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創作の時間

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他の小説シリーズに収まらない創作です。一部、関連エッセイを含みます。
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記事一覧

夫業のコツ

1.愚痴は最後まで辛抱強く聴く 「それでね、……だからね、……そうしたらね、……なのよ、…

谷 俊彦
12日前
56

誰もがハチ公(短編小説;2,500文字)

「キミ、今日から?」 「はい、先週採用されたばかりで……」 「そうかあ……なるほど、……向…

谷 俊彦
2週間前
36

『夢を実現』するのではなく(短編小説;5000文字)

「……御社を志望したのは、ネットに出ていた人材募集のコピーに感銘を受けたからです」  採…

谷 俊彦
3週間前
58

硬い? いや、柔らかい? え、また硬くなった?

自分の書きモノにクセがあるのはわかっています。 たまに同居人に創作を読んでもらうと(めん…

谷 俊彦
1か月前
58

鬼は内に…(短編小説;1,900文字)

「そろそろ帰った方がいいんじゃないか? ── 今日は節分だろ?」  職場の懇親会が終わり、…

谷 俊彦
3か月前
46

『原作者』のひとり言

改めて経緯をたどることはしませんが、『原作者』と『原作改変』をめぐって悲しいできごとがあ…

谷 俊彦
3か月前
133

今年のnote創作をふり返る

1年を振り返るのは、── 特に自分が為したことを振り返るのは ── あまり好きではありません。 「うーん……」 年初に思ったほどのことはできなかった、という悔恨に両肩をつかまれ、激しく揺さぶられるためです。 この『悔恨モンスター』というヤツ、振り返らずとも現れるくらいなので、わざわざ藪をつつく必要もないではないか。 ただ、もうひとつのnoteアカウントからこちら名義を『創作系』として独立させ、初投稿したのが2022年12月31日、ということで、まる1年になります。 こちら

最後のページで読者を唸らせる傑作絵本『おさる日記』;和田誠はすごかった!

「これはすごい!」 と思う小説やTVドラマといえば、全体の流れの中で『ひねり』があるのは当…

谷 俊彦
4か月前
65

進化Ⅱ(短編小説;2,700文字)

 ギーギーッ。  二段ベッドの梯子だろう、木がきしむ音が聞こえた。それに続いて、緩慢だが…

谷 俊彦
5か月前
71

甲羅が邪魔で(短編小説;4,600文字)

「睡眠障害ですか?」  部屋のソファにかけるなり、彼女は、手にしたファイルから顔を上げ、…

谷 俊彦
7か月前
55

進化(短編小説;2700文字)

 仕事を終えて帰宅すると、ソファの上に海獺がいた。  濃密な茶系統の体毛に包まれたそれは…

谷 俊彦
8か月前
88

時代は「カウチポテト族」から「ラッコ族」へと《進化》を促した

15年ほど前にアメリカで買った3人掛けソファがかなり擦り切れてきたので、買う買わないはとも…

谷 俊彦
8か月前
65

泳ぐ女(短編小説;5,500文字)

 湯船に身を沈め、目を閉じた。 (こうやって、誰にも気兼ねなくゆっくりできるのって、や…

100
谷 俊彦
1年前
27

魅惑の洞穴(短編小説;2000文字)

  ── 目が覚めた時、洞穴の中にいた。 (う……いかんな。仕事中に……)  あたりは薄暗かった。 (あれ? ……たしか……オフィスで……)  しかし、なぜか体は仰向けに横たわっている。 (……暑いな)  体の下には草のような物があった。 (この暖かさは……床暖房?)  しかし、草の下は弾力があり、しかも、平らではない。 (ここは……会社……じゃないな……妙な形の……部屋だ)  目が慣れて来た。その部屋は、円筒を横に倒したような……洞窟のような形だった。  起き上がってみ