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母親が「頑張る」よりも「ストレスをなくす」ために努力すべき理由

最近、イギリスの神経学者が書いた面白い本を読んだ。

そこに書かれていた実験によると、母親は子どものためでも頑張りすぎてストレスを感じると、そのストレス状態が子どもにも移ってしまう、というものだ。

実験の内容を簡単に記す。

母親と一歳の赤ちゃんを2グループに分け、一方の母親にはストレスを、もう一方の母親にはストレスを与えないようにした。
ストレスを与えるグループの母親たちには自分の長所と短所について威圧的な審査員たちの前でスピーチをさせ、ストレスを与えないグループには誰もいない部屋でスピーチを行わせた。スピーチに子どもは同席せず、スピーチ終了後に母親と子どもは再会する。
スピーチの後、母親と赤ちゃんの反応を観察し、心臓血管反応を測定するセンサーでストレス状態を記録した。

実験の結果、ストレスを受けた母親と再会した赤ちゃんは心拍数が上がった。赤ちゃんは母親の感情を汲み取ったわけではないが、体内で同じ感情が沸き起った。要は、母親のストレス状態が赤ちゃんに伝染したのだ。

また、この実験によって変化したのは生理的な状態だけではなく、行動も影響を受けることがわかった。
ストレス状態を受けなかった赤ちゃんは実験時に周囲にいた人々と楽しげに触れ合ったが、ストレスを受けた赤ちゃんは他人を避け、視線を合わさないようにしたそうだ。

ストレス負荷が高い状態を母親が継続し、それが積み重なっていくと、子どもの基本的なコミュニケーション能力に大きな影響が出るかもしれない。想像すると、ちょっとぞっとする。


子どもを育てていると、どんなに可愛くてもストレスを感じてしまうことがある。「私が我慢すればいいんだ」と思って頑張りすぎてしまうこともある。楽をしようとすることに罪悪感すら感じてしまうことがある。

でも、頑張りすぎたことによって子どもにストレスを与えてしまうとしたら。本末転倒もいところだ。

私たちはもっと、「頑張らないための努力」をすべきなのだ。

同調圧力の強い日本でそれをするのはまだ少し勇気がいるかもしれないけれど、私は自信を持って「楽するための選択」をしようと思う。
そして、誰かの「楽」を生み出せる人でありたい。


ちなみに紹介した実験については下記の本に載っています。とても興味深い本でした。


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