有したいという思いがあったためです。他チームの制作方法なども非常に参考になり、期間中はコミュニティとしての強みが存分に表れたと思います。

また、約30チームの進捗が並行して見られるため、常に「自分の進捗が出ていない、ヤバい!」という方向でモチベーションをもらい続けることができました。1週間という短い期間でも気を抜くとすぐにだれてしまうんですよね……。今回は最初から最後まで全力で動けたように思います。

一方周りの進捗の速さに脅威を覚え、毎日エナドリ画像を個人チャンネルにアップし周囲を威嚇するという奇行に走ったりもしていました。

なんだこれ

制作期間中はフル稼働でしたが、特に今回はkumaoさんにグラフィックを丸投げできたためギミックやシステムに集中することができました。物の形×第1色×第2色の組み合わせで性質を変えるというシステム上作業量は爆発的に増えてしまい、驚異的な作業スピードとクオリティを生み出すkumaoさんなしでは今回のゲームは1週間で完成しなかったと思います。また、変化するオブジェクトの種類や動作など、kumaoさんにはグラフィックのみならずシステム的なアイデアも多くいただきました。

最終的には5時間の遅刻で提出……なのですが、改めて考えるとこの物量の作品を5時間の遅刻でおさめられたのはむしろ奇跡ではないでしょうか。毎度遅刻はしてしまっているのですが、できることはすべて詰め込んだ悔いのない作品に仕上がったと思います。

追加メンバー

ゲーム完成後、本編でまだ使っていないアイデアやギミックの活かし方があると思い追加ステージの作成を計画しました。そこで同じくTU内にいたPuzzler Kさんにお声がけすることに。Puzzler Kさんはu1wでもおなじみのパズル制作者で、商業ゲームのパズルデザインなども手掛ける実力者です。これまで直接やりとりをすることはあまりなかったのですがそのパズル制作力は以前から存じており、ぜひ共同制作をしてみたいと思っていました。
追加ステージの作成依頼をしたところ快く承諾いただき、欲しいステージのコンセプトや仕様などをお伝えした後数日でハイクオリティなステージが作られ、さすがと感心するとともにそのノウハウについてとても気になりました。ぜひパズル制作の技術についてお聞きしてみたい…そしてそれが気軽にできる!改めてTUのコミュニティとしての強力さを実感しました。

こだわりポイント

普段あんまりここをこだわったぞウオ~~~というアピールはしないのですが、自分の中でなかなか満足の行った出来だけにお気に入りのポイントを紹介させてください。

図鑑機能

今回のゲームでは無色の図形3種類×絵の具6色で計18種類ものオブジェクトが存在します。個人的にパズルゲームはあまり要素が多すぎず基本ルールをすべて把握したうえで思考に集中するというスタイルが好きなのですが、このゲームでは少し異なるアプローチをしてみることにしました。
最初はプレイヤーにシステムをすべて明かさず、できることを解き明かしていく過程を楽しんでもらうというデザイン意図があります。そうした時に都度オブジェクトの特性を覚えておくのはプレイヤーの負担になりかねず、また発見が目に見える形で積み重なるのはモチベーションになるだろうと思い図鑑機能を入れることにしました。
もちろん工数はかかったのですが、手間に対して得られる効果は大きかったように感じます。

ローカライズ

前回鈍器さんとチーム制作をしたときにも対応したのですが、アーティストの方に海外ファンが多く、その層にも遊んでもらうことはできないかと考えローカライズを入れています。
これもなかなか手間がかかる作業なのですがあって損をすることはなく、実際海外からkumaoさんのもとに遊んだよというメッセージも届いているとのことで少なからず遊びやすさにつながっているのではないでしょうか。

翻訳はDeepLやChatGPTに丸投げしていますが、やはり最近の翻訳精度には目を見張るものがあります。特にChatGPTではゲームでの使われ方として自然な言い回しや固有名詞の表記ゆれを統一してくれたりなど、都度の翻訳で難しい点を解消してくれ本当に助かりました。

ついAIにもお礼言っちゃう

実績機能

これはクリア後のおまけ要素なのですが、複数の解法があるステージではそれぞれの条件を満たすことで実績を獲得することができます。もともと入れる予定のない機能だったのですが、自分で遊んでいて意外に別解が多いなと思い、チャレンジとして用意することでさらに長く遊んでもらえるのではないかと考えました。
ところでパズルゲームにおける別解への扱いというのはなかなかやっかいで、パズルのジャンルによっては禁忌とされることもあります。作者の意図した体験以外を与えてしまうのは仮に別解が面白いものだったとしても、それはたまたまできてしまった面白さであり望ましくないという思想も。
今回のゲームについては別解を許容し、むしろ自分の想定していない解法でクリアしてくれたら嬉しいなという気持ちでデザインしました。特にステージ12は4~5つほどの解法があります。(とはいえ3ステップでクリアできる別解を見つけたときはやべ……と思いました。狙ったものですよ感を出すために実績に入れていますが、これはマジで想定外のやつです)

エンディング

ネタバレですがまあいいか…。

このゲームのエンディングではパレットから色を配置することで画面が浮かび上がり、エンド映像が出来上がるという演出があります。
それまでシステムUIとして使っていたものが演出に絡んでくるっていうのが好きなんですよね……。個人的なお気に入りポイント第1位です。
ただちょっと唐突でバグっぽくも見える

まとめ

自分の作品はわりと物量や細かい仕様の積み重ねで満足感を増やすような作りが多いと思っているのですが、今回は顕著にその方向性を強化できたと思います。作業のきれいな分担と各タスクへの集中という、チーム制作の強みが存分に表れた形ではないでしょうか。また、メンバーの強力さにも大いに助けられました。自分一人ではこの作品は作れなかったなと改めて思います。kumaoさん、Puzzler Kさんありがとうございました!
またunity1week Team Up!!という場を作り上げたMetaFormerさんにも深く感謝申し上げます。特に今回コミュニティを運営しながらゲームも制作されるというハードスケジュールで、なおかつ成功に導いている手腕には驚くばかりです。今後もコミュニティの発展を期待しています!

unity1week Team Up!!では次回のu1wに向けて引き続き参加者を募集中です。興味のある方は是非チェックしてみてください!
改めてPR記事を貼っておこう

遊んだゲーム紹介

今回も遊んだゲームの中からお気に入りを紹介します。TUの作品のみならず全体的な絵作りのレベルが高いように感じ、楽しみつつ勉強になることが多かったです。また尖ったアイデアも多く、さまざまな広がりを持たせられるよいお題だったなと思います。

Amebrella/ChocolaMintさん・ホロウサ🍣さん・なんかすいすいさん

メカ傘を使って巨大兵器と戦う2Dアクションゲーム。

キャラクターはかわいらしくも退廃的な世界観で、独特のデザインにマッチした戦闘システムが目を引きます。いきなりボス戦というクライマックス感も有無を言わさず世界に引き込まれてしまい最後までハイテンションで挑むことができました。

こちらはTU作品として進捗を常にチェックしていたのですが、お三方の成果物が出る速度がどれも異常でしかもそれぞれの持ち味が活きているのが印象的でした。全員がまさにクリエイターといった姿勢で、結果として生まれた作品は唯一無二の個性を持ったように思います。

ルビを振るゲーム/mikyokyujiさん

実際の風景写真を使用して、その中にある漢字にルビを振っていくゲーム。

斬新なゲーム体験もさることながら、上野~浅草間の個人的に見慣れた風景が画面に映るのがとても楽しく、本当に散歩しているかのような感覚になりました。単に演出として斬新なだけでなく遊ぶ人の感覚に訴えかける効果的な素材の使い方をなされていると感じます。

Let’s Splash!!/まっともぉんさん・boneさん

音楽に合わせ炭酸のボトルを開けていくリズムゲーム。

とにかくモーションやサウンドの扱いが気持ちよく、ストレスに感じるところが全くない丁寧なつくりです。驚異的な量のイラスト素材はクオリティも抜群で見ていて楽しいですし、画面内のモーションが常にリズムに合わせているのも細かいこだわり。各種音選びもぬかりなく、ゲーム全体から気持ちよさを体感させようとする強い意志を感じました。

ソード・フルスウィング/ArrayCatsさん・taroさん・リル姉の趣味垢さん

リズムに合わせて狼男(?)の攻撃をさばいていく音楽ゲーム。

ゲーム内の説明文は最小限で、使うキーも2つだけのミニマルなデザイン。ドット絵風のポストエフェクトにチップチューンと、一見レトロ志向なのかな?と思いきや、ゲームの進行に合わせてサウンドやグラフィックが目まぐるしく変化します。ある意味インタラクティブミュージックを拡張したような演出手法で、気持ちよい操作感と合わせて非常に独特の体験を得られました。今回TUでもよく使われたインタラクティブミュージックですが、その見せ方も勉強になることが多くまだまだチャレンジのしがいがあると思わされました。
ところでフルーツポンチって評価基準はなに……?

鉄球聖女/Kannoゲーム開発本部さん

モーニングスターを振り回し遠心力で攻撃力を高めて戦う、物理演算を利用したアクションゲーム。

モーニングスターの操作に慣れが必要で最初はなかなか思うように振り回すことができないのですが、それでもわかりやすいチュートリアルや見た目ににぎやかな演出のおかげで「なんか楽しい」感が十分に味わえます。性能の強化ができるようになってくるとさらに楽しくなり、そのころにはモーニングスターさばきも上達して大ダメージを与えるテクニックや位置取りなどを考えられるように。こうした上達までの導線がとても見事に組み立てられていると感じ、ゲーム自体もさることながらプレイヤーを楽しませるための気配りに感激させられました。

最後に

前回に引き続き初対面の方とのチーム制作となりましたが、終始楽しくコミュニケーションでき、また完成した作品は一人では到達できないクオリティのものになりました。学びも多く、もしチーム制作に興味のある人は(unity1week Team Up!!に限らず)積極的にチャレンジしてみるとよいのではないかと思います。今後もいろいろな形でu1wという場が発展していくといいですね。


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