見出し画像

『三匹の子ぶた』を娘に読み聞かせながら考えたこと

どうも僕です。

最近気づいたことを。

僕は娘に絵本を読み聞かせるのが好きです。
というか好きだろうが好きでなかろうが、
2人の娘が読むことをせがんでくるので、
何度でも何度でも、
同じ絵本を読み聞かせます。

そのなかに「三匹の子ぶた」っていうのがあるんですよね。

ストーリーは今さら説明するまでもないでしょう。

1.三匹の子ぶたの兄弟が、
ワラの家、
木の家、
レンガの家をそれぞれ造る。

2.オオカミがやってきて、
ワラの家、
木の家の順に、
家を吹き飛ばしていく。

3.2匹の子ぶたは、
最後に残ったレンガの家に逃げ込み、
そこの暖炉でお湯を沸かし、
煙突から入ったオオカミは、
お湯の中で煮えてしまって、
危機を免れる。

だいたいこんな感じです。

このお話が子どもに伝えたい教訓って、
「パパっと家をつくるより、
 時間をかけてじっくり家をつくれ」
ってことだと思うのですよ。

この「家」っていうのが、
多分「人生」の比喩になっていて、
だから、「堅実な人生を歩め」という、
子どもへのメッセージになっている。

思いつきで何かをやるな。
時間をかけて準備して、
しっかり成功の見通しが立ってから、
綿密に計画して人生を設計せよ。
簡単に冒険するな。
石橋を叩いてから渡れ。

そういう「質実剛健」みたいな倫理が、
「三匹の子ぶた」の話には教訓として込められている。

それ自体は、
大切なことでもある。

でも一方で僕は、
今の不確実な時代には、
ワラの家や木の家を建てるという発想も、
必要なのではないかと思っているのです。

時代が時代ならば、
一番バカを見るのがレンガの家を造った三番目の弟ブタ
ってこともあるのではないか、
と娘に絵本を読み聞かせながら思ったわけです。

現代は「VUCAの時代」と言われます。
Volatility 変動性
Uncertainty 不確実性
Complexity 複雑性
Ambiguity 曖昧性
の頭文字をとった言葉です。
もともとは軍事用語だったのが、
ビジネスの世界などでも使われるようになりました。


現代が、
変動性が大きく不確実で、
複雑で曖昧な時代だ、
という事実に反論する人はほぼ皆無だと思います。
「明日何が起きてもまったく驚かない」
というのが今の世界です。

そんな時代にどう生きれば良いか、
ということに関する良書を、
かつて動画で紹介していますので、
興味ある方は以下の動画をご参照ください。

さて、話を戻しましょう。

三匹の子ぶたです。

長男ぶたは、
ささっと藁の家を造りました。

次男ぶたは、
そこそこの木の家を造りました。

三男ぶたは、
時間をかけて頑丈な石の家を造りました。

なんか、
これって『北の国から』の五郎さんの家みたいすね。
最初はボロボロの板の廃屋
次に丸太の家。
これは正吉(というか純)が燃やします。
最後が石の家。

北の国からは三匹の子ぶたでもあったのか!

、、、話がそれました。

現代がVUCAの時代であるとするなら、
実は、最も必要なのは、
ささっと藁の家を造った長男ぶたの行動様式なのだはないか、
と僕は思ったわけです。

どういうことか。

先の読めない時代に大切なキーワードとして、
「Early Failure(早めの失敗)」というのがあります。
「早く失敗した者が勝つ」という原則です。

なぜそうなるのかというと、
今の時代って事業環境の変化が激しく、
社会状況も先が全く読めない。
そのような時代に唯一取り得る戦略というのは、
「いろいろやってみる」ということだけなのですよね。

安定的な時代には、
「予測と統御モデル」が上手くいったから、
三男ぶた的な行動が推奨されたし、
時間をかけて石の家を築くのが重要だった。
しかしVUCAの状況では、
ますます、「確率」のウェイトが大きくなり、
「予測と統御」のウェイトが小さくなるのです。

とすると、
「たくさん試行した者が勝つ」わけです。
トーマス・エジソンがいみじくも言ったように、
10回失敗した人は、
10個の「うまく行かない方法」を発見したのであって、
その学習の蓄積により、
次の11個目が「当たる」確率がどんどん上がっていくわけです。

ところが、
「石橋を叩いて渡る」タイプの、
「なかなか試行しない人」あるいは、
「うまく行くと分かっていること以外絶対何もやりたくない人」は、
「確率」が支配する世界では、
敗者になることがあらかじめ決まっている、というわけです。

三匹の子ぶたでいうと、
一定期間内に、
兄はいろんな場所に藁の家を立てられるので、
「どこが適地か」という答えを最も見つけやい。
三男は一定期間内が終わっても、
石の家はまだ建て終わらないかもしれないし、
そもそもその場所が洪水に襲われる土地だった、
と後で分かるかもしれない。
でも、石の家を建て始めた「先行投資」に後ろ髪をひかれ、
「サンクコストの罠」にハマり、
失敗と分かったその場所から撤退できなくなるかもしれない。

まさに今、
日本全体がオリンピックにおいて陥っている状況ですね。

、、、というようなことを考えながら、
僕は娘に三匹の子ぶたを読み聞かせました。
娘にはいったい何が伝わっているんでしょうか?
お父さんのオオカミの真似は迫力がない、
みたいなことなんでしょうね、きっと笑。

おわり。


NGOの活動と私塾「陣内義塾」の二足のわらじで生計を立てています。サポートは創作や情報発信の力になります。少額でも感謝です。よろしければサポートくださいましたら感謝です。