見出し画像

す 「寿司」


寿司が好きだ。いや、寿司が好きじゃない人なんてほとんどいないわけだから、「寿司が好きだ」というのは何も言っていないのと多分同じだ。「スズメバチが嫌いだ」みたいな話なので。でも、寿司って、特別だと思う。僕の今住んでいる家から徒歩3分のところに「はま寿司」があるのだが、家族で年に何回かはそこに行き、回転寿司を楽しむ。こんな美味いものがこんなに安く食べられる国はもう世界広しといえど日本しかないのではないか。だから海外から日本に人が殺到するのだろうな

回転寿司で僕が100%頼むものは何か、と考えてみる。5つぐらい思い浮かぶ。

まずマグロ。筋トレしてるので脂質が少なくタンパク質が多く、栄養素的に優秀だし、もちろん美味いので僕はマグロをいく。次にエビ天(イカ天のこともある)。栄養素的にはまったく優秀ではないが笑、回転寿司の天ぷら系の握りはなんか、中毒性がある。つめだれをたっぷりつけていただく。次に何かしらのイカ。さっきのエビ天の自堕落を悔い改めて、再び脂質ゼロ・タンパク質100の、もう固形プロテインといって差し支えない、イカをいく。次にアナゴかウナギの類い。こちらも栄養素的には自堕落。つめだれをつけていただく。最後は決まっている。90年代なら広島の大野や横浜の佐々木、00年代なら中日の岩瀬、今は知らん。絶対的守護神。クローザー、9回裏を100%無失点に抑える、対戦相手からしたら絶望の象徴。これが僕にとっては「シメの鉄火巻き」だ。もう、絶対に鉄火巻きだ。鉄火巻きを、薄いお茶を飲みながら食べる。遠い目になる。エビ天とアナゴの反省もある。かくして僕の回転寿司は、自堕落→悔い改めの繰り返しになる。僕の人生みたいだ。

あと、寿司でもうひとつ思い出がある。文字数が足りないので簡潔に済ますが、14年ぐらい前に、教会の仲間4人(今は主任牧師とかだからこういう表現で合ってるかどうか分からないが)で、毎月2000円ずつぐらい、それぞれに封筒に「寿司貯金」というのを1年やって、年末にカウンターの「寿司屋」に行こう、という話になった。他の3人はどうだったか忘れたが、僕にとっては人生初の「回らない寿司屋」だった。年末、ドキドキしながらリサーチして見つけた西荻窪にあったその店に入った。80分ぐらいだっただろうか。大将がひとつずつ、ちょうど良いペースで、寿司をリリースしてくれるのを、僕たち4人は食べた。もう、脳が吹き飛ぶぐらい美味かった。夢を見ているような時間だった。僕たちが毎月ちょっとずつ貯金して来てくれたことに感激した大将は、かなりお安くしてくれた。弟子の人が店先で「この値段は普通はないですよ」と仰っていた。粋な大将だった。そして夢のような時間だった。この言葉は普段なら正直、好きじゃないけれど、今だけは敢えて言わせてくれ。「日本に生まれて良かったー」。

寿司は特別な食べものだ。特に日本人にとっては。寿司を語ることは、あなたの人生を語ることなのかもしれない。いつかあなたとも寿司について語り合える日がくるのを楽しみにしている。


+++++++++++++++++++++
『800文字のあいうえ大喜利』最新記事は、
以下の無料メルマガを購読していただきますと、
毎週あなたにメールで届きます。
よろしければご登録ください!


NGOの活動と私塾「陣内義塾」の二足のわらじで生計を立てています。サポートは創作や情報発信の力になります。少額でも感謝です。よろしければサポートくださいましたら感謝です。