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リスクを可能な限り排除する、ベビーシッターさんの選び方

私がベビーシッターへの依頼を検討していた丁度その頃に、キッズラインのシッターによる、わいせつ事件が起こりました。シッター個人というよりもキッズライン社の事業者としての対応のひどさに、ベビーシッターを利用すること自体に強い不安を感じてしまいました。ただ、今後の子育てのことも考えると全く利用しないという選択肢はなく、どうしたら安全で、よい事業者とシッターさんと出会えるか、いろいろ調べ、考え、試してみたことを紹介します。
私は結果的に、長くお付き合いしたい事業者とシッターさんに出会うことができました。

キッズライン事件とは

※事情をご存知の方は読み飛ばしてください。

事件は2回起きており、1回目は2020年5月、男性シッターが男児にわいせつ行為を行い逮捕されました。しかしキッズライン社はそのことを正式に公表せず、AERAに社名付きで報じられたことで事件が明るみになりました。その後、同社から対策を取ったとお知らせされましたが、6月に2件目となるわいせつ事件が発生してしまいました。

2件目発生後も、被害者に誠実で迅速な謝罪が行われなかった上、「キッズライン社はシッターと雇用契約を結んでいないマッチングサービスだから責任はない」といった旨の開き直りを見せました。(その時のキッズライン社のリリースは、自分たちはむしろ被害者だと言いたげなものだったので唖然としたことを覚えています。。)

その後、利用者だけではなく、キッズラインを経由してシッターとして働いているパートナーに対しての不誠実な対応も多く明るみになりました。

その後、本件を重くみた他のベビーシッター事業者が、子どもが被害を受ける性犯罪をなくすための仕組みの導入を訴えたり、ジャーナリストがキッズライン社の実態を調査(結果、利用後のユーザーが付けるシッターの評価システムがマイナス評価やコメントが非常にしづらい仕組みになっていた実態や、サポートデスクの杜撰さなどの問題が芋づる式に発覚)したことにより事件への注目が集まったこともあり、国が対策を検討し始めました。また、キッズライン社は東京の認定事業者でしたが、新規契約は補助対象外となりました。

一連の事件や社長の発言について調べていく中で私が感じたのは、「ベビーシッターを日本の文化に」という企業理念を掲げている社長が目指したいことは、「ベビーシッターによって子どもとその親を幸せにする」ことではなく、「営利企業経営者としての成功」だったのではということです。

マッチング事業者と派遣(雇用)事業者の志向の違い

マッチングサービスはあくまでシッターと利用者を”つなぐだけ”のサービスであるため、そこにシッターとしての適性や質を担保するためのフィルターはほとんど存在しません(キッズライン社はシッターと面談を行っているとしていましたが、その実態はほとんど体をなしていない大変お些末なものであったことが分かっています)。

”つなぐだけ”のサービスなら利用料金は安いのかと思ったのですがそうではなく、キッズラインの利用料金は派遣(雇用)事業者と比較して大して安くありません。

当時、検索エンジンで「ベビーシッター」と検索すると、キッズラインの検索連動広告が必ず上位に掲載されていたり、SNSでの広告もよく見かけました。恐らくマーケティングに、もしくは利益に、他事業者よりも多くのコストを使っているのだと思います。

私は派遣(雇用)事業者を利用して、良い企業は安全性や教育、サポート体制にしっかりコストを割いていることを知りました。

マッチング事業者を利用することは確かに手軽です。働いている人もほとんどは善良な方であるでしょう。しかし、その手頃さや企業としての姿勢は大切な我が子を預けるに適しているか、冷静に判断する必要があると感じます。

ベビシッター事業者選定から利用開始までの流れ

前置きが長くなってしまいましたが、派遣(雇用)事業者を利用する場合の流れと、その中でおすすめしたい質問内容や見るべき観点について記載します。

利用までのざっくりした流れはこちら。

①候補事業者選定
②候補事業者に電話で質問
③契約内容詳細確認などの打ち合わせ
④候補シッターさんと面談
⑤正式契約
⑥利用開始

候補事業者の選定方法

事業者の候補は、東京都のWEBサイトに「認定事業者一覧」が掲載されています。
私はそちらから各社のWEBサイトを確認し、運営方針や強み、シッターさんの選定や研修をしっかり行っていそうか、事業規模、事業所の場所や金額などを確認し、いくつかの候補を選定しました。

候補事業者を決めるための質問項目と見るべき観点

ある程度の情報はWEBサイトに掲載されているので、電話で確認するのはより詳細を知りたい事と、担当者がしっかりしていて安心感があるかどうか(明確に質問に回答してくれるか)でした。

ちなみに私が質問した内容は下記です。

・事業者がシッターさん選定の際に行っていることと選定観点
・シッターさんの研修内容と合格基準
・希望する条件のシッターさんはいるかどうか
・シッターさん事前面談の可否
・過去のトラブル内容と対応

過去のトラブル内容や対応といった、ちょっと言いづらい内容にどれくらい明確に答えてくれるかで、事業者の質が分かると思います。こうした仕事で過去にトラブルが全くないことはないと思いますし、それ自体はマイナスではないと思います。それよりも、トラブルに対してどういう対応をしてきたか、またそれが電話対応している方も含めて社内できちんと共有されているのかといったことを見ればいいかと思います。

また、希望するシッターさんの条件については、条件に合う方をそのままアサインしてくださってももちろんいいのですが、なぜその要望なのかや、こちらがどういう考えなのかを質問し、「それならこういう方がいい」といった、こちらでは想定がつかなかった場合を勘案した提案をくれるくらいの方がいいと思ったので、あえてかなり絞った条件で相談してみました。

契約内容詳細確認と本契約

お願いする事業者さんを絞ったら、先方から対面で契約内容の詳細確認をさせてほしいという依頼があり、我が家で契約書の項目について丁寧に説明していただけました。料金やトラブル時の対応、イレギュラー対応などについても細かくすり合わせすることができました。

また、派遣を予定しているシッターさんの経歴、実績、他利用者からの評価、得意なことや苦手なことについても詳細に確認しました。

こちらからもかなり細かい質問や確認を行っていると、事業者さんからすれば正直面倒くさい利用者かもしれません。しかし、それ位こちらも真剣だという姿勢を示すことで、事業者さんも可能な限りリスクがない良いシッターさんを紹介してくれると思いますし、何より先方の誠実さや質が分かってきます。

候補シッターさんとの面談

お願いする日程が比較的迫っていたこともあり、すぐに候補シッターさんとオンラインで面談しました。
過去の経歴や現在どれくらいの頻度でお仕事されているか、お互いの家族構成の話なども含めてざっくばらんに会話しました。

事前に経歴などは聞いていますが、やはり直接お話できると、話しやすさや雰囲気、自分との相性が分かって安心です。ここで不安がかなり減りました。

当日の利用の進め方と準備

子どもの年齢や性格によると思いますが、可能ならシッターさんの利用は最初から一対一にするよりは親もいる環境から慣らす方が安心かもしれません。我が家では、初回は隣の部屋で私が仕事をしている時に子どもを見てもらいました。

また、当日はお願いすることやお世話グッズがどこにあるのかなど、細かいことを全て紙に書き出してお渡ししました。自分にとっても、シッターさんにとっても安心感につながります。

シッターさんを利用してよかったこと

何度か同じ方を利用させてもらい、とても良かったことは、子どもの成長を一緒に見ながら子育て相談ができることです。保育士資格を持ち、自身も子育て経験がある方だったので、ミルクの増やし方や乳児との遊び方など、いろいろ相談しました。

シッターさんに預けて夫婦で外食したこともあり、最初、一瞬罪悪感を感じました。ただ、それは反射的罪悪感というか、社会からの無言の圧力でそう感じたのだと思いました。「子どもがかわいそう」って、本当にそう?なぜかわいそうなのか?を考えると、それは実態がないものだったり、実際にそれを言う人も主観的で無責任な立場から言っていることで、特に気にする必要もないし、かわいそうにならない条件を揃えることで解決できることなんですよね。

私は信頼できる方に子どもを預けられれば、子どもにとっても良い刺激がある経験になるし、親である自分たちがリフレッシュできないことでストレスを溜めることの方が家庭として健全ではないと考えました。夫婦で外食する時間では、美味しいものを食べてリフレッシュできるだけではなく、これからの子育てのことや、自分たちのキャリア、親との付き合い方などについてじっくり会話することで、考えを整理したり、慌ただしい日常で生じる微細なズレを調整することができています。

素敵なシッターさんとの出会いは、私の人生を豊かにする選択肢をくれました。

慎重な事業者とシッターさん選定により、多くの方にとっての子育てがより豊かになることを願っています。

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