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『IQUI』は勘違いしている【苦言を呈す】

 自分はこれまでに複数台の「360度カメラ」と呼ばれる全天球カメラを購入している。
 THETAシリーズから始まり、Insta360シリーズ、NikonのKeyMissionまで…数十万円と投資してきた。

 そんな中、近年、360度カメラの仲間入りを果たしたのが『IQUI(イクイ)』と言う…THETAを世に送り出したRICOH発のスタートアップ企業が開発した商品。
 最近、俺のツイッターの広告にやたらとレコメンドされてくる。

 ペン型でオシャレなデザインとなっており、確かにコレならサッと取り出して撮影できそうなフォルムでかっこいい。

 が!!!
 街中でこれを使って撮影している人を俺は一人たりとも見たことがない。
 思うに、開発スタッフは「木を見て森を見ず」状態になってるんじゃないかと。

 NHKでやっていた『プロジェクトX(エックス)』よろしく

良い商品を作り続けていればきっと売れて報われる!

 的な…ドラマチックな未来予想図を思い描いているのかもしれないが、ことさら360度カメラに関しては違うと思っている。

 2013年にTHETAの初代モデルが発売され、以来8年…。
 みなさん、身の回りで360度カメラを使っている人を何人見かけたことがあるだろうか?
 少なくとも、(一般人レベルにおいて)自分は1人も見かけたことが無い。
 ツイッターをフォローしている中で使ってる人は多数いるが、それは情報が欲しくてこちらからフォローした人だから当然のことで。
 あとは『ザ!鉄腕!DASH!!』などのテレビ番組で撮影機材として見かけるようになったぐらいだ(笑)。

 他の”特質系”カメラで言うと…GoProは一般でもそこそこ普及してきた感じ?
 あ、最近だとOsmoPocketはわりと見かけるようになったかもしれない。
 でも、おそらく「それぐらい」だ。
 360度カメラで言えば、撮影している人も見かけなければ、その「作品」を見ることも少ない。

 なんで普及しないか? 考えるに…

「撮影しても発表する場が無い!」

 のが最大の原因だと思っている。

 現在のところ、360度の作品として写真(や動画)を掲載や配布・保存の出来る「有名プラットフォーム」は

Googleフォト(主に保存)
YouTube(主に動画)
Facebook(写真・動画)
LINE(写真)

 ぐらいかと。

 Googleのクチコミで飲食店のページを見た時、ストリートビューに混じってたまーに店内の360度写真を掲載している人がいるが…これが一番目に触れる機会が多い全天球の写真コミュニティじゃないだろうか?

 Facebookはそもそも利用頻度が少なく、どちらかと言えばOculusGoのために作った実験アカウントなので友達を登録していないから普及度は未知数(苦笑)。
 広く友達を作れば自己満足アカウントとしての機能を果たすかもしれないが、そんな披露するような友達もいないので(苦笑)。
 ただ、数人フォローしている有名人の中で360度カメラを使う人は皆無。

 もちろん!! LINEで360度写真が送られてきたなんてことは一度たりとも無いわ!

 いわゆる「自慢できる」という…他人からの承認欲求を満たせる条件がメジャーなSNSプラットフォーム(=Instagramツイッター)にダイレクト投稿できないのが360度カメラの欠点中の欠点。
 (リンクは貼れるが、たどってまで見るかって言われると手間)
 普通の平面写真で言えば、Instagramなどで「映え」を狙った風景や料理の写真が毎日死ぬほど投稿されているわけだし…。
 ツイッターでも「イイね!」狙いの写真がバンバン上がっていたりしている。
 現代人は常に写真を撮りたがっているし見せたがっている。
 …なのに360度カメラはまるで普及しない!
 カメラの開発者で”この状況”に目を向けている人がどれだけいるんだろう?

 そんな現状でも、メーカー側といったら『Insta360 ONE R』のようなユニット式のカメラを出してみたり、『IQUI』のような「女性ウケ」しそうなデザインにしてみたりと、注目するのはハードウェアばかり!
 肝心のソフトウェアが人々(顧客)の需要を全然満たしていないことに気付いているのだろうか?

 プラットフォームの他にも、専用の編集ソフト(編集アプリ)もそう!
 無料で動画を編集しようとするととてつもなく手間がかかる…。
 Premiereとかでやればモザイクも文字も自由に配置できるががかかる…。
 (加えて操作方法を覚えるのがクソ面倒くさい!)
 一応、専用のソフトやアプリでやれなくはないが、今のこのご時世…若者の夢が「YouTuber」という中で、その顧客らを満足させられるような動画のクオリティには仕上げられない。

 で! さらに問題なのが…

「360度を謳ってYouTubeに上げても、全然再生されぬ!」

 これは収益化とモチベーションにも関わるため深刻だ……。
 例えば、こちらのチャンネル…各メーカーの全天球カメラの比較検証などを丁寧にされていて編集もしっかりしているのだけれど…

 登録者が約3000人しかいない…(涙)。
 そして、個々の解説動画の再生回数も低い。

 また、以下のチャンネルでは「これぞ360度カメラの使い方!」という真骨頂なのだが…

 収益化すらできぬ登録者数(泣)。
 観光地を360度カメラで撮影し”バーチャルトラベル”気分を味わってもらう…じゃ再生する気が起きないらしい。

 そうなると、こういう反則技に出るしかなくなってくる!

THE・セクシー路線!!(苦笑)

 もう、ここまできたら出る人の覚悟のみで成立するコンテンツになるので、360度カメラの特性もへったくれもない。
 現に、DMMやファンザ的なサイトがVR業界を牽引しているような印象も受ける。
 (ただ、セクシー系VRはGoProを2つ繋げてステッチかました感じの180度VRが主軸なイメージ)

 一方!! 介護・福祉の分野でお年寄りにバーチャルトラベルをしてもらおうとする試みを行っている正統派な人も!

 この登嶋さんという方、Insta360 Pro(以上)のカメラを使って様々な場所を撮影し、編集した影像をOculusGo(ヘッドマウントディスプレイ)で見せて回っている。

 自分もセミナーに参加させてもらったことがあるが、Proの解像度はハンパなかった…。
 入門機としてTHETAやInsta360、IQUIはお手頃だが、人を感動させる影像を残すなら30〜40万円かけてカメラ揃えなきゃダメだわって思った(苦笑)。

 とまぁ、一通り述べさせてもらったが…。
 超入門機としてカバンに忍ばせておくぐらいならお手頃かもしれないので、興味を持たれた方は買ってみてはどうだろうか?

 あとは各メーカーがSNSへ投稿出来るよう働きかけを行ってくれることを願うしかない。

 ちなみに…個人的には、写真メインでやりたいならTHETAシリーズ、動画メインでやりたいならInsta360シリーズを推奨している。
 というのも「撮影後のアプリでの加工」に、それぞれ得意・不得意があると思うから。

 THETAアプリは写真にモザイク(ボカシ)入れられるが、Insta360だと顔を隠すのはスタンプになってしまうから、写真はTHETA。
 Insta360系アプリはAIによる自動動画編集などお手軽で便利な機能があるし、パソコンのソフト「Insta360 Studio」を使えばより詳細な編集が可能になるので便利。
 またTHETAだと作成した動画を投稿する自社サイトが無いのがマイナスポイント。

 今は360度カメラが余っているのでIQUIに手を出そうとは思わないが…機会があれば使ってみたいものだ。

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