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【ブルベ走行録】夏の山岳ブルベ~2024BRM706基山400km_延岡



はじめに

2024年7月6日。「サラダ記念日」(古い?)にAJ福岡主催の400kmブルベ走行してきた!
その名も「BRM706基山400km_延岡」ということで、佐賀県基山町から宮崎県延岡市まで行って帰ってくるというルート。行きと帰りではルートは別だが、いずれも九州の山岳地帯を横断する山岳ブルベ。延岡からの帰りのルートは補給場所がかなり少ないという注意点もある。
難易度として決して優しくはないブルベだが、どんな一日になったか、みていこう。

時計回りのルートだ

スタート~竹田市(0~123km)

スタートは8:00。佐賀県北部の基山町が集合場所。
長崎からだと始発の新幹線では微妙に間に合わないので隣の鳥栖市内で前泊した。(結果これが良かった)

15分前に始まるブリーフィングでフォトチェックの説明などを受ける。
先日の大雨により、日田市内の花月川に架かる橋(国道386号、三郎丸橋)が崩落寸前になってしまった。今回のルート上ではないが、迂回によりR210への流入交通が増えるかもしれないので注意とのこと。
他にいくつかルート上の注意事項など聞き、スタート。

ブルベカード
スタート前の様子。出走は12名だった。既に蒸し暑い

最初の50kmは比較的アップダウンの少ない平坦ルート。市街地の割に信号少なめで、脚の合う参加者と協力して30km/h前後で快走してゆく。懸念された日田市内の交通量は問題なかった。

加賀鶴隊道。歩行者・自転車専用になっている旧道(?)を通る。
かつての鉄道跡だとか何とか・・・

58km地点、スタートして2時間半でミニストップで水補給。すでに山間部に入っており貴重な補給地点。ボトルは950ccと750ccの2本持ちなので、早くも2リットル近い水を消費したことになる。

ミニストップ日田鎌手店。長崎にはミニストップが無いから、見つけると寄りたくなるというのもある

個人的に懸念していたのが暑さだった。この休憩時点で時刻10:30にして既に31℃。梅雨時期特有の湿度に加え、全国的な熱波によりかなりの高温が予想された。通過する豊後大野市の最高気温は、なんと35℃!いはやは、なぜそうなる・・・
日除けと水分、そして電解質補給をきっちりやらないといけない。

さて、R212を南下し松原ダムを経て小国へ。この先60kmほど、竹田までは無補給区間がつづくが、持ち合わせはあったので水だけ補給する。

「良すぎる」天気

県道40号に逸れると一転して交通量が少ないのどかな山道に。道沿いには湧き水が出ているところがあり、今回のフォトチェックポイントにもなっていた。
エビデンスの写真撮影もほどほどにすぐさま水浴び。最高に気持ちいい。

フォトチェックの「冷たい湧水」
県道40号の風景


そのままやまなみハイウェイとの交差地点に到達する。標高795m、往路の最高地点だ。これだけの標高があるのに、気温は28℃。
下った先は灼熱地獄だよな~きっと・・・。

やまなみハイウェイとの交点、名も無き峠が往路の最高地点
峠を境に産山村に入る

産山村へ入ると、小刻みにアップダウンを繰り返しながら竹田の市街地へと下ってゆく。大分県との県境は表示がなかった(見落としたかも)。
この区間、交通量少なくのどかで良ルートだった。夏を感じる青空が景色を引き立てる。
いやほんとこれマジで素晴らしい(語彙力)

竹田~延岡(123~200km)

竹田の市街地まで下ると気温は33℃。さすがに暑い。
チェックポイントではないがルートに組み込まれている「廉太郎トンネル」で少し止まって撮影。
竹田市は、音楽家の瀧廉太郎が「荒城の月」のモデルにしたことで有名。廉太郎トンネル、瀧廉太郎記念館、廉太郎ホール、瀧廉太郎像など、至る所に廉太郎。

そぞろ歩きが楽しそうな街並み
その名も「廉太郎トンネル」

町外れにフォトチェック「十川の柱状節理」
不思議な景色で迫力あったが、自転車から降りると途端に暑い。写真撮影を早々に済ませてすぐに撤退。

十川の柱状節理

竹田からはR502で東進。すぐに豊後大野市に入る。
豊後大野市は人口約3万人だが、2005年にいわゆる平成の大合併で7つの町村が合わさって出来た町。ひとつひとつが小さな町なので、次々と移り変わる景色が楽しい。
あまり来る機会がないので、ちょっと足を伸ばして観光も。

日本の滝百選、原尻の滝

気温はさらに上がって35℃。ここまで来ると厳しくなってくるが、アームカバーで腕を覆い、手ぬぐいを首に巻くなどで日除けをしているので、不思議と大丈夫。汗はとめどなく出るけど、ここまでの暑さになるとやはり日差しから皮膚を守るほうがメリットある。

137km地点、水が切れたので 「道の駅きよかわ」で一休み。桃が名産のようで、箱売りや桃を使った菓子類も種類豊富だった。ここでお土産を買うことにした。

桃の金平糖とブッセを購入
自分用にはももソフト
桃の風味が爽やかで美味しい

道の駅を出発してから10km弱、147km地点でPC1、ローソン三重総合高校前店に到着。
水・バナナ・おにぎりに加え、今季初のロックアイスをボトルに投入。すぐぬるくなるのは分かりきっているけど、少しでも冷たい水が飲めることを優先。最も大きい氷は手ぬぐいに巻いて首を冷やす。

PC1出発後、R326に入り延岡市内を目指す。勾配は6%程だろうか、なんとも言えない勾配が延々と続く。そしてここにきて脚のあらゆる筋肉がとにかく痛い。乳酸が溜まっているあの感覚。普段は起こらないけれど、猛暑の中での走行ではさすがに消耗したか。

休み休み登り、ピークに達し平坦になったあたり、166km付近で突然前輪が滑ったりハンドルがやや取られる感覚が。

そう、パンクだ

安全に修理できるところまで慎重に走行し、チューブ交換。15分でリスタートできた。
チューブは残り2本持っているので再発しても大丈夫(起こらないことを祈るけど)

真夏のパンク修理は、とにかく汗だく
パンク修理からリスタートするとすぐに「唄げんか大橋」

唄げんか大橋と長さ1.6kmの桑の原トンネルを抜けると宮崎県へ。でも延岡の中心部まではまだ30km。1時間以上かかる。延岡って広いのね。
ちょうど他の参加者に追いついたので、協力しながら進む。

県境

200kmちょうど、PC2セブンイレブン延岡幸2丁目店に到着。経過時間は約10時間。この暑さの中グロス平均20km/hで来れた。3時間半ほどリードタイムがあるので、駐車場の隅っこで腰を下ろして休憩(邪魔にならないようにね!)。そこに他の参加者が数名居て「マジできついね~」「ベンチで寝てたら近所のお母さんから、行き倒れてないか心配されたよ~」とブルベあるある話もまじえて互いにねぎらう。

真夏のブルベでは汗ふきシートが欠かせない
定期的に体を拭くとかなり気分が違う

延岡~高千穂(200~253km)

延岡からは復路。往路とは異なり、高千穂・南阿蘇・菊池というルートで、204kmかけて戻る。制限時間までは16時間ちょいなので、よほどのことがない限り間に合いそうだが、夜間走行はそう簡単には行かない。睡魔、暗闇の走行、野生動物、補給場所が少なくなる(営業時間外)といったリスクがあるからだ。
なので延岡でしっかり準備して、まずは50km先の高千穂へ向かう。

延岡から高千穂までは、国道218号と旧道の県道238号で進んでゆく

高千穂町は標高300mほどに位置するため、のんびり登っていくのかなーと想像していたけれど、そうではなかった。実際にはアップダウンの繰り返しで、本当に登っていってるのか分からなくなる。
夜間とはいえ気温は28℃あたりから全く下がらず、加えて昼間より蒸し暑い。
引き続き水分補給には気を使いながら走ってゆく。

またその夜は晴れの天気。街灯ひとつ無い山道で立ち止まりライトを消してみると・・・そこには満点の星空が広がっていた。
そうか、明日は七夕なのか。天の川も見えたし大満足。

高千穂に到着するとコンビニで一旦補給。延岡から53km、3時間かかった。この時点でリードタイムは3時間20分。水、グミ、ゼリー飲料を補給する。

毎度の事ながら、汗びっしょりのジャージでコンビニの店内に入ると、涼しいを通り越して非常に寒い。温度差でかえって体に負担がかかるだけなので、買い物はサッと済ませ外に出る。

ところが外は外で、店舗の照明に大量のカメムシが群がっていて何とも言えない気分になった。店員さんがハンディクリーナーで必死に駆除してたが、吸い込んだあと絶対臭くなるやつだと思う。どうなったのかまでは分からない。

高千穂の市街地

高千穂~大津(253~318km)

高千穂を出発すると登り区間はまだまだ続き、復路の最高地点、長谷峠を目指す。
やはり登り一辺倒ではなくアップダウンを繰り返しながら徐々に標高が上がってゆく。

寧静ループ橋で県境越え。ループ橋全然写ってないけど

高森町から一瞬山都町に入り「山都町柳」交差点で左折。少し下った真っ暗な交差点から長谷峠への最後の登りが始まる。

それがまたかなりの狭く草が生い茂った林道のような道。イノシシ出てくること間違いなしな雰囲気で、「これ本当に大丈夫か?」と半信半疑で登る。
幸か不幸か、勾配がかなり緩い。脚の重量だけで登っていける感じ。

以前に比べて、暗闇の峠越えは慣れてきた
・・・とはいえ、この道である
峠はフォトチェックでもある。こうしている間にもイノシシが出てきそうで怖いので、そそくさと退散

登りが雑草茂る隘路なら、下りはというと、舗装は割れて穴や段差だらけ、砂利の箇所もあり、キツすぎるヘアピンカーブという状態。下りなのに全く楽しくない(笑)

ただ途中、高森市街地の夜景は綺麗だったのは良かった。

荒れた区間をすぎて、南阿蘇鉄道の踏切を渡る

荒れた区間を過ぎると高森町の中心部を横切り、住宅街の裏道を西進。
途中、猫にぶつかりそうになったが何とか回避。
だんだん空腹感が高まってきたが、もうすぐ300km地点のR326に接続する交差点にファミリーマートがあったはず、と思いそこまで行こうと先を急ぐ。

しかし、何と24時で営業終了時だった。24時間営業じゃなかったのだ。これはもう、大津まで行かないとコンビニは無い。
とりあえず手持ちのきんつばやわらび餅などを頬張った。

ようやく着いたPC3、セブンイレブン熊本大津曙団地前店。時刻は深夜1時半。ここでつけ麺を食べたりモバイルバッテリーの交換、ヘッドライトの電池交換などを済ませる。
50分ほど滞在したが、その間に参加者がひとり現れた。「ここまで来ればもう大丈夫っすね」と互いに確認し合い、私は先に出発。リードタイムはまだ3時間20分。休みながら進んでも全然大丈夫だ。あとは安全に進むだけ。

PC3での補給。カフェイン類を摂る方も多いが、私はとてつもない頻尿に直結することが理由でむしろ避けている

大津~基山フィニッシュ(318~404km)

ここから先はいよいよ明け方に向かうので、睡魔との戦いになることが予想される。が、意外と道の駅や24時間営業コンビニが点在しているので休憩場所には困らない。なので眠気を感じたら積極的に休んでいこうと思いつつ進む。

風が強くなってきたが幸運にも追い風。深夜の菊池市内を快走する。
しかし山鹿市内に入ると、とうとう睡魔が・・・
こうなってはどうしょうもない。路肩に止まったりしながらコンビニが現れるまで走る。
340km地点にファミリーマートを見つけたので、ドリンクを買うついでに駐車場の隅っこで目を閉じる


15分くらいだろうか。目が覚めて随分スッキリしたのでリスタート。
これ以降、走行中に眠くなることはなかった。前日しっかり睡眠おかげかな。
しかし相変わらず脚はパンパン、尻も痛くなってきたので小栗峠手前の「道の駅鹿北小栗」で一休み。

道の駅は大体トイレがきれい。24時間サービスなのも助かる
小栗峠。最後の登り、終わったぞ!

小栗峠を過ぎると雨が降ってきた。降り方は少し強かったが、蒸し暑い中での雨は恵みの雨。
ちなみに、後続の参加者は土砂降りだったらしい。

レインウェアは持っていたが、むしろ濡れながら走った方が涼しかったので着ずにそのまま八女の市街地へ。この間、徐々に空が明るくなってきていた。

市街地のミニストップで一息

ミニストップで休憩してると地元のサイクリストが現れ、「もしかしてブルベですか?」と話しかけてくれた。「うわーキツそう!頑張って!」とエールを贈られた。
最後のキツい時間帯に大きな後押しになった。

395km付近。田んぼの水面に空の水色が映る景色に癒される

そこから先は追い風に乗って快走し、6時47分にフィニッシュ。
もう脚はパンパン、尻は痛い。
22時間台でのフィニッシュになり、制限時間まで4時間以上残した。

フィニッシュ地点のセブンイレブンでは、走行中控えていた揚げ物解禁(笑) 揚げ鶏にソーセージおにぎり。うまい至福。

スタート地点だった基山6区公民館でフィニッシュ受付。スタッフと他の参加者としばし談笑。
近場の温泉を教えてもらい、汗を流して帰宅。

とりあえず鳥栖まで行き、そこからは特急列車と新幹線を乗り継いで長崎まで帰った。当然、爆睡・・・

おわりに


猛暑、パンク、睡魔、野生動物、補給難、星空、雨・・・色々あった1日だったが、無事にフィニッシュ出来て何より。

ルートがよく考えられていて、景色のいい道、変化のある道、交通量少ない道ばかり。
スタッフの皆さん、ありがとうございます!

夏の山岳ブルベ・・・やっぱり楽しい!

(おわり)

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