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今更PUNK SPRING2023を振り返ろうと思う。

はじめに

こんばんは。

2023年3月末から4月初頭にかけて、全国では様々な音楽イベントが開催されました。
海外の大物バンドも続々と来日しており、それだけでも勿論嬉しいのですが、何よりマスク無し(単独公演ではマスク着用としているところが多そう)でのシンガロング、身体接触の解禁は何よりの朗報でした。

再び妙齢の黒シャツ軍団の間で揉みくちゃになって声を枯らし、買ったばかりのバンTが誰のかも分からない汗の匂いにまみれ、幸福な疲労感に浸る経験ができると思うと…

まあコロナ前は高校生だったしこういう体験はBiSHかBFMVのときくらいなんですけどね

そんなわけで胸を高鳴らせながら春フェス行ってきました。春フェスっていうとすごくクリーンというかフレッシュなイメージがありますが、パンクかメタルなんで全部臭いよ。覚え書きの延長くらいのノリでいい人は読んでください。ライブの画像は基本公式サイトのフォトギャラリーからとってます。


そもそもパンスプとは

2006年から2017年まで日本で開催されてたパンク中心のロックフェスです。正直本開催してたころは存在すら知りませんでしたが、過去のアクトには王道のNOFXやFall Out Boy、個人的に大好きなRise AgainstやLagwagonなんかも来ていて、一覧見るだけでテンション上がりますね。当時学生だったら間違いなく毎年行ってた。

今回はコロナ禍を挟んでのリバイバルであり、昨年のサマソニで開催決定の報が出たときは嬉しかったですね。さらに冬頃にはMy Chemical Romanceが来日するという噂が流れてましたが、同時期にJimmy Eat Worldを伴ってのオーストラリア公演が発表されたことで、噂が確信に変わりました。

後で詳しく書きますけど、マイケミといえば、2019年春に予定されていたDOWNLOADフェスでのリユニオン出演がコロナで流れ、再来日が切望されていたバンドです。そして僕にとって人生のフェイバリット・バンドでもあります。彼らの出演が決まった以上、チケットの値段とか他のアクトとかがどうあれ、何が何でも絶対に行くしかなかったわけです。

で初動はマイケミ、SUM41、BAD RELIGION、Simple Plan、THE INTERRUPTERSと中々豪華な海外勢が発表されて期待されていたパンスプなんですが、追加アクトはことごとく日本のバンドで、フライヤーのcoming soon…の文字はこっそり削除され、しかも直前にSUM41の出演がキャンセルとなり、界隈はまあまあ荒れておりました。

僕もSUM41が大好きだし、せっかくなら多くの海外バンドを見たいので内心穏やかではありませんでしたが、ただマイケミが来るなら文句は言えまい。青春の音楽の前では人は無力なんだ。黙って会場へ向かえ。音を聴け音を。


幕張遠いよ

会場は3フェス共通で幕張メッセ9~11ホールです。で、実家は関東とはいえ電車で3時間弱かかる僻地にあるので、6時に家を出てえっちらおっちら向かったわけなんですけど、欲しかったマイケミの白ロンTはSとMしかなくなってました。

わりと絶望した。やっぱり自分が気に入るものは周りも同じらしい。なんかめっちゃ雨降ってたし余計にどんよりした。
仕方ないのでMを買いましたが海外サイズだったので問題なく着られました。やったね!

マイケミを正面で見るために奮発してゴールドチケット買ってたので、クロークを無料で使えました。金払ったから実質無料理論ですね。でも折り畳み傘をリュックにぶちこんだまま預けてしまい、入場待機列にamazarashiで立つことになりました。間抜けすぎる。

物販並びにも(ゴールド特典で大幅に短縮できたとはいえ)時間がかかったので、結局入場したときにはOAの演奏が始まってました。しかも全身びしょびしょだし。ロンTに着替えられたのが救いだったけど、割と朝から萎えてた。

タイテ順に感想書くよ

OAのヒカルは全く見られず、CVLTEもチラ見したくらいだったのでスルーで。

TOTALFAT

ロックフェスではよく見る名前だけど曲は聞いたことなかった。パンスプの日本勢といえばTOTALFATというほどの常連らしく、ある意味「パンスプおかえり!」を一番デカい声で言える最強トッパーみたいな立ち位置でした。

初めて聴いた感想としては、まずGt&Vo.Joseさんの歌唱力が高すぎる。もともとの声も高いけど、かなりのハイトーンを軽快に歌っててビビる。生歌なのに声優のキャラソン並みに声通るし、パンクでは中々見かけないタイプであるだけに、一気に引き込まれました。

楽曲自体の話をすると、まずライブの時点ではまあまあ好きかなというレベルでした。個人的にアッパーなお祭りパンクよりは多少哀愁のあるほうが好きだし、ジャンル的にもメタリックとポップの中間という感じでどっちつかずという印象を持ちました。パフォーマンスは文句なしだったので普通にめっちゃ好印象ではあったんですが。

ただ改めて音源を聴いてみて震えました。ギターサウンドは日本の一般的なパンクバンドに比して非常に重厚で、リフもソロも超テクニカルで、何よりボーカルが会場で聴いたあのまんま過ぎる。そして音源としては初めて聴く曲にもかかわらず、ひと月近く前のライブの光景がありありとよみがえってきて「おーこれやってたな!」と感じる時点で、楽曲の完成度の高さを思い知らされました。

どうやら今でこそスリーピースだけど、かつてはペトルーシフォロワーのギタリストが在籍していたらしい。パンクを逸脱したフレーズがぶち込まれていたのにも納得です。なんだかんだで新しめの曲も非常に気に入ってしまいました。X-streamとかガチでカッコいいよ。このレベルを現体制で再現するのは非常に難しいと思うけど、それでもあのライブは素晴らしかった。

MCでは「辛い三年間を乗り越えた俺らにしか見えない、最高の景色がある!」とパンスプ復活を祝していて、胸が熱くなりました。時間はまだ正午でしたが、早くもフェスに火を灯してくれた感じがしましたね。

予習したうえでまたライブを見たいと強く感じました。こういう出会いがあってこそフェスって感じがするね。

ASH DA HERO

アニメ版ブルーロックとタイアップしたバンドってことしか知りませんでした。作品の内容全く知らないし、肝心のタイアップ曲も聴いてない。事前情報がなさ過ぎて非常にフラットな気持ちで見ました。

ピンボーカル含む4人編成+DJというのが特徴で、バンド名からしてもDragon Ashから影響受けてるんだろうなと思いましたが、DJがいる必然性はあまり感じなかったし(というかむしろスクラッチ音が出しゃばるせいで音数増えて何してるのかわからん部分があった)、正直曲は全然印象に残らなかった。

件のタイアップ曲Judgementも別に嫌いとかじゃないんですけど、いかにもアニメ映像と合わせることを意識した派手なサウンドメイキング、邦ロックテンプレ曲展開だと感じただけだった。まさに今ライブセトリをサブスクで聴きながら書いているんですが、半分以上はこんなの現地で聴いたっけ?という感じ。

でも音源で改めて聴くと会場で思ったほど悪くはない。聴けば聴くほどオーラルの強い影響を感じる。ただヤマタクのボーカルやパンチのあるリフから成るオーラルほどの艶めかしさはなく、DJの存在も相まって煩さ、アクの強さの方が勝ってしまっている気がします。

まあ好みの範疇な気がするので、僕も中学とかで聴いてたらハマってたかもしれませんね。耳が肥えプライドの高いおじさんリスナーは最初からターゲットじゃない気がします。
だってライブの〆曲「世界をぶん殴れ」だぜ。コムドットの自伝かな






もしくはTHE LAST ROCKSTARSが書きそう


こんなことを言ってはいけませんね。

いや正直曲はさておいて、僕が忘れ難いのはVo.ASHパイセンのMCなんですよね。

全員座って!俺全員一つになってくれないとヤなんだよね!って言うから前方エリアの僕は嫌々座ったんですが、「俺らをパンクじゃないっていうやつがいるけど、パンクの本質は精神性だからさ、勿論お前らは分かってるよな?」みたいな2万回聞いたことある議論を滔々とされてクソ萎えた。

わざわざMCでそれ語っちゃう精神性はパンクなんですか?という言葉をぐっとこらえて体育座りしていたが、そのあとに「名前だけでも覚えて帰ってください…なんてつもりはなくて、俺らの曲も気に入って、ガッツリファンになって帰ってくれよな!w」って言われたので、危うく曲が始まる前に速攻立ち上がって逃げ出すところだった。
流石世界をぶん殴る男のパワーは違うわ。

MCは節度を守れという学びを与えてくれたASH DA HEROとの出会いに感謝。

HEY SMITH

見るのは昨年秋の仙台公演(ベガスとの対バン)以来二度目になります。前回は殆ど知識がない状態でもめっちゃ楽しめたので、今回はなおさら楽しめるだろうと思っていたのですが…


…ちゃんと前回以上に楽しかったですね。ヘイスミやっぱつえーわ。
音だしからサックスの満氏がシンセで呼び込み君(ポポーポポポポ♪って奴ね)を弾いて観客を温めつつ、初っ端Dandadanのイントロでもうドカ沸きですわ。

流石にフェス仕様セトリだったので、にわかの僕でも分かる有名曲ラッシュでかなり踊れました。それにしてもブラス隊の煽りやヘドバンは痛快というか、ヴィジュアル的にすごく映えるので、スリップノットばりに目のやりどころに困る(いい意味で)バンドです。僕はトロンボーンとトランペット側3列目で見ていたんですが、そりゃもう、かなすさんのファンサ貰いましたよ。多分ね。

ヘイスミのアイコンといえばGt&Vo.猪狩秀平ですね。前より近くでかの有名なエクスプローラーとかディーゼルアンプを拝めて、中々感動しました。
それにしてもマジでイガリの音がこの日を通して一番歪んでたと思う。ザクザク過ぎてまさしくジェイムス・ヘッドフィールドかと思った。スピーカー正面だったので、気持ちのいい音ではあるんだけど結構ハイがキツかった(とはいえ以降のバンドも同じ感じだったのでPAの塩梅って感じはした)。

前回のライブに続いてInside Of Meを通常版とトリップ版で二回やってましたね。小休憩の意味もあるのかもしれませんが、こういう構成は作り手のスタンスを感じて好きです。ラストはCaliforniaでシンガロングかな~と思ってたら、爆速Come back my dogでブチ上げて帰っていったのも良かった。

自分の中では、フェスにいたら嬉しいバンドから、フェスに行く理由の一つというバンドになりつつあります。

余談、公式サイトに各メンバーの滅茶苦茶長いQ&Aがあるんですが、結構おもろいのでお勧めです。個人的に満氏のこれとかしょうもなすぎてニヤニヤしちゃった。

The BONEZ


これも名前だけ知ってて曲は全く知らなかったパターンです。ただラウド系のフェスでよく名前を見る、伸びてるバンドという印象はあったので、注目はしていました。

1曲目はWe are The BONEZ、バンド名を冠した定番の自己紹介ソングでしたが、インダストリアル要素が強く個人的には日本のFEVER 333って印象を受けました。ってことは全体的にインダストリアルに傾倒してるんだな!と思って前方で見ていたんですが、途中からマジで後ろ下がろうかと思いました。

というのは、別に曲が悪いわけじゃなくて、単に音がデカすぎて頭割れそうだったから。イガリのギターとかの比じゃない。バスドラで体が浮き上がるしギターとベースはもう何してるかわからんレベル。
原曲知らないせいで、ボーカル入ってないから今はギターソロを弾いてるんだろうな!みたいなクソ雑な聴き方を強いられた。ふと隣を見ると外国人の兄ちゃんは耳に指を詰めて、視覚から情報を得ようとステージをガン見していた。よかった…俺だけじゃなかったんだ…

すっかり音がデカすぎるバンドという印象で上塗りされてしまったわけですが、後から音源聴いてみて愕然としました。全然インダストリアルじゃねえ。勿論要素が全くないわけじゃなくて、曲によっては同期の存在感も大きいんだけど、ただ実際は思いのほか爽やかなメロディックハードコアが多いんですよね。

どうやら音がデカすぎて、普通のギターリフを轟音インダストリアルと勘違いしていたらしい。もう何も信じられない。調べたらメンバーの半数が元PTPらしく、百戦錬磨のはずなのだが、どうしてこうなってしまったのか…やっぱり会場側の問題なのかな。

それとまたMCの話をしちゃって申し訳ないんですけど、Vo.JESSE氏が「この間までマスクしろマスクしろって口うるさく言ってたクセに、今度は突然マスク外せとか言いやがって、コロコロ言い分変えんなクソ喰らえ日本政府ゥ!!!」的なことを言ってまして(正直マイクの音もデカすぎて正確には覚えてない)、またもや萎えちゃった。



いや方針を時流に合わせて転換するのは悪いことじゃなくない?別に強制的に外せって言ってるわけでもないんだし。まあ音楽業界の人としては思うところが有るのは理解できますけど…僕はTOTALFATの方が前向きなメッセージでいいと思いました、ハイ。

本当に余談だけど大麻とコカインで逮捕歴あってなんかそういうところだよなっておもいました

何でもありません。パンクロック万歳!!!!!!



04 Limited Sazabys

これまでは一人で見てたんですが、フォーリミからは他の人と合流しました。邦ロックフェスでは確固たる立場を築いている大人気バンドですが、僕は高校軽音で先輩がやってたswimしか知りませんでした。しかもswimやらなかったので本当に初見さんでした。不勉強ですみません。

前方エリアではなく、少し後ろにあるデッキから見たので、これまでとは少し聴こえ方も変わってくるかなと思ったんですが…相変わらずハイが耳に刺さる刺さる…。
Vo.GENさんは稀代の高音ボーカリストなんですが、一層ハイトーンに聞こえてマジでびっくりした。むしろスピーカー前よりも会場の反響が聞こえやすくて、後ろの方がハイきつくなってる気すらした。頼むから高音絞ってくれPAと思いながら聴いてました。

まあ直前のThe BONEZで耳破壊された可能性も高いので何とも言えない。

ただ演奏とステージングは、何よりこの場を楽しんでいるのが伝わってきて素晴らしかったです。流石人気があるだけはあるなー!と感動してしまった。セトリもファン目線で感動的な選曲だったようです。音源も聴いてみましたが爽やかで前のめりで、15歳くらいに戻った気がしますね。CAVU名盤だと思います。fictionがすき。


で!懲りずにMCに言及しますが、GENさんは「この数年、暗い気持ちから救ってくれたパンクロックを、今度は自分たちが救うつもりで来た」と言ってて、これはまさにパンスプ復活のときに思ったこと。軽音部員としてはそのリスペクトをコピバン組むことで表現したいし、同じくパンクに救われてきたリスナーとしてはカルチャー復興の象徴たるこのフェスにちゃんと金を落とすことで微力でも貢献したかった。
「救う」って表現は偉そうに聞こえるけど、新たに作り上げようとか塗り替えようって言ってるわけではなくて。ただこの文化を次につなげていくという、ごく当たり前(と思っていた)の行為すら危ぶまれた時代を経て、またここからつなげていくことは「救う」以外の何物でもないと思います。何もしなければ多分このまま死んでいくから。

と、勝手に解釈しています。パンクロック万歳!!!!!!(再掲)


あと「流石パンクフェスですよね、今日外音デカすぎませんか?笑」とも言ってました。演者側からもやんわり指摘入るの面白すぎる。


THE INTERRUPTERS

ここからはいよいよ海外勢の出番です。インタラプターズはサマソニ2019にも出演経験があって、当時は見たいバンド(BMTHなんですけどね)が被ってしまったために泣く泣く諦めた過去があります。

ただし楽曲は本当に大好きで、軽妙で雑味ないバンドサウンドに、非常にソウルフルなVo.Aimee女史の歌声が絶妙なバランス感覚でマッチした、素晴らしいスカ・パンクです。このジャンルに詳しいわけではないですが、それでもインタラプターズ以上に洗練されたバンドはそうそうないだろう、と勝手に思っています。

というわけでそこそこの位置を確保して楽しみにしていたんですが、初手の感想は曲とかじゃなくて「音小さくね?」でした。

その時は本当に耳がおかしくなってしまったか、GENさんに指摘されたから音を下げたのかわからなくてやや困惑しましたが。今思うと、国内勢はPAを運営側が一手にやってるけど、海外勢は各バンドに専属PAが帯同してるから適切な調整ができているとか、そういった背景があるのかもしれません。完全に妄想ですが…


とにかく最初こそ落差に困惑しましたが、先ほどまでとは打って変わって各楽器の音が非常にクリアに聞こえ、大変心地よい演奏でした。みんなで好きに体を揺らそう、楽しくなってきたら踊りながら回ろうぜ、みたいな和気あいあいとした空気が生まれ、この瞬間間違いなく日本一ハッピーな空間だった。

僕はわりとライブで「正しいノリ方」を意識してしまう節があり、だからこそサカナクション山口一郎がよくMCで言う「無理して動かなきゃいけないなんてことは無い、ただ自然と体を動かしたくなったら、音楽に身を任せて踊ればいい」という言葉でよく自戒しています。
インタラプターズのライブはまさにこれでした。質の高い音楽に触れて自然と体が動き出す感覚、そして生まれるクソデカ隣人愛と一体感を最大限に感じることができました。いいバンドだ…


唯一のライブアルバムが東京公演なのを見るに、中々の親日家でもあるようです。またフェス出演以外にも国内三カ所で行った単独公演はどこもSOLD OUTで、大変盛り上がったとのこと。他のフェスと被ってさえいなければ横浜公演行きたかった…

癖がないので万人にお勧めしたいバンドですが、特に3rdのFight The Good Fightは良メロぞろいでかなりの名盤です。さらっと聞けてしまうので是非。


Simple Plan

俺たちの青春。世界的なポップパンク人気を牽引した存在であり、バンクーバー五輪で演奏するくらいにはカナダを代表するバンドです。同時に超親日バンドとしても有名。僕は完全に後追いで聴いていますが、来場者のメイン層であろう20代後半~30代にはリアルタイムでぶっ刺さっていると思われ、会場の熱気もひとしお。

インタラプターズを見てから急いで移動し、そこそこ前方で見始めましたが、一曲目のI'd Do Anything…1stアルバムの1曲目、すべての始まりのイントロが流れた瞬間、いきなり強烈な圧縮がかかり、熱狂の渦に飲まれました。
周りを見ればいろんな人種の人がいて、ただその誰もが10代のパンク・キッズに戻って、心底楽しそうにサビを合唱してました。僕も押されて体が浮き上がりそうになる中、必死で足をつけて負けじと歌いました。とにかく楽しかったな。ただ合唱曲が続いたせいで、序盤は圧縮ヤバくてほぼ記憶飛んだけどね。

その後も名作バラードWelcome to My Life、ワンオクTakaが日本語詞でfeatしたことで知名度のあるSummer Paradise(一瞬Taka参戦を期待したけどそんなことは無かった)、ちょっと前に海外のTikTokでBGMとして使われまくってたI'm Just a Kid等々、会場の盛り上がりは全く途切れることがなかった。
またSmash MouthのAll Star、Avril LavigneのSk8er Boi、そしてThe KillersのMr.Brightsideと、パンスプに来る人ならまず聞いたことがあるであろう超有名曲のカバーメドレーは盛り上がらないはずもなく…斜め前にいた白人の姉ちゃんは全部歌ってた。


そして〆は1stアルバムの最終曲にして感涙必至のバラードPerfectで大合唱。今まさに聴きながら書いてるけどまた泣きそう。1stで前後を挟む構成も非常にエモーショナルで、全14曲、最高のステージでした。


僕がSimple Planに初めて触れたのは、All Time Low、Fall Out Boy、マイケミなんかと並んで、まさにポップパンク/エモと出会う人生の転換期でした。特にパーティーソングから距離を置いた3rdアルバムSimple Plan 3のダークな雰囲気は大好きだった。この時期に聴いた音楽は一生ものとよく言いますが、ライブを通じてマジで実感しましたね。この辺の曲を聴いたときの感動や興奮は、いつまでも新鮮なまま自分の中にある感じがしています。
反面、今新たにこうしたジャンルのバンドに触れたとしても、あの時ほどの衝撃は得られないんだろうな、という悲しさもあります。絶対好きなんだけど、どうしても最近は情報を聴いてしまう部分が強くなって、心の底から曲に乗っかることが少ない。洋楽をディグり始めたあの頃の気持ちを忘れずにいたいものです。

とにかくあの瞬間は疑いなくI'm Just a Kidだった。ありがとうSimple Plan。


BAD RELIGION

言わずと知れたパンクの重鎮。ジャンルを問わず、洋楽ロックを掘った経験がある人なら一度は名前を聞いた覚えがあるでしょう。あのMAN WITH A MISSIONも彼らの楽曲に由来したバンド名です。いわゆるメロコアの始祖とも言われてる(が、日本で言うメロコアはちょっとガラパゴス的なのでニュアンスは異なるかも)。多作家として知られ、この辺のパンクバンドを聴いてると、基本的なリフアイデアは彼らによって網羅されてるんじゃないかという気になる。パンク界の星新一的な。

正直に言うとベスト盤を聴いた経験しかなく、偉大なバンドなんだなあという浅いイメージが先行していたので、果たして楽しめるか不安でしたが…

まずこれまでのバンドとは佇まいからして一線を画していました。もう年齢に裏打ちされた落ち着きが違う。日曜日のお父さんみたいな恰好で、文化祭でおじさん教師が結成した企画バンドにしか見えない(Vo.Gregはガチでカリフォルニア大講師だし)。
派手なパフォーマンスはほとんどなく、しかしスピーディな楽曲を休む間もなく朗々と歌い上げ、リフを刻み、ギターソロを繰り出す姿はあまりにもパワフル。

曲が終わって暗転するたびにバックスクリーンに映るシンプルイズベストなバンドロゴがめっちゃカッコよかった。

まさに職人技を見たという感じ。僕でも知ってるくらいの有名曲Los Angeles Is BurningやPunk Rock Songではシンガロングも起きて、滅茶苦茶痛快なステージだった。ヘトヘトになるような盛り上がり方ではないけど、誰もが思わず尊敬の念を込めた「かっけぇ…」というため息を漏らしてしまったに違いない。

ギター振り回すだけがパンクじゃない。気品と風格あるパンク、その神髄を見ました。


My Chemical Romance

本来であれば間にSUM41が入るはずでしたが、BAD RELIGION撤収後同じステージで設営開始。頑張って中腹くらいまで前進しましたが、何なら始まる前から身じろぎもできないくらい人が詰まってました。

やはり大トリ前にしか感じられない熱気みたいなのありますよね。全員が鼻息荒くして開始を待ちわびるあの感じ。これまではいろんなバンドが出るフェスでしかなかったのに、突然すべての衆目が一点に集まるワンマンの空気が充満します。

勿論僕の緊張も過去最高に高まってました。部内では散々言いふらしてますが、やはりマイケミは自分にとって別格の存在なんですよね。

初めて聴いた曲はDead!だったと記憶しています。こんなにカッコいい曲があっていいのかと。エネルギッシュなVo.Gerardの歌声に、パンクとしては結構テクニカルなギター、そして高揚感と切なさが同居した世界観。まあ当時はそこまで深く考えてませんでしたが、その後Na Na NaやWelcome to the Black Paradeを単発で聴いたのち、アルバム通しでひたすら聴き続けた時期がありました。コンセプト・アルバムの魅力、バンドの音楽性の変遷を追うことの面白さを教えてくれたのもマイケミです。あそこで人生狂ったのは間違いないですね。

YouTubeでライブ映像も見たし、サブスクにない曲とかデモ音源も検索して聴いた。画像フォルダはアー写でいっぱいになった。バラバラでリリースされた楽曲群Weaponsを聴いて、アルバムになった姿を妄想しながら自分でプレイリストを作って推敲した。初めて洋楽の歌詞を覚えた。中学校生徒会の職権濫用して校内放送でブラパレ流した。家族との車中でも流した。ゲームキャラの名前は決まってジェラルドにした。誕生日にはアルバムを買ってもらった。SNSのアイコンも壁紙もマイケミにした。周りに知っている人は誰一人いなくて、皆西野カナとかワンオクとか聴いていた気がするが、そんなことは気にせず他の海外バンドも漁るようになった。


ただ悲しいことに、知った時には既にバンドは解散していた。ライブを見に行くという発想が薄かったからそんなに悲しくもなかったが、新譜が出ないという寂しさはあった。仕方ないからGerard Way名義のソロプロジェクトも聴いた。

そんなわけで、初めて聴いたから4年くらい経った19年に再結成が発表されたときは実感が沸かなかった。一緒に喜んでくれる人もいなかったし。ただ来日のチケットは買った。友達を誘ったけど断られたので一人で幕張行くつもりだった。


あのDOWNLOADは他のアクトも豪華で、オフスプやJEWは勿論通っていたし、In FlamesやAT THE GATESの予習もちゃんとして、本当に楽しみにしていた。あと一か月早ければ無事に開催されただろうに、ギリギリのところで中止が決まってしまったあの時の悲しみは筆舌に尽くしがたかった、というか高校の教室でTwitter見て普通に泣いた。

もしこの公演を見ていたら今頃もっとメロデスに詳しくなってたかもしれないし、入部時点で船漕ぎモッシュしてたかもしれないし、何はともあれ強い影響を受けただろうと思う。


あのころに比べれば、他の多くのバンドも知ったことにより、マイケミ単体に注ぐ熱量は減りました。しかし自分の何物にも代えがたい一部分であることには変わりありません。大学に入って、初めて他人とマイケミの話ができたときの嬉しさといったら…

3月のストレン冬定では念願の企画も実現できました。満足するようには弾けなかったけど、あの場で一番楽しんでいた自信はあります。


自分語りが過ぎました。とにかく一時は文字通りのfanaticであったことが伝われば十分です。


さて話を戻すと、バックスクリーンには核戦争後みたいな荒廃したビル群が映し出されている。メンバーが登場すると割れんばかりの拍手。肝心のGerardはといえば、なんと顔面流血、全白眼コンタクトに上下黒いレディースのスーツ&スカートというエキセントリックな出で立ち。

その意図は分かりませんが、アメコミ作家でもあるGerardの、今の時代に対する何らかの思想を反映したものでしょう。

どんな姿であれ、あのGerardやGt.Rayが目の前にいるという衝撃で、マジで思考停止しました。

1曲目は再結成後の2022年に発表された最新曲のThe Foundations of Decay。背景映像は退廃的な本作のコンセプトに沿ったものと思われます。

Gerardの手元には(詳しくは分かりませんが)ボーカルのキーや声質を加工したり、ノイズを発生させたりできるカオスパッドみたいな機材があって、それを要所や曲間で駆使しながらの歌唱でした。正直全盛期のキーを出すのはかなり苦しそうで、場合によっては原曲を知らない人にはメロディラインがわからないくらい崩して歌ったり、シャウトに変更したり、観客に歌わせたりで乗り切ってましたね。加えて100分のフルセットだし無理もありません。

アウトロのノイズがI'm Not OK(I Promise)のギターで切り裂かれると、Simple Planを上回る大歓声と圧縮が発生して、それはもう凄かった。人の渦に巻き込まれてあれよあれよという間に前方5列目まで入り込みましたが、肋骨折れるかと思いました。これも割と記憶飛んでる…

もうあらゆる曲でシンガロングが起こってましたが、Welcome to the Black Paradeのイントロを超えるシンガロングを聴く機会は、今後ないかもしれません。多分半分以上の人が歌えてたんじゃないかな。会場全体が一つになり、これこそ世代や人種を超えて愛されるロック・アンセムなんだなと実感しました。Gerardの声もちゃんと聴こえました。人生最高の瞬間の一つです。

正確なタイミングは覚えてませんが、中盤では背景のビル群が激しく燃え盛るようになり、一層破滅的な演出がされてた気がします。しかし終盤、解散時に発表されたバラード曲The World is Uglyが流れるころ、背景の街並みは満天の星空に照らされていて、"That the world is ugly, but you're beautiful to me"というリリックと合わさって涙を禁じえませんでした。

マイケミは一見死や絶望や離別といったネガティブなテーマを扱うバンドに見えます。それは間違ってはいないし、こうした分かりやすく攻撃的な側面が「ティーンを厭世的な思想に誘導するカルトバンド」とメディアに取り沙汰されたこともありました。しかし冷静に聴いてみれば、死んでも尚後の世代に繋がっていく記憶、絶望に抗う生命力、別れを乗り越えて前を向くこと、こうしたテーマこそ本質だということに気づくはずです。
The World is Uglyもまた、「それでも生きていく」ことの美しさを表現しているということを、改めて強く感じました。

本編最後は、死に対する恐怖からの再起を描いた3rdアルバム、The Black Paradeのストーリーに終止符を打つ名曲Famous Last Wordsでした。

"I am not afraid to keep on living, I am not afraid to walk this world, alone" 昔から大好きなサビの一節を合唱し、今までで一番大きなパワーを受け取りました。エモいってのはこういう瞬間を指すんだ分かるか?

アンコール後は1stシングルVanpires Will Never Hurt You、そしてアルバム曲のThe Kids From Yesterdayと中々玄人好みの選曲でした。隠れた名曲にきちんと大役を与えてくれたことに感謝です。

最後にはステージ上にメンバーの子どもが現れ(正確には途中からステージサイドで父親のプレイを真似たりしてた)、親子で仲良く退場していきました。俺たちが死んでも轍は残る、記憶は後の世代に引き継がれまた続いていく…というバンドのメッセージを反映した粋な演出に、再び目頭が熱くなりました。



おわりに

こんなに書くつもりはなかったんですが、つい熱くなってしまいますね。後半に至っては徹夜マインドでクソ真面目な文章になってしまった。
とにかく行ってよかったです。長く追ってきたバンドを生で見たことによって、自分の音楽遍歴に、一つ大きな区切りができた気がします。それに文章にしたことで思考と記憶が整理できました。
SUM41のリベンジを楽しみに待ちましょう。






パンクロック万歳!!!!!!


では。

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