Shun Yamai

Kyoto Univ Architecture Kanki Lab Thammasat…

Shun Yamai

Kyoto Univ Architecture Kanki Lab Thammasat University タイ・タマサート大学に留学(2023.12-2024.06) 京大建築修士3年

最近の記事

モールと公共性

その豊富なコンテンツと豊かな空間で、世界中から人が訪れるバンコクのモール。その建築(群)は同時に、ジェントリフィケーションの象徴としても語られる。 さて、モールは公共空間たり得るのだろうか。そもそも公共空間とはなんだろうか。 モールの空間 今も超巨大モールの新築が続くバンコク。その空間性は、日本のそれとは比べものにならないくらい多様かつ洗練されている。 まず印象的なのは、自由奔放な吹き抜け空間。地震がなく防火規制のゆるいタイだからこそ可能な空間かもしれない。 Centr

    • スラムと言語

      僕が留学しているのは、タマサート大学の国際コース、UDDI(Urban Design and Development, International program)というところです。そこで、デザインスタジオ1科目と、オーディエンスとして"Mega City"という壮大な名前の科目、合計2科目を履修しています。 スタジオコースでデザインするのは、スラムのRelocation(強制移住)先の住居計画。地図分析や、強制移住させられる方々へのインタビューを経て、最終的にマスタープラ

      • 空間と平等について

        大きなタイトルをつけました。 日本にいるときから、空間のOpennessについて考えていました。誰に対して開かれているか、あるいは閉ざされているか。あるいはその線を引いているのは誰か。 タイ留学をはじめて2ヶ月が経ちます。言語化が難しい内容ですが、長々と書いていきます。 ご飯のこと外食がとてつもなく安い。このことが、タイにおける都市構造を成り立たせている、といっても過言でないように思います。 ローカル向けの店舗であれば、1食30~80バーツ(120~320円)ほどが相場。一

        • なぜタイで建築を学ぶのか?

          タイに来て2週間が経ちます。自分の思考を整理するために、またこれを読むかもしれない、アジアに留学する建築学生のひとつの手がかりになるように、このnoteを書くことにしました。(それにしてはダラダラ書きます) M1の一年間、様々な授業や就活、研究室のプロジェクトや雑誌の編集長(https://www.traverse-architecture.com/)など、いろんな体験をさせてもらい、ありがたくも忙しく過ごしていました。 一方で、設計の数が学部の頃より減ったり、その精度が下

        モールと公共性

          LAND-SCAPEの作法

          無鄰菴庭、そしてそれを囲む木々。その後ろに佇む東山を、山県有朋は「主山」と名付けた。それは他者としての山を引き込む「借景」とは異なり、東山こそを愛で、そこからの流れとしての庭園をつくる、というような思想である。依頼された七代目小川治兵衛、通称「植治」は苦心のあげく疎水の水を引き込み、植栽と石、そして水の流れの見事な工夫でそれを達成した。 その建築空間は限りなく透明である。観光のためにかつてあった障子は取り外され、細い木格子のガラス窓1枚が内外を隔てる。建具の交線が柱となり、

          LAND-SCAPEの作法