いわき、連勝で5位浮上

明治安田J2リーグ 第12節

 サッカーのいわきFCは28日、アウェイのカンセキスタジアムとちぎで栃木SCと対戦し、1対0で勝利した。いわきは28分に五十嵐のクロスを谷村が合わせて先制。攻守ともに連動した動きを見せ、試合を優勢に進めた。終盤は栃木の反撃を受けたものの、交代枠を上手に使い切り、全員で完封勝利をもぎ取った。2連勝を飾ったいわきは通算成績を5勝4分3敗の勝ち点19として、5位にジャンプアップ。目標とするプレーオフ圏内に入り込んだ。いわきは次節、3日にホームのハワイアンズスタジアムいわきで、10位のジェフユナイテッド千葉を迎え撃つ。

変貌見せるイレブン、「勝てるチーム」へ

 押し込まれはしたが、失点してドローというイメージがわかないほど、終盤のいわきからは試合をコントロールしている自信と余裕が感じ取れた。油断したり、相手を侮ったりしているわけではない。練習と実戦を通じて鍛錬してきた自分たちの肉体なら、相手の攻撃を必ず防ぎきれるというプライド。常勝チームがまとう雰囲気を醸し出しながら、見事に「ウノゼロ」で試合を終えた。

 これといったMVPが見当たらないのも、勝てるチームの特長だ。強いて言えば、出場した全選手がMVP。決勝点を挙げた谷村や、そのお膳立てをした五十嵐ばかりでなく、兄弟対決となった一戦で栃木の攻撃を力強くはね返した大森、ポストプレーと前線からの守備で古巣相手に圧力をかけ続けた有馬、CKからの逆襲を全速力で奪い返した西川など、各々が力を出し切った。気温が30度に迫る暑さのなか、早々に5枚のカードを使い切り、的確にチーム全体の体力を配分した田村監督の采配も効果的だった。

 今季の新体制発表会では大倉社長が「育成型クラブではない」「プレーオフ圏内を目指す」と明言。開幕から2戦の出来栄えは芳しくなかったが、3-1-4-2のシステムがなじみ始め、選手間の競争やJ1経験クラブとの激闘を経て、猛者ぞろいのJ2を勝ち抜いていくだけの実力が、確かに身に付いてきた。カンセキに押し寄せたサポーターの数も、浜通りの熱気を感じさせるに十分。クラブを取り巻くすべてが、上昇気流に乗っている。

 もちろん課題もある。試合終盤に何度かあったカウンターの機会で、相手陣内で時間を潰すのか、2点目を奪いに行くのか、迷いを感じさせる場面があった。先制点を奪われた試合で逆転勝利できる反発力も、今後の上位進出には必要だ。

 その点では、次節の千葉戦がうってつけの試金石になる。昨年、千葉との対戦成績は1分1敗。いわきはここまで、昨シーズン白星を挙げられなかった相手からは、まだ勝ち点3を手にしていない。リーグ屈指の攻撃力を誇る千葉を相手に撃ち合い上等で挑み、ホームの大観衆に昨年届けられなかった「オリジナル10」からの勝利をプレゼントできるか。復興から成長へ、満開のツツジが咲き誇る初夏のハワスタに、浜通りの期待が集まる。



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