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「ピコ太郎症候群」が蔓延る日本社会

 先日、お笑い芸人のTKOさんが自身のYouTubeチャンネルのゲストにキングコングの西野亮廣さんを招いた会。

 そこでTKOさんが「ライブツアーのチケットを売るためにはどうしたらいいのか?」という相談を西野先生にしていた。

 西野先生的には

「(仙台で)手売りすればいいんじゃないですかね?」

 との結論。

 途中でクラウドファンディング的な話も出てきたが、木本さんが投資詐欺に引っかかって周囲に莫大な迷惑をかけた結果、事務所を退所するまでに至った経緯もあり、そういった集金的なシステムを活用するのは(自分的には)いまいち乗り気ではなかったように見えた。


 で!
 その西野先生の提案通り、先月末にTKO・木下さんが仙台まで行って手売りしてきたみたいだ。

 この動画、ファミレスで見てしまったんだけど…

泣けた


 ね。。
 店内で、目元がうっすら涙で濡れてしまった。

 そりゃさ。

金儲けに目がくらみ芸能人仲間に声をかけまくった挙げ句巨額の投資詐欺に巻き込んだ張本人

 と

いじられたことを根に持ち後輩にペットボトルを投げつけるパワハラ事件を起こした人物

 のコンビだから素直に応援しにくい土壌はある。

 それでもさ、芸歴30年以上で50歳を超えたオジサン(たち)が必死こいてチケットを手売りする姿…共感するでしょうに。
 オッサンの涙腺ホイホイだろ。

 しかもさ「客寄せパンダ」というか「猿山の猿」というか…。
 遠巻きに見ている群衆からは

「誰なんだあいつ?」

「分からないけど、なんか面白そうだからとりあえず写真でも撮っておこうぜ!」

「(写真撮影した後に)あなた何してる人?」

 的な見世物扱いされて。
 本来ならそんな扱いを受けるキャリアや年齢じゃないはずなのにね。
 それでも笑顔で写真撮影に応じたりするのって、YouTubeの撮影があるとはいっても本音中の本音を言えばわりと「屈辱的」なはず。
 そこを我慢して、我慢して「チケット買ってください!」だもん。

泣ける


 でしょ。


 西野先生も時々【Voicy】で喋っているけど、自身が若い時は手売りで劇場のチケットを買ってもらっていたらしい。

いやいや、それって「キングコング」とか「西野亮廣」の知名度があるから人が集まって手売りでも売れるんでしょ?

 と邪推(嫉妬)する人も多くいるようだが、西野先生は「キングコング」としての知名度が低い若手の頃から街角に立ち「面白かったらチケット勝手下さい!」と対面でネタを披露し、売り続けてきたらしい。
 それは芸能人として売れてからも一緒で、つい最近でも、舞台『えんとつ町のプペル』の大阪公演のチケットを手売りしに大阪へ飛んだりしていた。
 なので「手売り」「対面」での【購買力】の強さというのを身にしみて知っているので、TKOさんにも「手売りすれば?」と提案したのだろう。


 で、改めて思った。

今の若手芸人、
何しとんねん?


 知名度も全然無く、実力は未知数…。
 そんなヤツがSNSで出演の日程と

「絶対に面白いから来て!」
「チケット取り置きします」

 と宣伝したところで

(ファン以外)
誰が買うかよ!


 ってなるのは必然じゃね??
 ぶっちゃけ…チケットは500円とか1000円レベルなんで、金銭的な被害はどうでもいいっちゃいいけど。
 その会場まで足を運んだ【時間】を損した…と言いたくなる人も少なくないと思う。
 電車なり車なりで現場(劇場)まで来させているわけだからね。
 そのうえで1〜2時間ぐらいの【時間余命】を拘束しているわけだし。
 金銭的なものより時間的なロスを食らうほうが、俺としては正直ダメージはでかい。
 そして「うわ〜」と思った人のライブには二度と足は運びたくない。


 これも西野先生がよくラジオで喋っていることだが。

内容の分からない作品にお金と時間を使いたくない

 と思っているお客がたくさんいるとのこと。
 つまり、買った後に損をしたくない…ハズレを引きたくないと思っている人が多い。

 現に、世の中の親御さんたちは子供に絵本を買う時に内容の分かっている『はらぺこあおむし』とかを買い与える。
 なぜなら「面白い!」と分かっている作品だから。
 『はらぺこあおむし』がはるか昔の作品なのに、未だベストセラーで売れ続けているのはこれが理由らしい。


 そこでふと思ったのは、みんな【ピコ太郎症候群シンドローム】にかかってしまっているんだなぁ…ということだ。

 アメリカで人気の歌手、ジャスティン・ビーバーがTwitter(現「X」)でピコ太郎さんの『PPAP』をシェアしたことで、知名度が爆発的に上昇。
 PPAPブームを巻き起こしたの…という出来事は記憶に残っている人も多いだろう。

 あんな感じで…。

SNSで
爆売れする可能性、
ワンチャンあるかも!


 と【夢】を見ているのだ。
 それが、出演ライブのチラシとURLを乗っけて「面白いから来て!」と宣伝する行為につながっているんだろう。

ワンチャン、誰かが買ってくれるかもしれない!
もしかしたら、業界の有力者の目に止まるかもしれない!

 と…。


 そして、おそらく最初のTKOさんも西野先生に相談しに行った時は

何かSNSには「魔法のような仕組み」があって、それさえ知ればチケットが簡単に売りさばけるだろう!
その魔法を西野亮廣は知っているはずだ!

 と内心は思っていたに違いない。
 しかし、そこで提案されたのが「手売り」ときたもんだ。
 これには拍子抜けしただろうな。

 令和の時代の現実問題として、SNSを駆使して一夜にしてスター街道に躍り出るなんて可能性は低い。
 ゼロではないが、ゼロに近いぐらい低い。
 逆に「地道」「丁寧」こそが、最強の営業ツールとなっているのだ。


 俺の知り合いの人も【Voicy】に登録して始めたものの、数回更新したところでストップ。
 理由は「(すぐに)儲からない」かららしい。
 いやいや…確かに知名度はあるけど、そんな早く諦めちゃダメじゃないですかね?
 コツコツやって、地道に…徐々にファンを増やしていく。
 こうした行動が出来なかったようで…。

 費用対効果とかプライドとか、色々とあったんでしょうけど…もうちょっと続けてもいいんじゃないかと思ったわけで。。


 手っ取り早く何者かになりたいがため、【スレッズ】や【Clubhouse】に手を出してみたりとか。

楽して儲けたい!

楽して有名になりたい!

人生、一発逆転!!

 を狙いすぎな人が多いな…と感じている今日この頃。

 ピコ太郎さんみたいに「ワンチャン」で売れる可能性はゼロじゃない。
 かと言って、そのワンチャンに期待しすぎる若手芸人たちに「もっと別なやり方考えられないの?」と言いたくなってしまった。



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