エガイタセカイ

ほどけた靴ひもを
慣れた手つきで結びなおす
そういえば靴ひもを
結べたのはいつだっけな

見上げた空は
あまりにも遠すぎて
生き続けること
瞳を閉じたまま
見つめる

あの頃描いた
夢の地図は
時とともに
色褪せても
こころのなかに
眠っている
あなたはずっと
知っている
何度も思い出して
進もう
エガイタセカイへ

はじめて結べたときの
小さな両の手と大きな笑顔
失くしてゆけないもの
たくさん失くした

繰り返される
穏やかな波のように
生き続けること
耳を澄まして
聴きとる

夢中で走った
その足音は
時とともに
薄れかけても
子供のような
ありのままの
あなたはずっと
憶えている
何度も思い出して
進もう
エガイタセカイへ

押し殺して逃げ出した
声にならない声
それでも今もなお輝かしい
忘れかけた標のように
生き続けること
体の奥深く
感じる

あの頃描いた
夢の地図と
走った路は
今もここに
間違えたなら
やり直せばいい
そうやって今も
これからも
何度も思い出して
進もう
エガイタセカイへ

エガイタセカイ/瞬

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